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夢がなくて金がなくて未来が暗くても、フラカンがあった

人生のどん底でフラワーカンパニーズというバンドに出会えた幸運

私がフラワーカンパニーズを知ったのは、7年前のことだ。病気になりネットで治療法を調べていた時、同じ病気の人のブログを見つけた。そこには、「この病気に苦しんでいる人なら、絶対にはまる曲。泣ける曲」と、ある曲の動画が貼られていた。

その曲は、フラワーカンパニーズというバンドの『深夜高速』という曲だった。動画サイトを見ると数多く投稿され、「泣ける歌!」、「名曲!」など絶賛されていた。

実際に何度か聴いてみたが、その時の私にはあまり響かなかった。「泣ける歌っていうけど、私には合わなかったんだな」と思い、画面を閉じようとした。

その時、関連する動画として、同じバンドの『東京タワー』という曲が表示されていた。『深夜高速』ほどの再生数も知名度もない。でも、その日はなんとなく「ついでに聴いてみようかな」と思い、再生ボタンを押した。

聴き始めて一分もしないうちに、私の視界は涙で見えなくなった。曲が終わるころには、声を漏らし泣きじゃくっていた。たった5分の間に自分に起きたことが信じられなかった。

「一体何だろう、この曲は?」

歌を聴いただけでこんなに涙が出るなんて、初めてのことだった。

魂に訴えかける、ボーカルの力強い歌声。すべてをさらけ出した、心に響く歌詞。

あの時、バンドの代表曲だけを聴いて終わりにしなくて本当に良かった。売れている曲だけが名曲じゃないとつくづく思った。今では『深夜高速』の良さがわかるが、バンドの売れている曲だけに注目してきた自分を反省した。

<もう何ヶ月も前のことだけど
一人で東京タワーに登ったんだ>

アコギの音色に乗せ、静かに独り言のように歌い始める。

<気の抜けたムード にごった空気 そして永遠に止まったままの時間
でもそんな中 東京タワーは いじけた様子ひとつ見せずに
この薄汚い世界の空を 豪快にぶっ刺して堂々と立ってた>

スカイツリーが注目を浴び、時代から取り残されてしまった東京タワー。

東京タワーへの「いじけた様子も見せずに薄汚い世界の空を豪快にぶっ刺して立っている」という表現に、圧倒された。

そしてその姿は、どんなに時代が変わっても、流行に流されずに自分たちの音楽をがむしゃらに続けてきたフラワーカンパニーズというバンドの生きざまそのものと重なる。

<ひとりぼっちの東京タワー 時代遅れの東京タワー
その姿は本当格好良くて 俺も東京タワーみたいになりたいなぁって思った>

ボーカルの歌声は徐々に激しさを増し、「東京タワーみたいになりたい!」と強烈に憧れ、勢いそのままに、張り裂けんばかりの声でサビに突入する。

<夢がなくて 金がなくて 未来が暗くても
友がなくて 彼女がなくて 体が弱くても

HEY HEY HO 奥歯 かんで かんでGO 
HEY HEY HO ぐっと ふんばって ふんばってGO>

夢も金もなく、未来は暗い。友も彼女もなく、体も弱い。これでもかというほど何もない状況を、サビで繰り返し歌い続ける。そして、そんな状況でも、「奥歯をかんでGO」、「ぐっとふんばってGO」と鼓舞する。力強い応援歌だった。

<負けて負けて 泣けて泣けて もう最低にダメでも>

汚くても格好悪くても惨めでも良い。這いつくばってでも生きていれば良い。この曲の力強いメッセージは、どん底の私を救ってくれた。

あれから7年。病気を治し、ライブに行き、今はフラカンの音楽を聴かない日はない。車の中、街の中、六畳一間の部屋の中。フラカンの力強い歌詞は、何度も私を救ってくれた。

<自己満足からはじめよう 世界はいつも馴れ合いだから
やりたい事をやるだけだ 全てはそこから始まるんだ>
『自己満足からはじめよう』

<生き続けてる事は最大のメッセージ
それが全て それが答え それ以外は どうって事ない>
『アイム・オールライト』

<これから 始まる季節に 胸躍れ
振り向くな 振り向くなよ 涙よりはやく走れ>
『涙よりはやく走れ』

<心臓の音が 聞こえたら それが全てだ
曖昧な羽を 焼き捨てて 風に飛びこめ>
『BELLBOTTOM JACK』

<地味でも 無様でも 惨めでも
根っこを張って 踏ん張ってろ 意地を張ってろ 笑ってろ>
『消えぞこない』

<ああ 未来は怖いけど 誰にも見えないよ だから生きて生き抜いて
後悔は辛いけど 後悔の重なりが 人生の厚みじゃないか そうだろ?>
『人生Roll On』

私がフラカンを知るきっかけになったブログは、まもなく閉鎖されてしまった。彼女がブログで曲を紹介したのは一度きり、『深夜高速』だけだった。その彼女が『深夜高速』を知ったきっかけは、深夜のラジオ番組だった。

もし、彼女が深夜のラジオを聴いていなかったら。
もし、私が彼女のブログを読まなかったら。
もし、動画サイトで関連する動画を見なかったら。
今思うと、フラカンに出会えた私は幸運だったと思う。

来年50歳になるフラカンのメンバーは、今日も全国をハイエースで移動しながら、ライブを続けている。

<やめたくないとか やめられないとか 誰かのためとか どうでもいいわ
できなくなるまで できなくなるまで できなくなるまで できなくなるまで>
『ハイエース』

最新のアルバムの中の一曲『ハイエース』で、「できなくなるまで走り続ける」と、力強く歌う。いつまでも続いてほしい。これからも、フラカンと共に年を取っていきたい。

『この胸の中だけ』という歌には、30年前の自分と大人になった自分が対話するシーンがある。「幸せって一体何だろうねぇ?」と大人の自分がつぶやいた時、小学生の自分が迷いなくこう答える。

「夢中になれるもの持ってるって事だろ?そんな事もわからなくなっちゃったの?」

自分が幸せかどうかはわからないけれど、夢中になれるものならある。
笑って、泣いて、胸が熱くなる。そんな気持ちにさせてくれる人たちなら、知っている。
フラカンよ、幸せにしてくれてありがとう。

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