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チャットモンチーとわたし

チャットモンチーの完結に寄せて

2018年7月4日すいようび。
わたしはママと、二人武道館にいた。
チャットモンチーラストワンマンライブを見届けるために。
 
 
 
 

チャットモンチーとの初めての出逢い。
それは、わたしが中学一年生のとき。シャングリラのPVだった。

泣きながら、背中を押すようなまっすぐな歌詞。
ちょっとふざけてるみたいな、ポップなPV。
でも、この世界観、わたしが求めていたものだ!
中学生のわたしの心に、間違いなく、びしーーーーーーーん!と彼女たちの曲は響いた。
 
 

夢中でCDを集めて、あの頃、一人部屋にこもって、コンポで聴きまくった。
すごくいいよ、と勧めたら気づいたらママも聴いていた。

給食の時間に流す曲を放送委員にリクエストできる制度があって、3年生のとき、Awa Comeを流してもらったことがある。
チャットモンチーを聴きながら、給食を食べられるなんて、サイコー!と、幸せな気持ちでごちそうさまをした後の、昼休み。
友だちにすれ違うたび、「今日のリクエスト、あれがチャットモンチーなんだね!」、「誰がリクエストしたかすぐわかったよ」、「いい曲だね!」。
チャットモンチーのことで、みんなが話しかけてくれた。すごく嬉しかったなあ。
 
 

2011年4月。高校生になった私にYOU MOREが届いた。
自転車通学から電車通学へ。
セーラー服に身を包んで、何もかもが新しい生活。
桜の木の下をくぐり抜けて、通学の途中にいつも聴いていたから、今でもYOU MOREを聴くと、あの新品みたいな不思議な春を思い出す。
何だってできる気がした。希望に満ちた季節。

YOU MOREを聴いていたママが「チャットのライブ行こうよ、私も行きたい」と誘ってくれて、「え、チャットモンチーに会えるの!?」と、ドキドキしながら生まれて初めてライブへ行った。

YOU MORE前線。席は今考えても良席で前の方で、3人の顔がはっきり見えた。
「チャットモンチーに会えた・・・」それだけで、全身がドキドキする。
始まった途端、3人の演奏に胸を打たれる。CDだけじゃ、足りない音。生の音。
心がふるふる震えた。
みんな本物で存在しているんだ、そしてわたしの元へ、彼女たちのカケラが届いていたんだ。
しあわせに包まれて帰った。本当に来てよかったね、と笑い合って。
 

ほどなくして、くみこんの脱退が決まる。
衝撃だった。くみこんのドラムと歌詞がだいすきだったから。
チャットモンチーは、これからどうなっちゃうんだろう。もくもく、暗雲のように不安が立ちこめる。
でも、えっちゃんやあっこちゃんは、きっともっと不安だっただろう。
 

だから、満月に吠えろで、月みたいな満ち溢れたエネルギーと共に、二人が変身を遂げてくれたとき、さすがわたしがだいすきなチャットだ!と嬉しくてたまらなかった。
二人の姿に勇気をもらう。一瞬怖かった真っ暗に、黄色のカワイイドラムが、月のように輝いて、二人は、手を取り合って。
 

変身、そして共鳴。
もうスリーピースのチャットモンチーではない。
でも、形を変えて進化しながら存在し続ける、チャットモンチーへの愛は、たぶん初めて聴いたあのときから、わたしの中で変わっていない。
 

10周年の武道館。アリーナで、相変わらずわたしの心は、グラグラと揺れ動いていた。
チャットモンチーの、真ん中のコアの部分ってきっと、デビューしたときから、何にも変わっていないんじゃないか。
いつだってまっすぐで、武道館だと緊張もしちゃうけど、それでも今できる最高の音楽を、いつだってかき鳴らしてきた。
かわいいえっちゃんとあっこちゃんの間は、夫婦とか、親子みたいな、あったかくて、強い絆でがっちり結ばれている。
飛んで来たハートのメッセージを胸に抱きしめて、何重にも幸せに抱きしめられたすごいライブだった。
「やっぱりチャットはサイコーだね!」相変わらずママと笑い合って帰った。
 
 

