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曲と私の打ち明け合い

BUMP OF CHICKENの「望遠のマーチ」を聴いて

リリース日、およびフルオンエア予定が事前告知されていた、BUMP OF CHICKENの新曲「望遠のマーチ」。
御多分に洩れず、私も配信開始日の0時に配信サービスで購入し、ワクワクしならオーディオに落としたのだが。
驚いてしまった。もうとにかく驚いた。
スマートフォン向けゲームアプリのCMソングとして部分公開されたものを聴いた時と、デジタル配信シングルとしてフルバージョンがリリースされた今とで、印象が大幅に違った。それは、フルバージョンによって明らかになった2番の歌詞によるものだ。

“嘘と本当に囲まれ 逃げ出す事もままならないまま
秒針にそこを指されて止まっている
失うものはないとか かっこいい事言えたらいいよな
本気で迷って 必死にヘラヘラしている”

ちょうどこの時期の、濃くて青くて低い空と、真っ白に眩しい入道雲の似合いそうな、ギターの爽やかなイントロ。駆け出したくなるような速いテンポ。もしもライヴでお目にかかることが出来たなら、腕を目一杯に突き上げて応えたくなる、シンプルなのに印象的なサビ。
1番はアプリのプロモーションとして少し前に公開されていて、そこまでを聴いた私のイメージは前述の通りだが、2番冒頭のこの辺りでぐっと、言葉と一緒に音も重く鋭くなる。
ぶすり、と刺された気がした。それも一気に、結構な深さまで。
考えるのをやめて、できるなら逃げ出してしまいたいこと。どうせそんな勇気もないこと。さあどうしようって迷ったまま、曖昧に笑って進めずにいること。閉まっておいた、上手く隠せたと思った気持ちのことを、またしてもぴたりと言い当てられてしまった。
ああ痛いな、と思った。実際、涙も滲んだ。
だけれどそれは、言いたくて言わずにいたことを見つけてくれて、「わかるぜ」と言ってもらえたような気がするからだった。

この歌を聴いていると、私は曲と、あるいは作り手である彼らと「打ち明け合い」をしているような気持ちになる。
「これこれこういうことがあってね」「ちょっとしんどいんだよね」ということを零す。少しくらい境遇が違っても、同じような経験や抱えているものがあれば、「それな」って苦笑いする。苦笑いでも笑い合う。
その場でいい解決案が出るかもしれないし、出ないかもしれない。大体は出ないことの方が多い。大抵は、第三者の正論ではどうにもならない事情がどしりと横たわっている。
それでも心は大なり小なり軽くなって、またぼちぼち明日から頑張ってみようかねと思うのだ。

“絶望 希望
羽根は折れないぜ もともと付いてもいないぜ
いこう いこうよ”

違いないや、とちょっぴり苦笑いしながら、私は顔を上げる。
ここまでが嵐だったかどうかは分からない。誰かと比べたら平穏だろうけど、比べたってしょうがない。
この先を飛んで行ける羽根がないのは確かだろうけど、行けるところまで行くのだ。
またこうして手を取ってくれた、彼らの音と一緒に。

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