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挫・人間 東名阪ツアー2018〜人間合格〜 ツアーファイナル

あの場にいた私のイチキロク。

東名阪ツアー2018 〜人間合格〜挫・人間にとって初となるシングル『品がねえ 萎え』を引っさげての今回のツアー。彼らが東名阪三箇所でのワンマンツアーを行うのはバンド史上初、そして、今夜は恵比寿リキッドルームでのツアーファイナル。

顔から感情が消えて最高潮に緊張する私。ライブ前はいつもそうだ。必ずと言っていいくらい具合を心配される。私もみんなとビールが飲みたい、気持ちは。それでもビールを飲んでトイレが近くなることが怖い。そして何より素面の自分で見たい。スッと息吸うその瞬間すら、聞き逃したくない。飛び散る汗の一滴すら、見逃したくない。まあ目は2つ、耳も2つだ。おまけに私は耳栓をつける。だから全てを逃さず焼き付ける事は無理なんだけど。いつでもそういう気持ちだ。気持ちだけは。

なにかが出ちゃいそうな時間を隣の友達とひたすらに耐え、開演を迎えた。
メンバーが出てきた瞬間、プチンッとスイッチが入って頭が真っ白になる。全部を消して目の前の今だけを見る。

大きな歓声に迎えられて4人がいつもの位置につく。私のすべてを全肯定してくれる、味方。ヒーロー。挫・人間。
今夜もはちゃめちゃにキュートだ。

のっけから最大テンションのワンツースリーフォーのカウントで始まる[チャーハンたべたい]切ない叶わぬ恋の歌。チャーハンたべたいというフレーズがこんなに入ってて、ただのお腹すくだけの歌にならない挫・人間の真髄。下川くんの声はどうしてこうも切なさに追い討ちをかけてくるのか、といつも思う。

間髪入れずに夏目くんの切ないギターソロがたまらない新曲[多重星]この曲もまた叶わない恋の歌。挫・人間の恋の歌は叶わないし切ないけれど、好きになることをやめてない所が好きだ。夏目くんのギターは本当にくるくると意思をもって色んな表情を見せる。

そのまま、とにかくアベくんのベースがひたすらにかっこいい[お兄ちゃんだぁいすき]きた瞬間飛んだ。ずっとずっと聴きたかった曲。兄兄兄兄…家族家族家族家族…!と叫ぶ下川くんに合わせてヘドバン。もう全然意味がわからない。それでも意味が全く意味を持たない場でただ意味のなさに溺れる事の気持ちよさ、彼らのライブではよく味わえる。

一気にフロアが熱くなってくるのが背中でわかる。圧で柵にちょうどあたる胃がギュッとなり、頬にムワッと熱風を感じた。

次は、ヘドバンして『結局無様に死んでいくだけなのさー』って断末魔の如く叫ぶ[人類] 新旧織り交ぜ叶わぬ恋を歌って早速いきなり地獄に落としてくる感じ、彼ららしい。このツアーからだと思うのだけど、メロディにあわせてオーオーオーオオオーってフロアからも響く声が心地よい。

最初のMCでギターの夏目くんが早々に感極まって泣く。彼は途中から加入していて、自分が加入した頃にはお客さんが1人、2人、とかそういう事はそんなにはなかったにしてもそれでもこんなに集まってくれると思ってなかったから…と泣いた。
彼はステージ上だろうがライブ中だろうが、目が合えばニコっと笑い、手がぶつかれば申し訳なさそうにごめんと言い、いい顔で楽しむお客さんが目に入れば、お前いいな、と口に出す。いつでもそのまま、素で全身で夏目創太、そういう人だと思う。そんな彼のまっすぐな涙、心にこないわけがない。もうすでにこの時点でマックス最高潮を迎える私の感情。お客さんとしてこの曲を聴いていたこともあるだろう彼が、バンド史上最大規模のステージで今、この曲を演奏するというのは、どんな気持ちだっただろうか。

『ファーラウェイッ!人生地獄絵図!』綺麗に揃った手がフロアのあちこちからあがる[人生地獄絵図]もうすでにとっくにタガがはずれて周りの振り切り加減もマックスで心底楽しい。こんな地獄なら喜んで堕ちたいよね、と思う。

アベくんのベースが神々しいほどにかっこいい、万歳三唱しながら神に赦しをこう[念力が欲しい!!!!!~念力家族のテーマ~]この曲も全く休めない。念力念力…‼︎腕を振る。側から見たら異常な光景だろうか、でもどうしてこうも救われた気持ちになるのだろう。

