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ジャンプした少年

チャットモンチーの「完結」に寄せて。

『チャットモンチーのこなそんフェス2018』から帰宅し、自室のベッドに寝転ぶ。押し寄せる喪失感。
いつからだろう、という思いが終演後、ずっと頭を支配している。
 
 

95年生まれ、関東在住、男性。ロックバンドを聴き出したころには高橋久美子は脱退していて、徳島の田舎の原風景にも共感しきれず、ガールズバンドの夢を彼女たちに見ることもない。聴き始めた理由は、高校生の時好きな人が軽音楽部で演奏していたから、というだけ。大学生になってライブに行ったらMCのグダグダっぷりに心底幻滅。たまたま出会っただけで、タイプど真ん中のバンドなんかじゃない。まあ音楽性は良いと思うし、好きな人が好きだから、追いかけてみようかな。そんな程度。
 

それでも今、彼女たちの「完結」にこんなにも心を揺さぶられている。
ああ、そうか僕はチャットモンチーが大好きだったんだ。
 

それはいつからなのだろう。
『COUNTDOWN JAPAN 14/15』で颯爽と現れて披露したオルタナティブな新曲『ぜんぶカン』の衝撃からか。「誰もが不安を抱える世界で きみは襟を正している」(『きみがその気なら』)という詩が背中を押した就職活動からか。『機械仕掛けの秘密基地ツアー』で披露した『レディナビゲーション』で歌う生き様に痺れて以来か。『消えない星』を聴いた帰り道以来か。それとも、たったさっき、晴れやかな表情で舞台を去る姿を見てからか。

結局のところ正解は分からない。そんなものないのかもしれない。一つだけ分かるのは、「完結」を彼女たちが選ばなければ、彼女たちをある意味で失うことにならなければ、僕はこの感情に気づかなかったであろうこと。卒業式を終えてから恋心に気づくなんて、ベタにもほどがあるけどね。
 
 

明日から、チャットモンチーのいない日々が始まる。
その時、僕たちはどう生きていけばいいのだろう。
 

喪失感はあるけれど、絶望感は無い。なぜならば、その問いへの答えはきっともうチャットモンチーの曲の中にあるから。あとは、僕がそれを見つければいい。
こなそんフェスの最終日、別れの日に、『ツマサキ』の「今の顔もっとよく見せて 写真に撮るの間に合わないかな」という詩が新しい意味を帯びた。フッと、聴きなれた曲が人生に発見を与える瞬間がある。これが音楽の魔法なのだ。

いつか僕は、この喪失への答えも見つけるだろう。
通勤電車で。布団の中で。夕方の商店街で。一人で立つキッチンで。最寄りのコンビニへのハネムーンで。アイスクリームの解ける道で。熱燗の沁みる食卓で。文庫本のページの隙間で。懐かしい高校の門前で。また訪れた徳島で。今の街で。新しい街で。チャットモンチーを聴くのにピッタリの、あらゆる瞬間に、僕は幾度となく見つけるだろう。

そして呟くのです。あなたを好きでいてよかったな、と。
 

2018年7月23日

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