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ROTTENGRAFFTYは京都を背負い「今ここに立つ」

ROTTENGRAFFTYが身体で示す「地元を背負う」ということ

バンドと「地元」は密接に結びついていると思う。

そもそも、バンドというのが高校や大学の同級生で結成されたり、地元の友人や知り合い同士で結成されることがほとんどだからか、地元というものに重きを置いたり、地元を盛り立てるためのフェスを主催するバンドは多い。

10-FEETの「京都大作戦」やG-FREAK FACTORYの「山人音楽祭」など、その地域を前面に押し出したフェスは、それだけですでにアツい、名フェスになることが目に見えている。

自分が今、最も追いかけているバンド「ROTTENGRAFFTY」もそんな地元を愛するバンドだ。

ROTTENGRAFFTYは京都出身の5人組バンドだ。ライブやバンドが好きな人なら、フェスのタイムテーブルで一度はその名前を見たことがあると思う。

毎年12月に行われる「ポルノ超特急」はもちろん京都で開催され、ステージの名前は「金閣」「銀閣」と名付けられ、ステージのデザインなども京都をモチーフにしたものばかり。

それだけではなく彼らのバンド名にちなんだ「ロットンの日」「逆ロットンの日」というイベントも、大抵京都で開催される。

極め付けには代表的な曲である「響く都」だろう。
歌詞の隅々までに京都が詰まっており、ライブではメンバーによる「響く都!」という煽りが響きわたる。

ここで自分の話になってしまうが、幼少期に父の仕事の都合で、引っ越しを何度か経験した。
今住んでいる場所に落ち着いてから10年ほど経つが、いまいち「地元」という意識が持てなかった。

そのせいか、ROTTENGRAFFTYがライブやインタビューなどで見せる京都に対する愛情や想いを見るたびに羨ましいような、ちょっとやっかむような、複雑な気持ちになることも多かった。

けれど京都という土地を愛する彼らは堂々と凛々しい。

例えば京都から遠く離れた土地でのライブや、いまいちフロアが盛り上がっていないライブなど、ROTTENGRAFFTYにとっては少しアウェイ気味なライブに臨む時、彼らは叫ぶ。

「俺らが京都からやって来たROTTENGRAFFTYだ」

時にはライブが始まる寸前、ビリビリとした空気を打ち破るように、ある時には燃え尽き今にも倒れ込みそうなライブの終わりに、ステージに立った彼らはそう叫ぶのだ。

今からフロアにかましてやるぞとぎらついた意気を吹き込むとき、あるいはフロアに負けそうになったり、崩れ落ちそうな身体を立て直すとき、彼らは「京都」を背中に乗せて叫び、歌うんだと思う。
一見強面で、触れ難いオーラをまとった彼らが叫ぶ姿は、ごった返す人混みの中であまりに正しく輝いていて、ただの一ファンでしかなく、地元らしい地元も持たない自分でも、どこかその想いに触れられ、地元というものを愛せるような気持ちになる。

そして、そんな魂からの叫びは、彼らのホームグラウンドである京都で、さらに強さを帯びるのだ。

さきほども触れたが、彼らが主催する「ロットンの日」というイベントは、KBSホールというイベントホールで行われる。

普段はカルチャー教室や舞台などで使用されるらしいKBSホールは、ROTTENGRAFFTYの登場で汗水飛び散るただのライブハウスに変わる。

個人的な感じ方だが、KBSホールでのライブはいつも命がけだ。
京都というROTTENGRAFFTYが愛する土地で、普段以上に熱気が溢れるせいか、ゴリゴリのライブハウスバンドのライブに適したホールではないからか、とにかく呼吸は追いつかず、人を飲む勢いの圧はおどろおどろしく、ライブが終わったときにはいつも瀕死でホールを出るという体たらく。

そんなKBSホールだからこそ見ることができる景色がある。

KBSのステージには大きなステンドグラスが鎮座している。
おそらく、誰も人がいない時はひっそりとKBSホールを見守っているんだろうな、と思わせるような神々しい雰囲気のステンドグラス。

ROTTENGRAFFTYのライブが始まってすぐ、ステンドグラスは幕に覆われていて、まさかそんなものが存在しているなんて思わせないくらい、ひっそりと息を潜めていた。

けれど、ライブも終盤が見えてきたある瞬間、幕はゆっくりと取り払われ、視界が奪われんばかりに煌びやかなステンドグラスが現れるのだ。

はじめてそのステンドグラスを見たとき、あまりの美しさに息を呑んだ。

そして一拍遅れ、ああまで荘厳で神様じみた光を持つステンドグラスに、一切負けずに歌い、叫び、音を響かせるROTTENGRAFFTYに気づいた。

普通、というものが何なのかは定義はできないが、普通なら芸術品のように美しいステンドグラスに負けてしまい、引き立て役のようになることだってありえたと思う。

けれどROTTENGRAFFTYはステンドグラスにも負けていなかった。
ROTTENGRAFFTYのボーカルであるNOBUYAさんは、そのステンドグラスを背負い、泣きそうなくらいに顔を歪めて、それでもステージにしっかりと立ち、叫んだ。

「俺らが、ここ、京都で生まれ育った、ROTTENGRAFFTYだ!」と。

何度も聞いた、彼らをその都度奮い立たせてきたであろう言葉は、京都という土地の中心で、あまりに切実に、ずしりと響いた。
汗臭くて、満員電車みたいに身体があちこち痛むようなフロアにもまれながら、一筋、涙が出るくらいきらめいた光を見た。

これからも、ROTTENGRAFFTYはあらゆる土地でステージに立つのだろう。

そのたびに、京都で生きてきた証と誇りを背中に乗せて、彼らは叫ぶのだと思う。
 
 

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