わたしの日常にはいつも、チャットモンチーがいる。
一日一回は聴いていると思う。

「完結」という言葉を聞いたとき、悲しかった。でも、それだけじゃなくて、この言葉を選んだ二人が愛おしかった。
 

全曲打ち込みの「誕生」のリリース。
ラジオで先に、恐る恐る聴いた「裸足の街のスター」。確かに真新しいサウンド。でも、でも。
やっぱりチャットだー!!歌詞もいい。ちょっとほっとした。
 

そしてくみこんの歌詞で「砂鉄」。
あ、くみこんが帰ってきた。歌詞にくみこんが宿ってる!
新しいサウンドの上を、しっかり歩く歌詞が、未来で過去を振り返ってるみたいだ。

だめでもだめだめでも 許すよ

やさしさのアンサー。でもきっと、それはくみこんの隣で、えっちゃんが歌い、あっこちゃんがベースを弾いていたときからずっと、くみこんが思っていたことなんだろう。
一回離れたジグソーパズルのピースが、またくっつく感じ。前とは違う形ができた。
でも最初の形も今の形も、全部輝いているよ。そう思った。
 

ブックの誕生に寄せて。
読みながら泣いてしまう。
えっちゃんはもう、すっかりママなんだな。
あっこちゃんは、歌詞に悩んでた時期があったんだ。
二人の言葉は、歌詞と一緒でいつもまっすぐだから、わたしの心にすとんと収まる。
もう、クライマックスなんだ。
 

ああ、武道館、どうか来ないで。終わらないで。

サラバ青春を聴いて、卒業が怖くなったこと。
好きな人と話した日の幸せの余韻だった、終わりなきBGM。
えっちゃんに憧れて買ったストラトギターで弾き語りしていたミカヅキ。
失恋したとき、My Sugar Viewに癒されていたこと。
大学生で一人暮らしを始めて、料理しながら不意に流れた親知らずに、涙が止まらなくなってしまったこと。

全部の曲に、思い入れがありすぎる。
 

だけど、あっという間にその日はやって来てしまった。

ママと完結展を観に行って、チャットモンチーのヒストリーを辿る。
二人で写真を撮ってもらって、力を込めてメッセージを書く。
ママも結構、熱の籠ったメッセージを堂々と大きく書いていた。
二人で涙をグッと堪えて、いざ武道館へ。
 
 

最初に、カーテンが上がって、二人が怪獣姿で登場した瞬間。
手を取り合って、よし、と意気込む姿に「ああ、だめだ・・・」もう涙が溢れてきた。
やっぱり二人は、わたしがだいすきな二人だ。
躰がふわりと飛んでいけたら、二人の上に手を重ねていたと思う。
わたしも今日は、いつも以上に最後まで一生懸命聴くね。応援するね。

手を振る二人。
 

誕生の曲が順番に演奏されていく。
ちゃんと聴いてから行ったつもりだったけれど、歌詞がひとつひとつ、雫が水面に落ちるように、自分の中に響いていった。
砂鉄はやっぱり、くみこんの気持ちになってしまって、想いが込み上げてくる。
クッキング・ララはおみそちゃんが来てくれて、一気に楽しいモードに。
クセになるクッキング・ララ!でもこれは、一人で聴いていても、できないよね。

ライブってスペシャルでいいなあ、なんて呑気に思っていたら、惚たる蛍で、一気に初期のチャットモンチーへタイムスリップ。

染まるよ、は誕生のあっこちゃんの文章を読んでいたこともあって、この曲が生まれてきてくれて本当によかったなって思った。
そして いつだって そばにいたかった そんな歌詞でスリーピース時代を思い出してしまう。
あっこちゃんのこれでもかっていうくらい、力強くて、壊れちゃいそうなドラム。
でも当時きっとそういう気持ちで、歌詞を書いたんだろうなって思ったら、たまらなかった。ありがとう。
 

ほどなくして、ヒストリー映像。
このときに流れていた曲たちも、すごく愛おしかった。
若かりしデビュー前後。楽しそうなスリーピース時代。
くみこんの脱退。最後のライブの、3人の苦しい気持ち。
それをはねのける変身、サポート、そして今・・・。
ああ、なんて色々なことがあったんだろう。
でも今日までずっと、繋がってきたんだなあ。
 

第二部はストリングスチームの登場。妖精のようなあっこちゃんの指揮から始まる majority blues。
二人がやってみたかったことなんだろうな。自転車で30分、通ったライブハウスのこと、きっと二人は思い出していたんだろうな。

