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2017年4月26日

イトウマ (18歳)

リッケンバッカーと魔女の音が響く

リーガルリリーというバンドについて

リーガルリリーの音楽を初めて聴いたのは2015年の6月頃だったと思う。
私はいつも通りラジオをつけて「SCHOOL OF LOCK!」を聴いていた。その日の放送内容は10代限定の夏フェス「未確認フェスティバル」へ応募された楽曲のオンエアだった。私はドキドキしていた。自分と同じ10代のバンド、しかもプロでもない自分と何も変わらない学生が、かっこいい音楽を作っているという事実が妙に胸を高鳴らせた。
そんななか、リーガルリリーの「魔女」が流れた。サビに入った瞬間、反射的に”ヤバい”と思った。心臓を思いっきり握りつぶしたような感覚が私を襲ったのである。
それから何週間か経ってリーガルリリーは、新木場スタジオコーストで行われるファイナルステージに進むことが発表された。
私はどうしてもあの時の感覚が忘れられず、新木場スタジオコーストに1人で行く事にした。東京は家族旅行で何回か行ったことがあるものの、1人で迷宮のような東京駅を抜けられる自信がなかった。それでも行きたいと思った。

ライブは帰りの新幹線の時間もあり結果発表までは見れなかったが、リーガルリリーのライブは目に焼き付けるように見た。本当に素敵なライブだった。1バンドわずか15分の持ち時間だったが、東京駅での不安や1人でここまで来た事、そして学校で流れてゆく日々、すべてが報われたような幸せがあった。東京まで来てよかったと心から思った。
結果発表は新幹線に揺られながら確認した。準グランプリという結果に喜びと不満が吐息と一緒に口から漏れた。
それでも今日の演奏を思い出したら結果なんかどうでもよくなった。

それから約1年後、「リッケンバッカー」という曲のMVが公開された。
「魔女」とは違うリーガルリリーがそこにはいた。苦しくて悲しくて、だけど少しの希望を信じたくなるようなそんな曲だ。
そしてその後、初の全国流通版「the Post」が発売される。私はフラゲ日に学校からの帰り道の途中にあるHMVでこのミニアルバムを買った。家に帰ってからはすぐにCDプレイヤーで聴いた。”あぁ、好きだ。”と思った。改めて言うことではないが私はリーガルリリーというバンドが大好きなのである。本当に好きだとこのミニアルバムを聴いて確信した。特に「ぶらんこ」という曲がこの上なくいい。この曲のサビの歌詞の

『ねおきのわたしははらをすかせ/あなたがほしいとキスをしたら/いきててよかったとおもえたよ。』

『わらえないはなしをすこしして/きみがふりむいてわらったから。/あぁ、すきだ。』

という2つの部分がとても好きだ。
生活感があり小説のような言葉遣いでありながら、歌声とメロディでどこまでも幻想的に聴こえる。この曲こそがリーガルリリーの真骨頂と言ってもいいほど素敵な曲だと思う。

同じ年の11月に初の東名阪ツアーが行われ、私はその名古屋編に参加した。運のいい事に私は前から二列目で見ることができた。
ライブハウスに入ってから不安だった。ライブハウスに入るのは久しぶりだったし、このライブハウスには初めて入る。おまけに少しボロい。周りは自分より年上の人ばかりで安心することも出来ずとにかく不安で、帰りたいとさえ思った。
それでもライブが始まって音が鳴った瞬間にそれらの感情全てが覆った。ここに来てよかったと思った。不安で帰りたいとさえ思っていたのに、今はここにいる事を嬉しく思った。1年前に東京で見た時と同じような事をまた感じている。リーガルリリーにはライブを見た人を肯定してくれる力がある。
ライブが終わって改めて考えると、音や声さらには姿にまで圧倒させられていたんだと思う。触ったら崩れてしまいそうな繊細さを持ちながら、ものすごい力で私は音の中に包まれていた。本当にすごい体験をしたと思う。それなのにメンバーはとても楽しそうに演奏していて、心から音楽を楽しんでいるようだった。

未確認フェスティバルで準グランプリを獲得して以来、着実に活動の幅を広げてきたリーガルリリーがさらに勢いをつけた出来事がある。
「関ジャム 完全燃SHOW」という番組で、音楽プロデューサー蔦屋好位置が選ぶ2016年の名曲ベスト10の4位に「リッケンバッカー」が選ばれたのである。この効果もあり、「リッケンバッカー」のMVは再生回数100万回を超えている。

未確認フェスティバルで準グランプリまで導いた曲は「魔女」だと思う。しかし蔦屋好位置に選ばれたのは「リッケンバッカー」である。要するにリーガルリリーを代表する曲は現在2曲あるということである。
よく若手バンドで、ある1曲がものすごい有名になり、その曲だけが一人歩きしてしまっている状態を見かける。
その”一人歩き”している曲が、リーガルリリーは2曲あるのである。しかも結成してまだ約3年である。おそるべきバンドである。

リーガルリリーはきっとこの後、もっともっと大きくなると思う。そして、たくさんの人に音楽を届け、たくさんの人の生活を彩ってくれると思う。リッケンバッカーと魔女を武器に、音楽界に”私が初めて「魔女」を聴いた時の感覚”を与えていってほしい。

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