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君が僕で、僕が君で

BUMP OF CHICKENの音楽の"君と"僕"と私

私が「BUMP OF CHICKENの音楽について、ちょっと話をさせておくれよ」とここに投稿するのは、なんのかんの3度目である。
今回は、ずっと不思議に思っていることについて書かせていただこうと思う。

彼らの歌に限らず、歌詞の中に「僕/私」や、「君/あなた」が登場するものはとても多い。
そして大抵の場合、「僕」は書き手・歌い手であって、「君」は聴き手を含む、[その歌を届けたい誰か]が当てはまるのだと思う。
とても感覚的で曖昧な話だが、BUMP OF CHICKENの音楽を聴いていると、その「僕」と「君」が逆転する(入れ替わる)現象が度々起きる。
もう少しだけ具体的に言うと、「僕」は彼ら、もしくはソングライターである藤原さんで、「君」はその歌が届く先なのだと思うが、繰り返し聴いているうちに、ある日「僕」が自分で、「君」がBUMP OF CHICKENその人たちに思えてくるのだ。
例えば、アルバム「RAY」に収録されている「トーチ」にこんな歌詞がある。

“少しずつだけど足跡増えたよ
少しでも君のようにいたいから
ここまで続いた 僕の中 君のいた場所から”
(トーチ)

色々なライヴや媒体で、藤原さんが「自分たちはとても怖がりだ」と仰っているのを知っている。併せて、「だけど自分達の役目は、生まれてくる音楽が望む姿に鳴らしてあげることで、だから怖がってもいられない」と仰っていることも。
彼らの音楽は多彩だ。
カントリー調のものから、音の重たいがっちりしたロックもあれば、北欧民族音楽のようなサウンドもあるし、EDMを使ったダンサブルな曲をもある。形態としては「ロックバンド」なのだろうが、「ロックバンド」であることにこだわらず、その曲ごとに「最適化」したものを届けようとしてくれている。
形にとらわれずに新しいものを取り入れていくというのは、それを受け入れる柔軟な頭がまず必要で、実行するための知識と技量が要る。
新しいことをするには、自分達のレベルアップが必要な上に、全て受け入れられるとは限らない。それでも彼らは、そのスタンスを変えない。
結果的としてリスナー層をどんどん拡大して行っているように思うが、想像するだけでもものすごく大変なことだ。きっと、私が思うより沢山の努力を続けているのだろう。
説明に遠回りをしてしまったが、その仕事の丁寧さにずっと驚かされているし、社会に出ている身としてとても尊敬していて、私はそんな彼らについて、”少しでも君のようにいたい(トーチ)”と思っている。

もう一つ挙げるとすると、「ファイター」である。

“その声は流れ星のように
次々に耳に飛び込んでは光って
魚のように集まりだして
冷たかった胸に陽だまりが出来た”

“オーロラが広がっているって知った
ふと足もとの虫と目が合って笑った
自分のじゃない足音と会った
全てその声が見せてくれた”
(ファイター)

羽海野チカ先生の「3月のライオン」とのコラボレーション曲で、発売当初、実は私は彼らについてほとんど知らなかった。ただ、その歌の内容が作品とあまりにシンクロして、私にとって「ファイター」の「僕」は桐山零くんで、そういう意味で大好きな歌だった。
今でもその認識が根底にあるものの、いつからかそのウェイトが低くなり、「僕」は自分自身になった。
彼らの音楽に出会ったから出会えた人がいて、これまで行ったことのなかった場所にも行った。何にもない大人になっちゃったように思っていたけれど、今からだってできることがあるのも知った。
こんな風に、「僕」が自分に、「君」が彼らに入れ替わるのだ。

2つほど具体例を挙げたが、他にも「宝石になった日」「You were here」(いずれもアルバム「Butterflies」収録)、「グッドラック」(「RAY」収録)、「ひとりごと」(「orbital period」収録)でも同じ感覚になる。不思議だ。不思議だけれど、その入れ替わりが、自分の気持ちを見つけてくれたように思えて、とても心地よい。

タイアップによる新曲の情報が複数ある。鋭意制作中とのお話も聞く。
そのうちの1曲「Spica」は、公開されている部分だけでも、同じような「入れ替わり」が起きている。
この「入れ替わり」はとても温かくて心地よい。
だけれど、これから届くであろう新しい音楽にそれがあってもなくても、「初めまして、よくここまで来てくれたね、会いたかったよ」と言える日が来るのが、私は楽しみで仕方がないのだ。

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