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back numberに気付かされた恋

きっとこの曲がなければ知らないままだった恋心

だらっと過ごしていた夕飯も食べ終わった金曜日の夜のこと。

ふとテレビから聞こえた聞き慣れた音に音楽番組が始まった事に気付く。しかし今日は確かお目当てのゲストがいなかったはず。そう思い音楽番組を一瞥してから元々見ていた携帯に再度視線を落とした。

携帯を触っていても音楽は耳に届く。あぁ、またこんな歌か。恋だの惚れた腫れただのもういいよ、なんて荒んだ心はテレビから流れてくる歌を素直に耳へ運んではくれない。

ふと、本当にふと、テレビに視線を戻す。紹介されているのはback numberだ。名前は知っていた。前回出演していた際も見た記憶があった。その時の楽曲はヒロインだった。ああはい、所詮そういう歌だよね。彼達もまた穿った見方で見ていた。今回もきっとそうなのだと悟った。

どこ目線だろうか、何様なのだろうか。少し流行っているし聞いといてやるか、今思えばそんな失礼な気持ちで彼達の歌を聞いた。
 

タイトルが紹介され、音楽が始まる。クリスマスソング、ありきたりだなぁ、と思った。きっとハッピーラッキーなそんな歌なんだろうと、back numberをよく知らない私はまた穿った見方で予想した。
 

曲を聞いていた。その時ボーカルの清水依与吏がとあるフレーズを紡いだ。その瞬間訳も分からずに涙がぼろぼろと溢れる。ハッとした。なんという事だ。私は知らない間に恋をしていた。

しかもそれをback numberのクリスマスソングという曲の「あれ なんで恋なんかしてんだろう」というフレーズを聞くまで一切気付いていなかったのだ。
 

そこからテレビに、清水依与吏の声に吸い込まれるようにして歌を聞いた。
どれもこれもが私の気持ちを代弁しているような、そんな錯覚すら覚えた。初めての経験だった。

歌い終わった後もしばらく余韻に浸った。back number…心でバンド名を反芻して、歌番組を追いかけようと決意した。

プロモーションの時期だからとその後も彼達は歌番組にちらほらと出演した。その度にあのフレーズを聞いて涙を流した。

職場の上司に恋をしていると自覚してから、仕事へ向かうのが擽ったくなった。あんな感覚は久しぶりだった。そして事あるごとに、自嘲するように、あれなんで恋なんかしてるんだろう?と思った。

叶うはずもない恋だった。結局叶う事はなかった。叶ってもいけない恋だった。

けれどback numberの歌のお陰で、気持ちに拠り所が出来た、そんな気がした。

その間に私はback numberの幸せという曲にも出会った。タイトルと歌詞のチグハグさに目眩がして、そのセンスに脱帽した。そしてやっぱり自分と重ねて共感した。
上司の事を想ってその曲を聞き、涙が枯れてしまうのではないのだろうかと思うほど泣いた。それぐらい幸せの歌詞は私の心に深く深く響いた。back numberをまた好きになった。
 

ある時上司が転職する事になり仕事を辞めた。悲しかったけれど、寂しかったけれど、仕方ないと言い聞かせて諦めようとした。それでもしばらくずっと想っていた。

そんな時だった。back numberが新曲をリリースしていたらしい。そんな情報もリリースしてからでないと得られないぐらいには俄かだった。

音楽専門チャンネルのランキングに入っていてそれに気付いた。タイトルを見る。ハッピーエンドとなっていた。これは、と予想する。

幸せというタイトルであんなに悲しい曲を書いてしまう清水依与吏がハッピーエンドというタイトルでハッピーな曲を書く訳がないと踏んだ。どういった歌なのだろうと気になった私はそのチャンネルを見続けて、ハッピーエンドが流れるのを待った。

いよいよその時が来た。音楽が流れる。予想通りバラードだった。
歌詞を紡ぐ。さようならから始まるそれに全てを悟って、静かに聞き続けた。

どうした事だろうか。ハッピーエンドのお陰で、せいで、すっかり忘れていたと思っていた上司の事を色濃く思い出す事に成功してしまっていた。

語彙力がなくなるぐらい、すごい…としか言えなかった。どうして私の気持ちが分かるのだろうと歌詞を書いた清水依与吏に問い質したくなった。すっかり空になったと思っていた私の涙のタンクからまた堰を切ったように涙が溢れて止まらなくなった。
 

余計な事をしてくれたな、忘れたと思っていたのに。この曲さえなければもう忘れられていたはずだったのに。

back numberにしても仕方ない八つ当たりをしたくなるほどに私の涙はそれから暫くまた出続けた。

そして等々back numberの魅力に取り憑かれてしまった。そこから全ての曲を聞く事に徹した。
back numberが、清水依与吏が、どんな恋をしてどんな想いで、どんな言葉を紡いで来たのかが気になって仕方がなくなったから。
 

聞けば聞くほど心に突き刺さる曲は多く、その度に飽きもせず涙を流した。そしてその度に清水依与吏の凄さを知った。
本人はいつだって自然体で、いつだってカッコよくなりたいと思っていて、いつだって苦しみながら素敵な歌詞を書いていた。そしてそれをback numberの役目だからと、自分の役目だからと、誠心誠意向き合ってくれていた。

そんな姿を見せられてファンに、好きに、ならない訳がなかった。
back numberの曲のせいで、気付かなくていい恋に気付かされたけれど、叶うはずもない恋をしてしまったけど、それも全てback numberに出会うべくして起こった事柄なのだと思うと妙に納得が出来てしまったのだ。
 

今また違う恋をしていて、けれどもやっぱりいつだってback numberの曲は側にあって、カンフル剤になると分かっているのに、苦しくなると、切なくなると、手が勝手にスマホからback numberの曲を流してしまうのだ。

その時々でピタリとハマる曲は違うのだけれど、必ず一曲はその時にピタリとハマる曲があって、今日もまた私はback numberを再生する事をやめられずにいる。
 

世の中に起こる全ての事に意味があるのなら、きっと私がback numberに出会ったのは、上司への恋心を自覚する為だったのだと思う。
そして上司に恋をしたのも、きっとback numberという素敵なバンドに出会う為の伏線だったのだろうと思う。
 

今はまた、あの時とは全く違う、あの時には予想出来なかった事で悩んでいる。人生がガラリと変わるかもしれないそんな大一番かもしれない。きっと自分のダーニングポイントになる出来事かもしれない。
けれどそんな時もback numberの曲は私に寄り添ってそっと背中を押してくれる。

そう。「どんなに悩んでも答えはひとつ」なのだ。

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