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完結行きの灰色のバス

チャットモンチーとの12年間

私がチャットモンチーに出会ったのは高校生のとき。

何の曲コピーする?となったときに友達が持ってきたのが、当時まさに流行っていた「シャングリラ」だった。
ただそのときは全くと言っていいほどカップリングには惹かれなかった。
じゃあ次に「恋愛スピリッツ」にしよう、となって、初めて聞いた。
歌詞のインパクト・3コードだけの構成・ドラムの多様なフィル。
当時の私にはコピーしてみないと気付けないすごさにあふれていた曲だった。
私たちが組んでいたコピバンも3人のガールズバンドだったので、その後も必然的と言っていいほど自然にチャットモンチーの曲をコピーし続けた。

高校を卒業して、メンバーが変わってもチャットモンチーの曲をコピーし続けた。
そう、高校卒業する時にはもうすでにチャットモンチーの虜だった。

大学生になって、ライブに行けるようになり、関東のライブはもちろん、大阪まで遠征した。
SNSで友達をたくさん作った。
私の世界はどんどん広がっていった。

YOU MORE 前線ツアーは埼玉・東京・神奈川を見に行った。
神奈川は延期になってしまったので、当初の予定と異なり、ツアーの最初と最後を見る形になったが、その最後の方の公演にあたる神奈川県民ホールのライブで違和感があった。

えっちゃんの歌い方がいつもと違ったのだ。

埼玉で聞いたときとは違う、力強いというか、多少の怒りに近いような、言葉にはできない何かそんな声色だった。

「真夜中遊園地」の間奏、くみこんが4拍でクラッシュシンバルを鳴らす音も、いつもとは違う何か強いものを感じで鳥肌が止まらなかった。
ライブで鳥肌するような体験は初めてだった。
 

その後、くみこんの脱退が発表された。
 

なにも考えられなかった。受け入れられなかった。意味が分からなかった。

YOU MORE 前線ツアーの途中で決まったということを知り、神奈川で感じたことは、ああ、そういうことだったのかと思った。
感情で音が変わることを知った。

ひと時の沈黙のあと、チャットモンチーは動き出した。
3人の時にすでに決定していた求愛ツアー。
チャットモンチーは2人しかいなかった。
整理番号が最後の方だったのでぎりぎりステージが見えるかどうかだった。

半分が新曲だった。
既存の曲はアコースティックのようで、そうとは思えない重みのある音だった。
全部が新曲のようだった。

チャットモンチーはその後「変身」という名の数々の挑戦を始めた。

私は今まで通り、ライブに行った。形が変わろうとも離れることはできなかった。
彼女たちはいつも想像を超えるようなことしかしなかった。
それは3人だろうと2人だろうと一緒だった。チャットモンチーはチャットモンチーのままだった。

えっちゃんの産休によって一時休止、結婚さえ知らされていなかったが、その時はまあ彼女ならそういうことしそうだもんね、と簡単に受け入れられた。

そして復活。
夏フェスの一番大きいステージでの復活。
かっこよすぎる。

ただステージ上はどう見ても4人編成のセットだった。
そわそわする。今度の変身はなんだ?

メンバーが増えた。
また想像を超えてきた。
その後またメンバーが増えた。
また想像を超えた。

毎回そわそわは止まらなかったけど、面白くてしょうがなかった。

新曲ができる一方で、既存の曲も変身していった。
どんどん離れられなくなった。

また2人に戻って、ライブやフェスで毎回ステージ上のセットが違った。
あれ、今日はドラムセットがない。
あ、今日はドラムセットがある。
シンセがそんなにたくさん?
毎回ライブを見ないとわからないことだらけだった。

その時くらいからあっこちゃんは「ついてきてくれてありがとう」と何度となく言っていた。
きっと変身するたびに不安だったのだろう。
毎回のように違うセット、久しぶりに見る人にとっては、チャットモンチーではないと思われるかもしれないスタイルだったのだから。
 

気づけば2人になってから5年以上経っていた。

チャットモンチーは『完結』を発表した。

当然、今回の発表は悲しかった。
けれど、なんとなく受け入れた。
きっともうチャットモンチーでやりたいことはやり切ったんだな、と思えたから。

ただ完結までに見ることが出来るのは3回しかなかった。
誕生会が増えたので4回になったが、といっても片手で収まってしまう。
ついていけるのもそれだけしかない。
発表当初はそうでもなかったが、武道館公演の日が近づくにつれてどんどん受け入れられなくなっていってしまった。

やっぱりいなくなってほしくない。
いなくなるのなんて考えられない。

武道館公演でさえ想像を超えてきた。
いつまでも彼女たちの考えることは予想できない。
私が今日初めてライブで見るような曲もやってくれた。
彼女たちは自分で楽しみつつ、私たち観客のことも考えてくれている。
心からついてきてよかったと思えた。

いつもはあっこちゃんが姉のようにえっちゃんを引っ張っているが、あの日はえっちゃんがあっこちゃんを引っ張っているシーンもあった。
最後のMCで、ああ、もう終わりか、と実感した。

「サラバ青春」

まさに、だった。

えっちゃんに、歌詞を出すから歌えなくなったら歌って、といわれたがそんなの無理だった、周りからも鼻をすする音しか聞こえなかった。

ステージから2人がいなくなって、しばらく動けなかった。
完結宣言当初とは違う。全く受け入れられなかった。

私の世界を広げてくれた、私の青春の12年間が終わろうとしているのだ。
そんなの受け入れられるはずがなかった。
でもチャットモンチーがそう決めてしまったのだからしょうがない。ついていくしかない。

きっと3人はそれぞれでまた私たちの想像を超えるようなことをし続けてくれるのだから。

完結行きの灰色のバスに乗ったチャットモンチーが、いつかピンク色のバスに乗って帰ってきてくれることをいつまでも待つしかない。

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