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大森靖子「クソカワPARTY」に寄せて

超歌手からの履歴書を受け取って

超歌手の大森靖子が超名アルバム「クソカワPARTY」を出した。
 

「死神」
 

履歴書は全部嘘でした。
美容室でも嘘を名乗りました。
本当の僕じゃないのなら 侮蔑されても耐えられる。
 

この出だしのこのアルバムを聴いた瞬間、本作は大森靖子の履歴書だと思った。

2014年にメジャーデビューを果たした彼女がここで改めて、超歌手大森靖子自身をふんだんに表現してる。全曲に大森靖子が存在して、刺さる言葉が散りばめられていて、彼女の言葉に刺し殺され、そして蘇生されているように感じた。歌手として真っ向勝負すぎるとさえ思った。
 

「GIRL’S GIRL」

わかってほしいとか思わないけど
わからないとかちょっとどうかと思う
 

ぐうの音も出ない。
大森靖子はこんな想いを何度も繰り返し、命を削り、我々に音楽を通して、どれだけの愛とか優しさとかを届けてきたのだろう。彼女の孤独と引き換えに、一人じゃない夜を過ごせた人が何人いただろう。明日も生きようと思った人が何人いるだろうか。
 

「東京と今日」
 

宇宙か東京に行きたい ここは宇宙だし東京だけどさ
願ったところにしか行けないなんて嫌なの
 

愛媛から大学進学で東京に出てきた彼女。
非常に勝手だが、この曲を聞くたびに東京にも大学にも慣れていなくって、絵を描いていて、背負ってるギターが大きく見えてしまう大森靖子を想像してしまう。その時の彼女に会っている錯覚に陥る。
「東京ってなんかいいよね嫌いになれない。」って彼女が小さい声で笑って言ってくれてる気がしてしまう。
「東京」を歌ったアーティストは数多くいる。
彼女の歌う「東京」は東京で死ぬ程もがいて生きてきた人の今日だから、こんなにも優しくて寂しくて切なくて許される「東京」が歌えたのだ思う。
 

「わたしみ」
 

誰も知らない わたしみ
誰にもあげない わたしみ
消したい過去がわたしみ
強くなりすぎたわたしみを
わたしがしあわせにする

高いアイスが好きで 誤解されやすくて
バカなやつの理解をすこし諦めている
ふっかつのじゅもん ほんとはずっと覚えていた
 

こんな素晴らしいアルバムを作って、命削って、自分をさらけ出してくれた彼女は、正直で真面目で不器用で誤解されてしまう事もあるけど、誰かの孤独に寄り添える死神ではなくて天使なのだ。

彼女の音楽に触れるたび「あぁこれは私のことだ」と思っていたが、本作は少し違った。もちろん共感とかグッとくるとかあるのだけれど、アルバムを聴き終えたあと、めちゃくちゃ大森靖子が超歌手の大森靖子をぶつけてきたなあと思った。
彼女が「超歌手の大森靖子です!!死神じゃなくて、あなたに寄り添える天使です!!」っておどけた笑顔を見せてくれてるように感じた。

力強く生きなくていいし、ブサイクで不器用だって、嫌われたって明日はくる。

だけど、大森靖子がクソカワPARTYに誘ってくれたし、天使からの履歴書を受け取った私たちは、明日も、なるべくかわいく生きていくのだ。

それぞれの「わたしみ」を抱きしめながら。
天使とのクソカワPARTYは終わらない。

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