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大好きなラーメン屋とクリープハイプ

死ぬまで一生愛せるもの

クリープハイプが9月26日に最新アルバム『泣きたくなるほど嬉しい日々に』をリリースする。
 

ここ1~2年の彼らが生み出す作品からは、以前のクリープハイプが殻を破ったような、これからさらに多くの人の心を震わせていくに違いないという印象を受けている。
 

『泣きたくなるほど嬉しい日々に』という今までになかった光の射すようなタイトルからも、これまでのアルバムとは格段にレベルが異なる作品になるのだろうと想像が膨らむし、何より早く新曲を聴きたい気持ちが日に日に高まりアルバムの発売を心から待ち望んでいる。
 

そしてこの感情の高ぶりや期待は、個人が抱く感想の範疇を超えて、言葉を交わさずとも多くの人と共有している想いであることが、SNSや各メディアの記事を見ていても伝わってくる。
 

ある雑誌のインタビューで、インディーズ時代のアルバムやメジャー1stアルバムが今でも評価される尾崎なりの理由を語っていた。

ここまで書いといてなんだが、私がクリープハイプに本格的にハマりだしたのはフェスで初めてライヴを見た2年前からである。

なので、インディーズ時代のアルバムやメジャー初期のアルバムはしっかり聴いたことがなかった。
 

ということで、Spotifyでメジャー1stアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』をリピートする日が始まったのだが、

『愛の標識』『イノチミジカシコイセヨオトメ』『手と手』という1~3曲目までの流れにすぐに私の耳が虜になった。
 

特に繰り返し聴いているのは1曲目『愛の標識』。

印象的なギターリフから始まる、アルバムの1曲目を飾るにふさわしい名曲だ。
 

そして何より尾崎が耳元で叫んでくるフレーズが頭を駆け巡る。
 

「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」と。
 

そこで、ふと考えた。
 

「自分が死ぬほど愛しているものはあるだろうか」と。
 

なかなかすぐには思いつかなかったが、これだろうと自信を持って言えるものをなんとかひとつ見つけた。
 
 

ラーメンだ。
 

私の地元はとんこつラーメン発祥の地で、私も物心ついた時にはラーメンが好きだった。
 

特に、4~5歳から現在まで通っている個人経営のラーメン屋が作る、並盛りが2人前くらいあるラーメンと焼き飯が冗談抜きで世界一好きだ。
 

カウンター8席に4人用のテーブルが3脚。従業員は店主とその妻、そして店主の母親。
 

昔は先代である店主の父親も厨房に立っていたが、数年前に他界されたようで、今は店を3人で回している。
 

アルバイトも一切雇ってないのは何か理由があるのだろうが、店内に「超人手不足のためお待たせします』との貼り紙まで丁寧に貼ってある。
 

そんな回転率の悪さが明白な店のラーメンを求めて、月曜から土曜までほんとに多くの人が来店する。
 

30分待ちは当たり前で、時には来店してから目の前にラーメンと焼き飯が運ばれるまでに1時間以上かかる。
 

それにもかかわらず人は列に並ぶし、私ももちろん並ぶ。それほどヤミツキになる何かが、そこには存在するのだ。
 
 

しかし、私が大好きなそのラーメン屋は今の店主の代で閉店することが決まっている。
 
 

私の大学時代のアルバイトの先輩が、店主の息子と偶然知り合いなのだが、

聞いたところによると、どうやらその息子はラーメン屋を継がず美容系の道へ進むそうだ。
 
 

なので、私の大好きなラーメン屋はいつかは分からないが、おそらく数年のうちに閉店することが決定している。
 
 

従業員の一人である店主の母親もご高齢で、おそらくこの先何年も厨房に立ち続けられるとは思わない。

もしかしたら、来年の今頃には無くなっているかもしれない。
 
 

その事実を知った私がどう思っているかというと、意外と普通に終わりを受け入れる覚悟がある。
 
 

もちろんひとりのファンとして、このままずっとお店が続けばと思う事はあるが、

少なくとも「店が死ぬまで一生愛していく」とは思っているし、あのラーメンにはお店の方の愛を感じている。
 

終わるときには「ありがとう」と「おつかれさま」を心の底から伝えて店に別れを告げたい。
 

悲しみよりも感謝の気持ちの方が強いのが本音だ。
 

実際に閉店の日が決まれば、また変わるのかもしれないけれど。
 
 

死ぬほど愛して止まないものが、いつかは分からないが必ず失われると分かっている時、

「どうせ失われるのなら」と、それが失われる前に自ら見切りをつける人もいれば、

終わりの瞬間まで自分が示せる最大級の愛情表現を続ける人もいるだろう。
 
 

「愛するものの終わりを見たくない」も「愛するものの終わりを見届けたい」も、

どちらの感情も「愛」から生じており、どちらがいいとか悪いとかは存在しない。
 

ただ、個人的に大切だと思うのは

「終わりまでの過程をどう過ごすか」ということだ。
 
 

私は、いつ終わりが来るか分からない分、それまでに食べるラーメン一杯一杯に最大級の感謝を込めながら食べたいし、帰り際に店の方に直接「ごちそうさま」を伝えたい。
 

バンドという特殊な生き物も、ある意味いつ終わりが来るかなんて分からない。
大好きなバンドが本当に突然活動休止や解散することも珍しくない。
 

だから、クリープハイプというバンドが、何度も無くなりそうになって、それでも生き続けて、こうして史上最高の状態で最高のアルバムを届けてくれる今に、心からの感謝を送りたいと思う。
 

もし今好きなバンド、バンドじゃなくて両親でも友達でも恋人でも食べ物でもイベントでもなんでもいいから、
 

死ぬほどじゃなくとも、少しでも「良いな」「好きだな」と思うものには出来るだけその思いを直接伝えるべきだと、私は思う。
 

愛はどうせ簡単には忘れられない思い出になるんだから、真っ直ぐ伝えても行き止まりになって伝えられないかもしれないんだから、
 

せめて自分くらいは真っすぐに真っ新でいたいと思う。
 

クリープハイプに死ぬまで一生愛されるとは思ってないけど、クリープハイプが死ぬまで私は愛し続けたいと思ってるよ。

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