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東京事変「心」を指針にして

未来への絶望の中で

人生のサウンドトラックを作るとすれば、
私は20ー25歳期で東京事変の「心」を選択するだろう。

部屋の音楽コンポで聞いていた深夜枠のアルバム。
「心と云う毎日聞いているものの所在だって
私は全く知らない儘大人になってしまったんだ」
彼女の言葉にハッとした。

当時、20歳だった私は大人になることが怖かった。ただ人生の年数を重ねて、年齢だけで大人という括りに分類されているような気がした。
確かに、経験も思い出も知識も年齢と共に増えた。でも自分のことは分からなくなっていく気がした。私はなんとなく年を重ねていた。

ほっといても時間は進むし、大学を卒業した。なんとなくこれかな?という感じで就職して、上京した。
社会人になっても大人になることが苦しくて怖かった。新しい場所でどんどん塗り替えられて、時間や思い出は更新されていく。生きているから当たり前のことだけれど、そう思うとなんだか切なくなった。
仕事は別に楽しくなかったし、私とは関係ない理不尽な理由で毎日誰かに謝って頭を下げていた。そんな仕事だった。正直故郷に帰りたかったし、何が正しくて幸せなのか分からなくなった。同期もいて東京にも友達は居た、でも何だか心は孤独で空洞で宙ぶらりんな気がしていた。その度に私は事変の「心」を聞いた。

それから間もなくして私は故郷に帰ることにを決めた。それが正しくて全てだと思っていた。
確かに故郷は温かくて優しかった。家族も友達もみんないた。だけど私は相変わらず「心」を聞いていた。分からない日々は続いていた。なんとなくな毎日を続けていたからなんとなくな未来しか目の前にはなかった。未来への不安は絶望へと変わっていくような気がした。
結婚する友達、新しい一歩を踏み出す友達も増えてきた。私はどんどん置いていかれるような気がした。隣の芝生は青く青く澄んで見えた。誰かの人生が羨ましかった。私は私であることを辞めたくなった。何にそんなに絶望しているのか?言葉にすることは出来ない。なんて言ったらいいのか分からない、形のないものだった。未来へただ、ただ絶望していた。

そんな中、私は椎名林檎のライブへ行った。彼女を見るのは幸運なことにも3度目だった。
やはり圧倒された。彼女の歌声に、演出に、演奏に鳥肌がたった。私のなかの暗い闇を全部忘れさせてくれた。日々の迷いやもどかしさを彼女の歌声が全て昇華してくれたように思えた。

ああ、人生変えよう。そう思った。若干25歳で私はなぜだか人生の全てを諦めようとしていた。一瞬にして目が覚めた。このままなんとなく大人になんかなりたくない。そして帰宅して、また「心」を聞いた。決意が固まった。

そう、私は彼女が歌うように、泳ぐことを決めた。これまで幾度となく聞いてきたフレーズだったがこの時は心の奥底まで鳴り響いた。私は覚悟を決めた。何度溺れても、わたしは泳ぐことを選ぶ。流されそうになる毎日、なんとなく浮かんでいるだけじゃダメだ。自分で舵を取らないと人生の流れは変える事が出来ないと知った。私は私の人生と向き合うんだ。

それがきっかけで私は思い切って人生の舵をとった。来月から、ずっと無理だと思っていた音楽に関わる仕事をする。この道が正しいか幸せになれるかも分からない。心の所在も未だ分からない。けれども、私は私の人生を泳ぐ。何度溺れかけても必死にもがいていこう。今後も迷った時きっとこの曲を何度も聞くだろう。一曲がこんなにも私を変えてくれた。東京事変をもう一度見ることは叶わないが、彼らはいつも私の心の中に。「心」は私の心の指針となった。

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