『それでも君に本当を伝えたいんだ アイラブユー』って下川くんがビー玉みたいなキラキラした目をひん剥いて叫ぶ[セルアウト禅問答]
今夜は『本当』を『本当だけ』と歌った。確かにそう歌った。

オリジナルのコマンドをアベくんの御指南でクリアしていく会場の一体感が楽しい[絶望シネマで臨死]アベくんのイケボとサングラスからちらりと覗く眼光を浴びるご褒美タイム。アベくんのベースは挫・人間の強靭な軸だな、と思う。菅様のドラムと絡まる瞬間、点と点が繋がって全部線になっていくのが見えるように、それはそれはかっこいい。

一体感が高まったところで続けざまに今度はフロアの中央を開けて、隅っコ(挫・人間ファンの総称)同士向かいあってのウォークオブハイタッチをしろという夏目くんからの指示に(向かい合い、歩み寄り、出来るだけ多くの手とハイタッチをする時間)皆素直に従うのが面白い新曲[ダンス・スタンス・レボリューション]この曲はライブを重ねるにつれてまたどんどんカタチを変えて愛される曲になっていくんだろうな、なんて思った。

そして随分身体が仕上がってきた所で始まる[☆君☆と☆メ☆タ☆モ☆る☆]この曲は、誰よりも全力でキュートな菅様を見ると決めてる。挫・人間は演奏がバッキバキにかっこいいのに、演奏しない曲も当たり前にもってくる所がまた好きだ。

ここまでずーっと飛びっぱなし踊りっぱなし、そう、挫・人間のライブは非常にやる事が多い。
それでも、やらない奴を責めないでくれ、そういう奴はなんかちがう宗教なんだ、とマイクを通して声をかける彼ら。踊らなくても地蔵でも大丈夫。各々の楽しみ方を認めてくれる。

息を整えてる間に空気が変わって急にたたみ込むように始まった[天国]ピチョンッ…!と広がる波紋のように皆んなの息を飲む音が広がっていくような、さっきまでとガラッと世界を変える曲。本当に聴けて嬉しかった。言葉にできない気持ちは素直に涙で出ていった。どこからか聞こえた誰かの呻き声。わかるよ、って思ってしまった。

4人の呼吸の合わせ方がたまらないかっこよさの[ゲームボーイズメモリー]毎度違って毎度かっこいい。生物なんだな、バンドは。4人の視線が合わさる一瞬に息を止めて見とれてしまう。

赤い照明とあいまってバッチバチにきまってた[ピカデリーナ受精]挫・人間のライブではお馴染みの梶原くん(So Sorry,Hobo)がでてきて、一連の流れがあってダイブした。迷いの無い静かなきれいなダイブだった。ちょっとぞくぞくする位に照明と下川くんの相性がよく、操り人形みたいに変幻自在で美しかった。

踊れる新曲[品がねえ 萎え]『君はとってもダメなヤツだよ でもダメでいい……』なんて指をさされたらベタだけど、許された気持ちになってしまう。『悪いことしたときの 逃げ口上 ロックンロール 』『無意味に中指立てるアイドル…… 無礼!』叫んで気持ちよい歌詞が続く。挫・人間のライブはとにかく隅っコが叫ぶのが私は好きだ。皆歌詞をよく聴いていて、大事にしているのがよく伝わる。

アベくんの手拍子で煽られ始まる[明日、俺はA×S×Eになる……]私はただただステージの4人に夢中だった。ひたすらにかっこよかった。バンドってバンドだから最高なのだ。そんなバカな感想さえでてくる。ステージは彼らだけのものだ、誰にも邪魔なんかできない。そんな事をぼんやり思った。

泣きそうな顔で下川くんが叫ぶように『ぼくだけが言えるアイラブユー』と歌う[クズとリンゴ]さっき『それでも君に本当だけ伝えたいんだ アイラブユー』と歌った彼が『ぼくだけが言えるアイラブユー』にたどり着く、そこまでの流れがセトリから垣間見えるようにぎゅっと胸に迫ってくる。いつ聴いても私にとって特別な曲だ。

そして、全ての17才だった男と女に捧げられた[サラバ17才]どうしてこの曲はこんなにも何かが込み上げてくるのだろう、かつて私も17才だったから?どうひっくり返っても、もう17才側にはいけないけど、それでもあの頃抱えた何にも救われない孤独、鬱屈した気持ち、2度と戻れない生臭さ、それはまだ私の中にある事を再認識させられる曲。17才から17年たった私がこれだけ揺さぶられるのだから、今その年齢、17才を過ぎたばかりの子たちにはぐっさぐっさ刺さるだろう、神様よりも救いだろう。

