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彼女たちにしか歌えない唄

アイドルっぽくない王道アイドルNegicco

この音楽文をよく読む方は基本的にはバンド音楽を聴く人が多いと思う。そんな中でも時々アイドルについての音楽文が掲載されていてその魅力を熱く伝えてくれる。そうは言っても「アイドルってどこか聴きにくいなぁ」って思ってる方が多いのではないだろうか?私も去年の今頃はそんな人の1人だった。
 

そんな私が出会ったアイドル「Negicco」。
 

名前くらいは聞いたことがあるだろうか?今でも新潟在住の元祖ご当地アイドル。今年で結成15周年になる。知らない人にとっての印象としては「変な名前だな」という感じだろうか。

Negiccoの魅力として語られる要素のひとつが「楽曲」。昨今のアイドル戦国時代では、ほかのアイドルグループと差別化するために様々な趣向が加えられている。そんな中で「楽曲を良くする」というのは悪く言えば「ありがちな手」。だからこそアイドルたちは昔は取り入れてこなかった「音楽ジャンル」を取り入れ、ほかとの差別化を図る。有名なところで言ったらヘビメタ・パンクの要素を取り入れたアイドルグループたちだろうか。

そんな中Negiccoは「このジャンルでやってます!」という目玉になるものはない。どちらかというと王道のポップスを歌っている。それでもNegiccoがほかのアイドルと一線を画す理由は楽曲の「玄人感」ではないかと思う。

一番Negiccoの楽曲の玄人感がわかりやすい曲は「アイドルばかり聴かないで」だと思う。題名からしておかしい。彼女たち自身がアイドルなのに「アイドルばかり聴かないで」と言ってるのである。
しかしながらそこがNegiccoの魅力。Negicco以外が歌ったらファンから受け入れられないものになりそうなところ、Negiccoが歌えば一躍ライブで大盛り上がりする曲になるのだ。
この「アイドルばかり聴かないで」を作詞作曲プロデュースしたのが元ピチカート・ファイヴの小西康陽。渋谷系を代表するグループの雰囲気を存分に出しつつ、Negiccoにしか歌えないポップな曲に仕上がっている。とりあえずこの曲はYouTubeにMVが上がっているので、まず1度聴いてみて欲しい。きっとNegiccoがどういうアイドルかわかると思う。

Negiccoの魅力はこういう盛り上がる系の歌だけでなく、しっとり系の歌でも存分に感じられる。

そんな曲の中で私がおすすめしたいのはHomecomingsが作った「ともだちがいない!」。この曲もタイトルから凄い。歌詞の内容はその名の通りなのだが、ただ寂しさが感じられる曲ではなくて、どこか「1人を楽しんでいる感じ」が伺えつつも「本当はここから飛び出したい!」という思春期の複雑な感情に適当な距離感で寄り添ってくれる。そんな風に思えるのは歌詞だけでなく、彼女たちの歌声が優しく包み込んでくれるから。「そばにいるけどく押し付けがましくない」、本当の「ともだち」みたいに感じられる不思議。この「近くて遠い」存在を自然に生み出せるアイドルはNegiccoしかいないのではないかと思う。

以上の2曲は昨年発売されたベストアルバムに収録されている。このベストアルバムには他にもKIRINJIの堀込高樹作詞作曲の「愛は光」というNegiccoとファンの絆が真摯に伝わってくる名曲や、「ねぇバーディア」というレキシの池田貴史作詞作曲のアッパーチューンでNegiccoのファンだけでなくほかのアイドルグループのファンの方からも絶大な人気を誇る曲などNegiccoの魅力溢れる曲たちが収録されている。それ以外の曲も錚々たる人から楽曲提供を受けており、そんなミュージシャンにも愛されるアイドルがNegiccoだと改めて感じられる。
 

最後に1曲だけ是非聴いて欲しい曲がある。それが3rdアルバム「ティー・フォー・スリー」に収録されている「江南宵唄」。
Spangle call Lilli lineとNegiccoを初期から支えるconnie(今回は詳しく言及出来なかったが、Negiccoにとってなくてはならない方!)によって作られた曲だが、こんな曲を「アイドル」が歌えるのか…!という驚きを受けるはずだ。
Spangle call Lilli lineというバンドは私もこの曲を通じて初めて知ったのだが、こんな音楽性の高いバンドに楽曲をお願いするのか!というNegicco側の音楽のアンテナの張り方にまず驚いた。そして、この難しい曲を歌いこなす彼女たちの凄さに脱帽。
アイドルとしては決して若くない彼女たちだからこそ生み出せる大人の官能的な雰囲気がこの曲の大きな聴きどころだろう。きっとほかのアイドルが歌ったとしてもこうはならない。この曲は本当にアイドルの見方を変える曲だと思う。アルバム曲だからこそ1度聴いてみて欲しい。

ここまで長々とNegiccoについて語ってきたが、それでも語りきれないのがNegiccoの魅力。決して結成からここまで平坦な道のりではなかったが、ここまでファンの人のみならず音楽に携わる人を唸らせるような楽曲を生み出せるのは、彼女たちが地道に「王道のアイドル」を突き進んできたからだと思う。王道を突き詰めたからこそ歌える「アイドルっぽくない唄」。そう、彼女たちにしか歌えない唄が、そこにあるのだ。

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