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あいみょんーー悔しいほどに、あなたが好きだ。

この人、なんか凄い。第六感の言うことは大抵正しい。

暗いライヴハウスの最後列、壁にぺったりと背中を預けていた。
初めての、あいみょんのライヴ。
前列の盛り上がりとは対照的に、ステージの照明が届かないここは私語をやめない運営会社のスタッフと、試すように彼女を見る褪せた視線ばかりだった。
いい加減黙ってくれないか。目の前の女性スタッフにいよいよ声をかけようとした時、暗転したステージに立つ彼女を一筋のライトが照らした。

「どうせ死ぬなら二度寝で死にたいわ
欲を言えば 父ちゃんと母ちゃんに挟まれて」(*)

どこまで伸びるんだ、この声。
みずみずしい。だけど少し苦い、一度聴くとどうしても耳について離れない情念のようなあいみょんの声が、真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに一番後ろの壁に張り付いていた私のところまで鋭く届いた。

誰の声もしない。物音ひとつ聞こえない。
水を打ったようとはこういうことなんだな。無意識に冷静さを取り戻そうとしたのかそんな場違いな思考を頭の隅に浮かべたが、次の瞬間にはまた、ただその声に聴き入っていた。
本当に楽しそうにギターを弾く彼女を見ながら、ああ、戻れなくなったなあとじんわり、心が沁みた。

初めて聴いた曲は、ファストファッションブランド店の店内ラジオ流れた「君はロックを聴かない」だった。
アルバム「青春のエキサイトメント」がリリースされた直後の時期。蒸し暑い晴れた午後。
ラックにかかる服を次々眺めていた手を止め、放送に聴覚を集中させた。曲後にタイトルとアーティスト名が読み上げられるのは分かっていたから、聞き逃すまいとして。

「この人、なんか凄い」

それが第一印象だった。
その後決まった「テレロブツアー」(*2)のチケットを、すぐさま入手したのは言うまでもない。「行かなければ」という使命感がふつふつと心を滾らせていた。
 

終演後のライヴハウスで、誰もいなくなったステージをぼんやり眺め、来て良かった、大正解だったと充実感が体に満ちるのと同時に、誰にも真似できない、日本語なのに聴いたことのない、難しくないのに胸に刺さると取れない歌詞を書く、そんな才能のかたまりが悔しくて顔を上げられずにいた。

最近は、「もうあいみょん歌詞書かないで」なんてことも思う。私は何様のつもりかと自問するが、悔しくて、聴くたびに自分の中の記憶ともリンクしてそれもまた辛くて、もう聴きたくないと思ってしまう。

けれど、通勤の車で、就寝前のベッドでいつも耳に彼女の声が聴こえている。
そしてまた悔しい思いをしに、涙を流しに、そして少し笑うために、彼女の、大好きなあいみょんのライヴに足を運ぶのだ。
 
 

あいみょん、悔しいほどに、あなたが好きだ。
 

(*)アルバム「憎まれっ子世に憚る」収録曲「どうせ死ぬなら」の歌詞
(*2)AIMYON TOUR 2018 -TELEPHONE LOBSTER-

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