ありがとうって叫んであっというまに本編が終わってしまった。

アンコール一曲目は歌詞の記載がない[Tee-Poφwy]
夏目くんがほぼ1人でマイクを握り、畳み掛けるように隅っコに話しかける。こんな言い方は失礼かもしれないけれど、夏目くんがこんなに長尺ステージで話せるような事今まであまり無かったように思う。
いつも何かMCで話そうとしては、もういい!って止められていた覚えがあるし、どちらかと言えばわけがわからなくて笑わしてくれる事が多かったように思う。今は違う。
夏目くんはフロアに昔の自分を見つけたとよく言うし、フロアとの距離を埋めるように何度も何度もダイブしていた。隔たりがなんもないと思わせてくれる、ゼロ距離で発せられる熱く優しい言葉。本当に頼もしいギターヒーローだった。ギターヒーローになったんだな、って思った。

二曲目、本当の最後の曲。挫・人間の除霊ソング[下川最強伝説]皆んなの初恋を除霊する為に下川くんと隅っコがあげる拳。この曲であがる拳は特別なものに見える。曲の前のMCで、お前らは絶望しっぱなしだが、それと同時に希望を得ることができるとすれば、俺は、お前らダメ人間の希望を歌っていきたい。って下川くんは言った。私はいつも彼に希望をもらっている。今夜は除霊云々より、とにかく下川リヲ全肯定の気持ちで拳をあげた。生まれた気持ちはどこへ行くのか、そんなの知ったこっちゃないけど、あなた方から受け取るもののお礼が一瞬でも届けばいいのに、と思って、私の全力で拳をあげた。最後柵の上に立つ下川くんが何をしてたのか私の所からは見えなかった。絶対皆の上に立つ下川くんは美しかったに決まってる。
柵からステージに戻る時、迎えに来ていたアベくんと下川くんがしたハグは今夜の象徴みたいで美しかった。
最後ステージ中央で手を挙げる4人、ありがとうの言葉を残し、去っていった。4人のバンザイが何より嬉しかった。初めて見たんじゃないかな、そんな気がした。

私は彼らの昔を知るファンではない。それでも最近の彼らはあからさまに進化している、そう思う。初めて見た時から腹をくくった人だけの迷いのない振り切ったかっこよさを見せる人たちだったけど、今は、より強固なそれを持ってると思う。

余談になるけれど、名古屋では下川くんが隅っコから送られてきたお花をフロアに撒いて、拾った人は帰ったらお水をあげてね!って言った。お花を撒くライブは見たことある気がするけれど、そのあとの花を思う言葉を口にするバンドマンなんて私は初めて見た。その時ステージの真ん中に花を一輪置いた下川くん。その光景がまんま挫・人間に思えて、私はたまらない気持ちになった。
彼らの行為にはいつも愛があるし、彼らの曲にはいつもキランと光る、一輪だけ咲くような希望がある。

挫・人間の曲は痛みも苦しみも怒りも不潔も、いわゆる負とよばれるもの全てを決して負にしないし、無かった事になんかしない。捨ててしまいたい思いも、それすら全部まとめて抱いて愛して持ってくような強さがある。
すべてを受けて立つ人だけが歌うことのできる歌。だから、多くの人のいろんな感情に寄り添うことができるし、多くの人が彼らの歌に肯定されたような気持ちになれるのだと思う。

ツアーが始まる前下川くんは、なにをもって人間合格かは各々が勝手に考えてくださいと言っていた。ライブが終わればいつもの毎日。日常が待ってる。記憶もすぐに薄れる。忘れないなんて事は無理だ。もう2度と今夜には戻れない。それでもそれはそんなに怖いことじゃないとやっと少し思えるようになった。今夜ここにいたって事実は、日々に埋もれる生活の中でなにか私を照らすものとして、確かに残るから。
ここにいる間だけは、私は叫びたければ叫んだ、手を上げたければ手を上げた、飛びたきゃ飛んで、笑いたきゃ笑って、我慢しないで涙を流した。ブスでいい、髪の毛も序盤からぐちゃぐちゃだ。でも私は私だった。誰がなんと言おうと、嘘ない私のままであの場所にいられた。それを私は人間合格と呼びたい。
 

人間合格の太鼓判を押してもらった今夜を私は大事に大事に自分の中にしまう。
たとえ明日には絶望しても、今夜のコトは私の中にずっとキラキラ輝く希望だ。
 
 
 
 

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