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つづく日々を、音楽と共に

星野源が変えてくれた音楽に対する考え方

音楽について語る。
まだ20歳そこそこの若者が偉そうなことを言っていると思われるかもしれない。
でも、私は音楽が好きだ。
だからこそ、話したいことがたくさんある。
共感してくれる人もいれば、何を言っているか理解出来ないという人もいるだろう。
それでもいい。それでも書きたい。

こんな宣誓文のような書き出しで音楽について書くことになったきっかけとなった人が、星野源というアーティストだ。
先日、第2回目が放送されて大きな話題となった、NHK『おげんさんといっしょ』を観て、音楽に対する熱量が画面越しに十分すぎるほど伝わってきた。また、新曲『アイデア』を聴いて、星野源がいかに音楽を愛しているかを感じることができ、自分も音楽について考えたことを書きたくなったということだ。

星野曰く、「間違えてもいい音楽番組を作りたい」という思いから、『おげんさんといっしょ』は作り上げられていったらしい。自分の好きな音楽について語り、生演奏で歌い、踊る。生放送で、なおかつ生演奏なので何が起こるか分からないという緊張感もありつつ、その場で、その瞬間でしか生まれない音楽を楽しみ、味わう。そんな光景を観て、音楽はそういうものなんだ、むしろそうあるべきなのかと感じた。歌詞を多少間違えても、途中で歌うのをやめて踊り出してもかまわない。それはそれで、一度しかない音楽との出会いだと考えてほしいという思いが、根底にあるのかもしれない。

そういえば、『おげんさんといっしょ』という番組が私には新鮮に感じられたのはどうしてだろう?

今日の音楽番組が完璧を求めすぎているからかもしれない——
私が最近の音楽番組を観て感じていることが、そのまま問いの答えになると思った。
とはいうものの、私自身も無意識のうちに、音程、リズム、歌詞…すべて完璧な音楽を求めていたかもしれない。音楽番組を観ていて、少しでも間違うと、「あぁ、今歌詞間違った」とまるでのパフォーマンス自体が欠陥品であるかのような反応をしてしまう。そんな間違い探しのような音楽の味わい方でいいのか?と自分に問いたくなる。
また、生放送の音楽番組によくあることだが、トークがどこか台詞のように無機質に感じ、パフォーマンスも時間に追われている感じがすることがある。しかしそれは、時間内にすべての出演アーティストに歌ってもらわなければならないため、時間配分を細かく設定しているからであり仕方のないことであると思う。だが、『おげんさんといっしょ』は違った。
これまでの音楽番組とは一線を画した番組を星野源は作りたかったのだと思う。実際、彼の無類の“アイデア”とそれを受け止めた制作陣により実現されている。加工品ではなく、その場所、その瞬間でしか味わえない、鮮度の良い生もののような音楽を『おげんさんといっしょ』は届けてくれた。どうりで新鮮に感じるわけだ。そして、

音楽はもっと自由だ。
音楽はもっとシンプルだ。
音楽は生きている——

私の音楽に対する考え方が変わった瞬間でもあった。

そして、星野源の新曲『アイデア』を聴いた。
遊び心がちりばめられ、音楽への愛が詰め込まれた、至極の一品。
最も印象的なフレーズは、

《つづく日々を奏でる人へ》(アイデア)

この言葉を聴いて、この曲は今を生きる全ての人に寄り添う曲であると確信した。何というか、メッセージ性があるという感じではなく、私たちが生きる毎日の隣にある曲という印象を受けた。満員電車に揺られ通勤したり、学校の休み時間に友達とくだらない話をしたり、晩ご飯の話をしながら子供と家に帰ったり…そんな日常のどんな場面にも寄り添うという曲はそう多くはない。私たちの何気ない生活のかけらが音楽の中に取り込まれている気がして、音楽というものを身近に感じることができた。
そして、曲の1番と2番で演奏形態が異なるところも、聴く者を惹きつけて離さない魅力の一つであると思う。陽と陰のコントラストが、私たちにまるで何曲も聴いたかのような満腹感・充実感を与える。しかし、曲が終わる時、その満腹感は心地よい眠気に変わるのではなく、次へ進む熱いエネルギーに変わる。曲の最後の銅鑼は、まさにスタートの合図のような気がしてならない。『アイデア』は私たちが前に進む、そして星野自身が前に進むために必要なパワーが秘められた曲だと感じた。

『アイデア』のミュージックビデオも絶品だ。
ラジオ番組などで、「この曲を自分の名刺代わりにしたい」という話をしているのを聞いてはいたが、その思いがミュージックビデオにも、こんなにも表れているのかと驚くと共に、いいものを作りたいという彼の熱い思いを感じ取ることが出来た。
ミュージックビデオに関しての話の中で、彼の音楽に対する姿勢が明らかとなった、あるラジオ番組での発言がある。
「ミュージックビデオにあえて無音の時間をつくったのは、楽曲を買ってくれる人がやっぱり一番得をしてほしいから」

今の時代は、音楽を買わなくても聴くことができる時代である。CDの売上も減少していることも知っている。しかし、そんな時代でも音楽を買って聴く人がいる。楽曲自体とミュージックビデオに違いを設けることで、彼はそんな人たちへ、ささやかに、最大限の感謝を示しているのではないかと思った。自らが作った音楽を愛してくれる人へ真摯に向き合い、いい音楽を届けるために一切妥協しない姿勢が、彼の発する言葉からも滲み出ていると感じた。星野源という素晴らしいアーティストに出会うことができ、私の中の何かが確実に変わった気がした。
 

“音楽がないところで生きていけますか?”
こんな質問がきたら、以前の私はこう答えただろう。
“もちろん生きていけます”
しかし、今の私の答えは、
“生きてはいけますが、確実に寿命が短くなる気がします”

もっと音楽について知りたい、学びたい。
もっといろんな音楽を聴きたい。
そして、聴いた音楽の素晴らしさを多くの人に伝えたい。
今の私にはそんな思いが溢れている。
だから、その気持ちを大切にしていきたい。

最後にひとつ。
語彙力が乏しい私にこんなに文章を書かせるほどの星野源の音楽に対する熱量そして愛情は、音楽に姿を変えて、つづく日々を生きる私たちに確実に届いている。そんな気がした。

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