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BUMP OF CHICKENは鼓膜を揺らす

大切な対象が視界に映るまで

 
〈心の場所を忘れた時は
 鏡の中に探しにいくよ
 ああ ああ
 映った人に尋ねるよ〉

 Smile/BUMP OF CHICKEN

 BUMP OF CHICKENの音楽は鏡だと思う。聴く人が熱量と体温とを持って、耳を澄ませば、均等な熱量と体温とでもって、きっと、答えを教えてくれる。

 私がBUMP OF CHICKENと言うバンドに出会ってから、そんな、とある幸福な出会いから、もうかれこれ、十五年程の月日が経とうとしている。
 あの頃の自分が聞いたなら、きっと驚くに違いない。何しろ、あの時の音楽と一緒に、変わらず今も歩いているのだから。

 元来、決して行動的な生き物とは言えないはずのこの身が、彼らの、新譜が出ればチェックをし、出演ラジオに耳を峙て、ツアーとなれば四苦八苦しながらも、どうにか、ちゃんと辿り着く。その断片を口ずさみ、邁進する。

 ライブDVDを幾度も観賞し、その度、新しい発見をし、ライブビューイングとなれば慣れない映画館へと赴き、くたくたのバンドスコアにて拙いギターに愛を込める。一度、音楽チャートに上がれば、自分事の様に加速度的に鼓動を速める。
 知らない街のBGMで馴染みのイントロが鼓膜を揺らせば、未だ知らない運命を感じて、光を感じて、嬉しくなる。

 何もないと疑った自らにも、こんなに好きでいられる物があったんだと、それがまだまだ尽きないんだと、そっと、静かに、身近に、自らに不思議な力が寄り添う。

 放たれた楽曲は何故だかいつだって、どこか現在とシンクロしていて、リンクしていて、不思議と満ち足りた気持ちになる。それぞれが私の日常にも見出せる。ずっと先に光が映る。幼馴染みが顔を出す。それが所以となって一層、現実が温もりに包まれる。
 瞬間、知らないフレーズが脳内をリフレインし、世界が色彩で飽和する。欲しかった激励が、いつか見失った叱咤が、果てることのないワクワクが、濁流の様に押し寄せる。

 好きな物を問われたならば、飽きもせず、性懲りもなく、迷いもなく、いつか教わった彼らのバンド名を、合言葉の様に口にする。

 悲しい世界にも意味が生まれ、嬉しい世界には理由をくれる。
 さよならにも意味を見出し、初めましてが、愛しくなる。

 出会った人や離れた人が、そんな大切な事象や、かけがえのない情景が、彼らの音楽の中に、確かに、いる。
 いつか拾って来た哀しみや、すれ違って来た膨大な涙が、理由となって結実する。

 どうやらどうにか、そうやって、そんな風にして、気が遠くなる程の長い道のりを、彼らの音楽と共に歩いている。時に寄り添い、懸命に恒星を見出し、大事さを教わり、大切さを習う。

 或いは、ずっと時間が流れた後で、もう全部洗い流された宇宙の隅で、また新しく、気づいたり、見出したり、思い出したりする。その度に笑みを纏い、懸命に手を繋ぎ、日々を紡ぐ旅を始める。

 これらは全て、彼らと彼らの生み出した音楽がくれた物である。ただそれだけで、ここまで来れた。ただのそれだけがこれ程の力になった。ただ彼らの唄を知っているだけで、それだけで、世界を知れた。

 BUMP OF CHICKENの音楽は鏡だと思う。聴く人が熱量と体温とを持って、耳を澄ませば、均等な熱量と体温とでもって、ちゃんと、答えを教えてくれる。

 そんな愛しい音楽達に、また、思い出や記憶を、日々の葛藤を、理想や希望や光を、祈りにも似た願いを、そんな拙い色々を、今、目の前にある有象無象も、ありったけを、詰め込んでおく。

 きっといつかの未来の自分が、それを受け取って笑ってくれる。
 そんなかけがえのない全てがまた、いつかの問いかけの答えになりますように。

〈心の場所を忘れた時は
 鏡の中に探しにいくよ
 ああ ああ
 映った人に教えるよ

 映った人に微笑むよ〉
 Smile/BUMP OF CHICKEN

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