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生きるのは最高だ

BUMP OF CHICKENが唄う強がり

暗闇の中で、僕はBUMP OF CHICKENに出会いました。

家にも学校にも居場所がなく、ひとりぼっちに震えていた頃、古びたCDプレーヤーと100円のイヤホンが繋いだ世界で息をしてました。
何度も繰り返した音楽は、何度も僕に会いに来て、目を閉じれば、どこにだって行けました。
音楽が、僕の唯一の逃げ場所でした。

どうしようもないことっていうのは、たしかに存在します。
地震が起きること、病に罹ること、人が死んでしまうこと、大切な人に愛されないこと。
僕がひとりぼっちだった頃、僕の家庭は大変でした。
心を病む大人達を見て、僕はなるべく迷惑をかけないように息を潜めました。たくさん嘘をつきました。
誰かを守るために、自分を犠牲にしました。
だけど、大人達は自分から見て正しいことが好きなので、大人に怯え、身を隠し、嘘をつく僕を嫌い、傷つけました。
そこから逃げることも考えましたが、そんなことをすれば大人達に迷惑がかかります。だから僕は耐えました。
僕を傷つける人達を守るために、傷つけられることを選びました。
心臓の音さえ目立たないように、静かに息を止めていました。
嘘をつくこと、誰かを傷つけること、他人のものを盗むこと。ダメなことだけれど、ヌクヌクと生きてきた人が簡単にそれを否定するのを見ると、君はそれをしなくても生きていける幸せな世界にいたんだろう、と思ってしまいます。
だから、イケイケのバンドがイケイケの音楽で生きる尊さとか闘うこととかを伝えてるのを見ると、なんて無責任なんだろうと感じてしまうのです。
立ち上がれとか負けるなとか、立ち上がることさえ他人の迷惑になると思ってしまう人は、どうすればいいんだろうと。

BUMP OF CHICKENの音楽は、そういう風に捻くれていた僕に届きました。
きっとそれは、彼らの音楽が寄り添う音楽だからです。
いつまでも心に残るメロディーと、キラキラと輝く伴奏。
ギターは時に静かに叫び、時に激しく囁きます。
ベースはバンドの音を支え、自らも唄い踊ります。
ドラムは鼓動のように生き、バンドの音に熱い血を通わせます。
そして、いずれにも、どこか悲しい輝きが含まれてます。
まるで人間だ、と僕は思いました。
彼らの音楽は、まるで人間のように存在して、僕まで届いて、側にいてくれる。
そう気づいた時、僕はひとりぼっちじゃなくなりました。
以前、僕はひとりぼっちだし、誰かに愛されてる感覚は無いし、僕の居場所は真っ暗なままだけど、その暗闇は暖かい暗闇でした。

いつか、どこかで、藤原基央さんが
「僕達と出会ってくれて、僕達の音楽と出会ってくれて、ありがとう」
と仰ってました。
その一言で、僕の周りは色付きました。
ずっと暗闇の中で生きてきて、灰色の人生を送ってきて、なんのために生きてるんだろうって思ってたけど、僕の暗闇はBUMP OF CHICKENの音楽を迎える為にあったんだと思いました。
BUMP OF CHICKENにも、嬉しいこと、嫌なこと、忘れられないこと、忘れたくないけど忘れちゃったこと、色々なことがあって、そのすべてで音楽が生まれてる。
そしてその音楽は、少なくとも僕が受け取ったことで、意味があるものになった。
同時に。
僕の人生も、彼らの音楽を受け取ったことで、きっと彼らにとって意味のあるものになったはず。
そういう風に、世界は繋がってると思うんです。
そして、それは自分自身にも言えます。
今辛いこと。昔悲しかったこと。未来が不安なこと。
すべて、自分が輝くためにあることなんです。
今暗闇でも、きっと未来の自分は笑ってて、過去の僕に笑いかけてくれてるはずです。
「ありがとう。君が耐えてくれたおかげで、僕は笑えてるんだぜ。
過去の僕が未来の僕を救ってくれた。だから君は僕のヒーローなんだぜ。」
ってね。

BUMP OF CHICKENの音楽を辿っていくと、彼らの音楽が変わっていってることに気づきます。
荒々しかったサウンドは、重さを増し、綺麗に激しくなりました。
どこか怒りを孕んでいた歌声は、慈愛に満ちています。
だけど大切なのは、変わったものばかりを追うことではなく、変わらないものを抱きしめることです。
変化に勇気を、信念に愛を。
彼らの変わらないことは、いつだって彼らの音楽が、彼らの音楽のためにあることと、生きることに関して歌っていることです。
フレーズのかっこよさとか、流行りの構成とかで音楽を作るのではなく、生まれてきた曲のために弦を鳴らし、リズムを取り、喉を震わせるのです。
そうやって響いた曲が生きることを唄ってます。

「◯×△どれかなんて 皆と比べてどうかなんて
確かめる間も無い程 生きるのは最高だ」
BUMP OF CHICKEN / ray
だけど同曲中で
「ごまかして笑っていくよ」
と唄っているのです。
「大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない」
と。
生きることが最高だなんて、簡単には言えない。
人それぞれ傷を抱えて生きてる。
それはわかってるし、その痛みは計り知れない。
僕だってそうだ。
だけど、それでも生きるのは最高だって唄わなくちゃ。
その傷の始まりには、きっと大切なものがあるから。

BUMP OF CHICKENの音楽には強がりがあります。
それは彼らの感情と記憶の始まりに、大切なものがあるからです。
僕らだって同じです。
だから今、僕はBUMP OF CHICKENから受け取ったものや僕自身の記憶と感情を音楽や文章、生きることに繋げています。
今、この文章を読んでくれているあなたが、消えない傷を背負ってるなら、どうかその傷を抱きしめてあげてほしい。
きっとそれは大切なもののはずです。
もしも暗闇で自分を見失ってしまったら、ひとりぼっちを抱きしめてあげてほしい。
どうしようもなくなったら、BUMP OF CHICKENの音楽を聴いてみてほしい。
きっとあなたの心に寄り添ってくれる。
僕もあなたも、BUMP OF CHICKENも、みんなひとりぼっちだから。

この文章を読んでくれて、僕に出会うまで生きてくれて、どうもありがとう。

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