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記憶を呼び起こされる音楽

GLIM SPANKY 夜風の街

最近、自動車通勤をやめ自転車通勤に変えた。
自転車通勤にして良かったことは運動量が増え肩こりが良くなったこと。
ストレス発散ができるということ。そして季節を感じることができること。
目に入ってくる景色が緩やかに流れるのはもちろん、肌身で風や温度を感じ、様々な音を聴き、様々な匂いをかぐ。
特に匂いは一番自分を覚醒させてくれる。
花の匂い、雨の匂い、車の排気ガスの匂い、暑い夏のむせ返るような草いきれの匂い、寒い朝の張りつめた空気の匂い。
匂いだけで私は一瞬の時間旅行を楽しむ。
それは本当に一瞬のことなのだが鮮明にその時の気持ちや情景まで思い出す。
しかし次の瞬間には夢が覚めたときのように消えてなくなる。
また再び思い出そうとしても夢を思い出せないのと一緒である。
匂いは嗅いだその一瞬で消えてしまい、形で残すことができない。
しかし、記憶にはしっかり残っていて、再び匂えばその時の情景までも呼び起こす。

音楽もまた匂いと同じように記憶を蘇らせる効果がある。
若い時に聴いた曲とともに当時を思い出すのはよくある事である。
しかし、初めて聴いた曲でも過去の記憶を呼び起こされたり、懐かしいと感じることがある。
これはどうしてなのか。

知的な表現を例えて、文化の薫りとか文学の薫りがするという表現があるが、
そのような歌詞やメロディーに触れると私は記憶を呼び起こされるのだ。

GLIM SPANKYの夜風の街という歌がある。
 

夕暮れを抜け出した夏の
空は静かに通り雨で、
攫ってゆくだけさ、
世界を洗ってゆくだけさ

街角は鳴るよ 響きだす家族の音
遠くに電車が行くよ
灯しだす街の色に染まったら
帰ろう 本当のことは知らずに 僕と
 

初めて聞いた瞬間に私は子供の頃の自分になっていた。
私の脳裏に浮かんだのはこんな光景だった。

学校の帰り道。
日が沈んですっかり暗くなり、閉店した店の看板だけが煌々と光っている寂しげな街。
1日が終わってしまった虚しさを看板の明るさがより強調している。

松尾レミの詩は私の目の前にはっきりと光景が浮かび上がらせてくれる。
そしてその光景が自分の記憶と一致した時に懐かしいと感じるのだ。

そしてこの歌詞の中には
“家族の匂い”
という表現も入っている。

寂しく歩く帰り道、どこからか夕食の匂いがしてくる。
家族との団らんのひととき。
楽しそうな声が聞こえてくるようだ。
そうだ、私も家に帰れば家族が待っている。
そして美味しい夕食も。

人との関わり合いが苦手で孤独を抱えてた学生時代。
でも家族は常に温かく、いつもと変わらず迎えてくれた。

私には帰る場所がある。
一番落ち着ける場所がある。

そんな気持ちを思い出させてくれる言葉だ。
 

私は今辛い状況に立たされている。
しかしこの曲を聞いて過去に思いを馳せてみると、
辛かった過去も自分にとっては意味のあることだったと思えるようになる。

だから私は前に進もうと思う。
この辛さがきっと意味のあることになることを信じて。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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