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INORAN 風のような音楽家

変容する才能

「え?!むかしからLUNA SEAにこんな人いた?!」
同世代(30代)の友人がINORANの最近のライブ映像を観た感想である。

INORANという音楽家は不思議だ。
本人も作品のモチーフとして例えにあげている「風」のようにとらえどころがない。
音楽も自身の印象も、季節ごとの風のように変容させていく。

1997年、LUNA SEAとして一年間の活動休止中に発表された
ソロデビューアルバム「想」からして驚きだった。
同時すでにヴィジュアル系の旗艦バンドとして信望を集めていたLUNA SEAにおいて、
寡黙な雰囲気をまとい叙情的なサイドギターを聴かせていた彼が
ソロデビュー作として世にはなったのは、
DJ KRUSHをゲストに迎え、HIP HOP、トリップポップの要素を取り入れた作品だった。
雑誌のレビューには”ブリストル系”と評されていた。

ラップといえばDA.YO.NEしか知らなかった当時中学生の私は、
なんじゃこれ〜〜!と松田優作バリに叫び、
こんな音楽があったのか〜〜!と目を開かされ、
ブリストルってどこー?と世界地図も開いた。
えらいこっちゃ。

1998年にLUNA SEAとして再活動開始、
2000年に発表されたgravityはどこか陰鬱で刹那的でしかし美しい
それまでのLUNA SEAとしての彼の作品群を結晶化したような名曲と言っていいだろう。

同年暮れにLUNA SEAは一旦終幕を迎えるが、
母艦から旅に出た彼はさらにその世界を広げていく。

2001年、OBLIVION DUSTのKEN LLOYDと共にFAKE?を結成。
ゴリゴリのオルタナティヴロックでフロアを揺らしたかと思えば、
2005年には、RYUICHI、葉山拓亮と共にTourbillonを結成、
こちらは上質感のある大人なロックチューンが中心になっている。

ソロとしては、叙情的な雰囲気はそのままに
ボーカリストとしての表現力を作品ごとに高めながら
(ステージでギターを弾かない時期もあった)
2010年には「Watercolor」という傑作を発表している、ん、
ですが、姉さん大変です!なのが、その次作!
2011年に発表された「Teardrop」は突如グランジバリバリで
低く構えたジャズマスターをかき鳴らしながら
がなるような迫力あるボーカルを聴かせ、
「Watercolor」の余韻にしっぽりしていたファンを驚かせる。

えらいこっちゃ。

まるでひとところに囚われるのを嫌う風のように、
するりとイメージを翻し、昨日とは違うINORANの音がある。
だが不思議とそこに散漫さはない。
どの時期の音楽にも共通して、芯のような「INORANらしさ」と
共通する美しいメロディがあり、音楽的なジャンルは違えども
「INORANの音」と識別できるのだ。

2017年にはソロデビュー20周年記念作として
セルフカバーアルバム「INTENSE / MELLOW」を発表してるが、
このアルバムはまさに、ジャンルの異なる過去作の
服を脱がせ芯のメロディだけをとりだして、
INTENSE=ロックサイド、MELLOW=アコースティックサイドに
再構成した作品で、オリジナルと合わせて聴くことで
そのメロディの存在感を再認識できる素晴らしいコンセプトアルバムになっている。

日本の音楽好きであればLUNA SEAの名前を知らない人はいないであろうし、
メンバー各々の音楽的素養の高さも周知されているとは思うが、
INORANという風のように変容する才能については、もっと知られてもよいと思う。
おまけにすごく、顔立ちが端正なんです。
えらいこっちゃ。

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