1518 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

尾崎世界観は最弱のヒーローだ

ロッキン2018のGRASS STAGEでクリープハイプに救われた弱い私の話

音楽を聴く人なんて、大体みんな弱い人間なんだろうと思う。

それも、まだあんまり売れてない大好きなバンドのライブに勇気を出して行ってみたけど最前列に行くのはキャラじゃないなんて自分に言い訳をして壁際に寄りかかっているような人は、99%弱い人間だと思う。たぶん友達になれる。

弱い。言い換えれば自信がなくて、劣等感ばかりで、自分の感覚が世間とズレていないか気にしてばかりいて。イビツな自分の価値観が本当は可愛くて仕方が無いんだけど、誰にも肯定されなくて寂しがってる。そんな人間(つまり筆者のこと)だ。

弱い自分に、スタイリッシュな音楽はなんだか似合わない。三代目J Soul Brothersの流行りの歌を口ずさむと「嘘つき」と誰かに後ろ指さされている気がする。ワンオクやSuchmosも格好良くて惹かれるが、それを聴いている自分は普段使わないサングラスをかけてしまったみたいにむず痒い。

尾崎世界観は、そんな気恥ずかしさをごまかすためのぬるい缶チューハイみたいに、弱い私にやさしい。

「毒舌を売りにしたあのタレントがクイズの答えをわざと 間違える」ーイエスタデイワンスモア
厳しい物言いで人気の芸能人が実は誰よりも空気を読んでいる。そんな光景を目の当たりにした時のなんとも言えない悲しさを。

「こうやってエイトビートに乗ってしまう ありきたりな感情が恥ずかしい」ー手
音楽に救われた時の嬉しさと同時にこみ上げる、自分の感情が所詮誰かに「分かられてしまうもの」だったのだという拍子抜けした気持ちを。

尾崎世界観は知っているのだ。情けなくてみみっちくてダサい気持ちを。「え、わたしの日記読んだ?」と思うくらいに。「てかむしろ、尾崎世界観の方がダメ人間なんじゃね?」と安心させてくれるくらいに。彼の歌詞は弱さで溢れている。

そして、

「辛くてたまらないなら 酒飲んで酔っ払ってそのまま朝になるまで寝てれば良いよ もう大丈夫だから」ー大丈夫

そんな弱さを、乗り越えるんでも捨てるんでもなく、「酒飲んでとりあえず知らんことにする」という究極にクズい方法で解決(?)している。

私は曲を聴くといつも、クリープハイプのあまりの格好悪さに笑ってしまう。そして、いつの間にか救われている。

彼らは決して「君は1人じゃない」とか「君なら出来る」と背中を押してはくれないけど、「まぁ弱くても生きてはいるし」「俺もそういう時ある。めっちゃわかる」と、隣に並んで安い缶チューハイを一緒に飲んでくれる。

そして、そういう友達といる方が、案外ラクだったりするものだ。

彼らはどんどん人気が出て、タイアップも受けるし朝のニュースに出てるし、「みんなの」クリープハイプになり始めている。
けれど、尾崎世界観は変わらない。ロッキンでも髪はボサボサだし、どう考えてもフェス向きでない「5%」を歌うし、中学生が見に来ているのに下ネタばかり言う。
彼らは変わらずダサく、格好悪くいてくれる。そして大きなステージの上でも、変わらず「わたしの」弱さを歌ってくれる。

その姿が、本当に本当に格好いいのだ。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい