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星野源の「アイデア」にマグマを見た

洋楽オンリーだった私が星野源の魅力に取りつかれたわけ

私はもう60を超えた。いつの間にかそんな時間が過ぎた。

私は音楽を愛してきた。小学校4年の時に出会った洋楽に魅せられ、英語を志し、英語教師になった。つい最近まで、かたくななまでに洋楽だけを聴いてきた。どこか日本の歌謡曲やJポップというものを認める気にはなれなかったのだ。

そんな私が「星野源」という音楽家に出会い、いわゆる「沼」に落ちた。入口はご多分に漏れず「恋」という曲。それから、「YELLOW DANCER」で惚れ、「Stranger」で抜けられなくなり、「エピソード」「ばかのうた」に酔いしれ、いまではSAKEROCKを日々聴くような生活になった。

欧米のハードロックばかり聴いていた私だったので、友人からは、「なんであなたが星野源?」という怪訝な顔をされる。
「だって、いい曲ばかりなんだよ。」
「ふーん」

理由はいろいろある。あげたらきりがない。声、音作り、独創性、ジャズやR&Bの香り。そして星野源という人の生き方そのものに揺り動かされた、というのもファンの間では共通項だ。

それでも今まで、その魅力の正体ははっきり言葉にできてはいなかった。そんな時、彼は「アイデア」をリリースした。そこに、その正体はあった。

その曲は、星野源のすべてを包括するように、そこに鳴っていた。衝撃的な展開は聴くものの魂を鷲掴みにして、これが星野源だ!参ったか!と高らかに歌っている。彼が、その研ぎ澄まされた感性がゆえに傷だらけになった心と、その突き上げるような音楽への衝動を、ストレートに生々しく、ないまぜにした完全体の星野源を見せていた。それは、その心の中にずっと持ち続けてきたマグマのようなものが放出される様のようでもあった。

私は今まで、いろいろなことにチャレンジしてきた。英語教師という職業に就き、結婚を機にその安定の職業を捨て上京。いくつかの職業を経て大学院に入学。再度大学講師として教壇に立った。子供ができたことでその仕事も辞め、翻訳しながらの子育てに専念。その後キャリアに戻るためにもがき続け、50の声を聞いてから英語教育関連の会社を起業。起業した仲間との方向性の違いで退職。今は教育関連の物書きを目指すも苦戦。

結局何も極められずここまで来た私。「もう今更」という言葉が私を支配し始めた。しかし、心の中には、いつまでも鎮まることのないマグマがたぎっていて、消し去ろうと思えば思うほどその熱量は増幅し、内部から私を蝕んだ。

そんなときに出会った星野源だった。体の中のマグマに蝕まれ苦悩する時期もあって、それでもがむしゃらに自分の求める音楽を追求して、形にしてくる。孤独や怒りも、楽しいことへの衝動も、彼にとっては今や渾然一体となって力の源になっているのだと熱くなった。「アイデア」には、そんな星野源の狂おしいほどの激しい生き方が鮮やかに映し出されている。

星野源の生き方は、私の「今更」を「今から」にしなければいけないことを教えてくれる。マグマを力にしてみようかと思わせてくれる。それが星野源の魅力の根源にあった。

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