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flumpool 4thアルバム『EGG』に見る彼らの新機軸

阪井一生のCメジャー(/Aマイナー)とFメジャー(/Dマイナー)から分かる「新しいflumpool」

現在活動休止中のflumpoolだが、5周年記念のベスト盤からおよそ1年の準備の後にコンセプトディスク『FOUR ROOMS』をリリースして以降、シングル4枚・アルバム1枚・数多くのライブと、昨年末の活動休止まで彼らは走り続けて来た。特に今回は音楽的に非常に興味深かった。
僕は曲の調(スケール)が好きだ。半分オタクと言ってもいい。調というのはCメジャーとかBマイナーとか、曲全体を通してのキーのことである。調によって曲の雰囲気が変わることについては、なんとなく理解して頂けると思う。僕はその調が漂わせる曲全体の空気感というものがたまらなく好きなのだ。そこでこの文章では、調に注目した「新しいflumpool」について考察したい。
今回は便宜上、平行調はまとめて扱うことにする(例えば、楽譜でシャープもフラットも無い調にはCメジャーとAマイナーの2つがあるが、これを一つとして扱おうと思う)。
flumpoolの殆どの作曲を担当するのはギターの阪井一生さんだ。阪井さんの作曲で最も多いのはCメジャー(/Aマイナー)である。例えばデビューミニアルバム収録の『Hello』や定番のラブソング『two of us』はCメジャーだし、阪井さんが手掛けたFNS27時間テレビ内のドラマの劇伴もAマイナーが多かった(気がする)。
逆に少ないものの一つにFメジャー(/Dマイナー)がある。2016年3月の『EGG』リリースまでは2ndアルバム収録の『ギルト』という1曲のみで、この曲自体も背徳の愛をテーマにした、flumpoolのパブリックイメージからは離れた曲だ。そしてこの後2014年に山村さん、亀田誠治さんと組んだTHE TURTLES JAPANで出したシングル『It’s Alright!』(阪井さん作曲)もFメジャー(/Dマイナー)で、僕は「Dマイナーってのはflumpoolらしさを取り払おうとして使ったのかなあ」とぼんやり考えていた。
そこに来て『EGG』のリード曲『解放区』である。この曲、最初はflumpoolで最も多いCメジャーで始まる。しかしブリッジで突然転調し、サビではがっつりとDマイナーになるのだ。flumpoolの「らしさ=これまでのflumpool」と「らしくなさ=これからのflumpool」が見事に繋がったことを音楽的にも示していて、雷に打たれたような衝撃を受けた。更に『EGG』にはもう一つ、『絶体絶命!!!』というDマイナーの曲がある。アルバム全体を見て最後に入れたというこの曲も『解放区』同様にハードで、flumpoolの新たな面を打ち出している。
また、思えば『EGG』リリース前のカウントダウンライブでは1日目に、おそらく収録アルバムのツアー以来の『ギルト』が披露されていた。既にFメジャー(/Dマイナー)への想いがあったのかも知れない。
そしてEDM調の『FREE YOUR MIND』の後、昨年3月にリリースされたシングル『ラストコール』はFメジャーである。ついにFメジャーがシングルになるまでに至ったのだ(ちなみにカップリングの『ナミダリセット』はCメジャーで、2つ合わせて映画『サクラダリセット』前後篇の主題歌になっている)。flumpoolはFメジャー(/Dマイナー)を通して新しい彼らの在り方の一つを示した、ということである。
直近のリリース『とうとい』はD♭メジャーだったが、活動休止後に阪井さんが作曲し、作詞を元チャットモンチーの高橋久美子さんが手掛けたばってん少女隊『無敵のビーナス』は(半音上がるラスサビ以外は)Fメジャーであった。Fメジャー(/Dマイナー)は阪井さんの中で新たなスタンダードとして確立したのかも知れない。
ちなみに現時点で次に少ない調は『今年の桜』『for no one』の2曲のみであるA♭メジャー(/Fマイナー)だ。こちらの動向にも注目したい。
flumpoolファンとしては尼川さんのCho_Nansの活動も気になるところだが、阪井ウォッチャーとしても復活して最初の曲の調が今から楽しみである。

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