そのまま、森の中みたいな思いっきりナチュラルなアレンジのウィークエンドのまぼろし。実家のじぶんの部屋でよく聴いてたから、部屋が浮かんじゃう。
鳥の笛が、ぽぽぽぽってかわいいの。

例えば、は今日までのチャットモンチーを優しく夜空を見上げながら振り返るみたい。
僕らにまつわるすべてのことは ひとつも欠けてはいけなかった
絶対にひとつも
これは、昨日武道館にきていた全てのひとに通じるメッセージだ。
CDの音には入っていない、歌詞もちゃんと歌われていて、じんわりした。
例えば、「ありがとう」って言葉。

そして章さんをドラムに迎えて始まる東京ハチミツオーケストラ!
そこからはもう、一瞬だった。
「え、もう、最後の曲?早すぎる・・」

ラストナンバーはハナノユメ。
みんなでコーラスを歌いながら、どうかどうか終わらないで、と願うわたしがいた。
二人は、どんな気持ちでデビュー曲を奏でていたんだろう。

アンコールに応えて、みんなが出てきて安心する。
ドラムが響いて、シャングリラだ。
「みんなで一緒に叫ぼうぜ!」あっこちゃんのカウント。変わらないよ。
だいすきだよ。頭がいっぱいで、ただただ、腕を伸ばす。届けばいいな。ありがとう。
途中のギターソロ、「ながーーーーい目で見てよ」。
いつか、チャットモンチーがまた帰ってくる日が、あるかもしれない。
そんな希望が、キラリと光る。

そして、風吹けば恋。走り出した足が止まらない!!
二人もそうなのかな。わたしは今でも、たまに、自分でも信じられないくらい、誰にも止められないくらい、行動しちゃうことがあるよ。この曲をずっと聴いてきたからなのかな。
行け!行け!わたしの両足
二人が止まらなくなったら、そのとき、わたしは、きっと笑顔だ。
そんなことを考えて、腕を伸ばし続けて、終わってしまう。この曲も。
サビはもう、歌いすぎて、無意識に歌っちゃう。
でも二人の演奏で、一緒に歌えるのは、これで最後なんだ。
泣きたくなる、笑ってたいのに。
 
 

最後、座り込んじゃう二人。
「何か話すことないの」
あっこちゃんとえっちゃん。
今日はいつもと比べて、全体的に口数が少なかった気がする。
でも、演奏にすごいパワーと気合いがこめられていること、伝わってきているよ。
 

あっこちゃんが泣いちゃって、会場のみんなが応援する。
今まで辛いとき、苦しいとき、チャットの曲に救われたひとたちから、二人へのエール。
現れた光り輝くグランドピアノ。びろうどを演奏するのかな、なんて。
「歌えなくなっちゃうことも考えて、歌詞が出ます」と真面目なえっちゃん。
そうだよね、最後の気持ちは誰にもわからなかったよね。

サラバ青春

わたしの中で、敢えてチャットの一番を選ぶなら、この曲だな、と思っていた曲だった。この曲を聴けるというだけで、もう、もう。胸がいっぱいだった。
あっこちゃんの優しいピアノのイントロが、心をきゅうっと締め付ける。
卒業するってこういうことなんだって、知って怖くなった曲。
何でもない毎日がどんなに大切なことか、教えてくれた曲。
くみこんの歌詞が画面に表示されて、一緒に歌う。
えっちゃんが歌えなくなる。あっこちゃんはピアノを弾いてくれる。
いつだって二人は一生懸命だからだよ。
みんなが代わりに泣きながら歌う。声援が溢れる。
えっちゃんがまた歌う。みんなだいすきだよ、二人のことが。ありがとう。

演奏が終わって二人は抱き合う。ここでびろうどが流れる。

隣でママも泣いている。もう二人でチャットのライブにくることは、ないのかな。
一緒に新曲を聴いては、感想を言い合ったね。
中学生だったわたしはもう、大学院生になってしまったけれど。
これからも、二人でチャットの曲を聴こうね。
 

チャットモンチーは最初から最後まで、ずっとチャットモンチーだった。
いつだってわたしの青春そのもので。

サラバ青春。
だいすきだよ。
今までも、そしてこれからも。
ありがとうチャットモンチー。

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