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2017年4月24日

フナムシ (37歳)
21
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星野源の歌詞の世界の車窓から

2ndアルバム「エピソード」の中に見つけた愛の形

最近星野源のセカンドアルバム「エピソード」をよく聴いている。
このアルバムは2011年、震災のあった年にリリースされた。

私はラジオで「くだらないの中に」を何回か聞いたことがあったように思う。
でも、あの頃はテレビのショッキングな映像に心を蝕まれ、素直に音楽を楽しめる心境にはなれなくて、通り過ぎてしまっていた。
震災から6年が経ち、改めてあの年にこのアルバムを出した星野源は凄いと思う。
 

別れや死を感じさせる悲しそうな曲が多いのだけど、
どの曲にも歌詞の中にしっかりとしたストーリーがあって、
曖昧ではなく具体的な映像や風景が浮かぶ。
そして、そのシーンの多くに、しっかりと愛があって、
ちゃんとラブソングになっている。

人が人を愛する本質があるように思う。

いくつか、深い愛を感じて心揺さぶられた歌詞をご紹介したい。
 
 

「変わらないまま」
《耳を塞いだ音楽と 本の中で暮らす / これでいいわけはないけど / 前は見ずとも歩けるの》

《雨の日も 晴の日も / わからないまま / 生きた / 輝く日々が 》

《昨夜のラジオが鳴り響く / 笑いを押し殺す
いつか役に立つ日が来る / こぼれ落ちた もの達が》
 

不登校になって引きこもってしまった子。
雨の日も風の日も 部屋から出てこない。
彼は、1人昨夜のラジオを聞いて、笑いを押し殺す。
部屋の中に篭っていても、誰にも伝わらなくても、
彼の心はちゃんと輝いていたのだ。
彼の心を輝かせたのは、深夜のくだらないラジオ。

親の無償の愛をもってしても、動かせないものがある。
くだらなさのなかに詰まった愛が、
わかりやすい愛より強いパワーを持つこともある。

くだらないラジオからこぼれ落ちたものが、
いつかきっと彼をまた動かすだろう。

そんな風景が見えて、心が揺さぶられる。
 

「ステップ」
《両手に並ぶ /眠る石の間を / 砂利のステップ / 君の待つ場所まで》

《両手に並ぶ / 眠る石の間で / 二人ステップ /世界はいらないな /ここだけでいい》

《いつかはここに僕も /早送りしようぜ / 公園の隅》

《両手の花を /君の側に生けよう / 願う / また来る / 待ち合わせはここで》

お墓参りの歌。
愛する人を亡くすことは、この世で最も大きい悲しみの1つだ。
しかし、お墓へと向かう主人公(?)はまるでデートにでも行くような足取り。
お墓の間で故人と踊り、世界はいらない、早く僕もここへ入りたいとさえ思う。
でも、花を生けて、また来ると約束して、ちゃんと手を振って生きる道へと帰っていく。

明るく軽快な曲調なのに、
しっかりと悲しくて、しっかりと前向きで、愛がある。
心が揺さぶられる。

「ストーブ」
《そろそろストーブを / つける頃/ 小窓のあなたも / 煙になる》

《長く続く日々の 景色が変わるよ / 見えぬ明日 / 足がすくみ うつむけば / 見覚えある気配が 手を引くよ》

《固く閉じた扉 / 開いておはよう / 残る君のかけら /そっと拾うよ》

《あとひと月半は / デートもしまくり / 胸に残る声が / 浮かび うつむけば / 変な顔の面影 / 笑わすよ》

お葬式の後の火葬場の歌。
愛する人を亡くし、それでも生きていかなければならない。それはとても怖いことだ。誰でも足がすくむ。
その瞬間、見覚えのある気配を感じる。魂は側にいると気付く。
お骨を拾いながら、亡き人の声を思い出してうつむいたり、変顔を思い出して笑ったり。

人は亡くなっても、想いが残る。
それが、遺された人を支えてくれる。
それは、そこにしっかりと愛があったという証明でもある。
深い深い愛の歌に、心が揺さぶられる。
 
 

「くだらないの中に」
《髪の毛の匂いを / 嗅ぎあって /臭いなあって / ふざけ合ったり /くだらないの中に愛が / 人は笑うように生きる》

《首筋の匂いがパンのよう / すごいなぁって / 讃えあったり / くだらないの中に愛が / 人は笑うように生きる》

《心が割れる音聴きあって / ばかだなあって泣かせあったり / つけた傷の向こう側 / 人は笑うように》

日常にありふれた、愛し合う人たちがただ暮らす風景。
若いカップルかもしれないし、老夫婦かもしれない。
パパの靴下くさーいと鼻をつまむ可愛い娘かもしれないし、息子の靴下の臭さに衝撃を受けるお母さんかもしれない。
時に傷付け合うことがあっても、くだらないことで笑い合えるうちは、愛はそこにある。

ああ、この人は本当の愛を知っているんだな。
人を愛するとはどういうことなのか、
愛されるとはどういうことなのか。

真面目な顔で「愛してる」と言葉に出すことだけが愛の形じゃない。
くだらないことを共有して、笑い合う、ふざけ合う。
愛はそういう風景の中にこそある。

そう気づいて、心が揺さぶられる。
 

このように、私の心は揺さぶられまくりなのである。
心不全でも起こしたらどうしてくれるのか。

こんな心揺さぶる愛の詩を書いておきながら、
星野源はいつも気取らずユーモアに溢れていて、
エロいことが大好きで、くだらないことが大好きな
面白いお兄さんなのである。

くだらないの中に、愛があることを知っているからなんだろう。
 

ずるい!
どうしてそんなにギャップがあるんですか?!
どんどん好きになっちゃうじゃないですか!!!!
(※みくりさんのイメージで)

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