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エレカシと私を繋いでくれていた歌

20年の時を経て再び、そしてその先へ

2018年、只今私はエレファントカシマシに夢中だ!

大学時代から一人旅が唯一の趣味で、バックパッカーとして旅に魅せられてきた。これまでいろんな国に行った。
去年、「2018年はどこか遠くの国に行けるかなぁ~」なんてぼんやり考えていた。
しかし!
その長年の趣味を差し置いて、
自分でもゾッとするほど今エレカシに夢中なのだ!!
間違いなくこの先もずっと。
悲しいことに私の住む田舎には共感してくれる友人は周りにいない。
「あのエレカシ?あの髪ぐしゃぐしゃにする?宮本さん?・・・へぇ~」ってな反応ばかり。
寂しいので今度エレカシTシャツを着て街へ繰り出し、エビバディ(エレカシファン)に声をかけられるまで歩いてみようかとさえ半分本気で思っている。
エビバディいるのかな??私の町に。

エレカシと私の人生・・・・記憶を辿ってみる。
覚えてるのは唯一、黒づくめの4人が座り、宮本さんがマイクを持って喋っている・・・・・サングラスをかけた司会者と。
そう、某歌番組でのトークの一場面のみ。肝心の歌の記憶はゼロ。エレカシというといつもその映像が目に浮かんでいた。なぜか。
当時中学生の私が抱いていたエレカシの印象は、
「このボーカルの人変わった人だな。どこか暗くて時々話がちぐはぐでかみ合ってないし」
苦笑して思わず目を逸らしてしまった記憶がある。
でも『今宵の月のように』は当時の流行曲の一つとして大好きだった。
今思えば歌詞に込められた思いなんて中学生の私には本当はわかっていなかったのだが。

あれから約20年が経った2016年秋。家への帰り道。
私の人生はこの先どうなっていくんだろう・・・3年後、いや2年後きっと転職してるだろうなぁ・・
そんなことをぼんやり思いながら静まり返った団地の中を歩いていた。
無意識に口ずさんでいた。
 

「く~だらねぇとつぅ~ぶやいてぇ 醒めたつら~してある~くぅ・・・・」【今宵の月のように/1997】
 

この曲いいよなぁ・・・エレカシかぁ。
ふと見上げた夜空に月が見えた。
社会人になってから行き詰った時に何度か同じ瞬間があった。なぜか決まって頭に流れるのは『今宵の月のように』。
中学以来聴いてないのに。CD持ってないのに。社会人になってからはもっぱら洋楽聴いてたのに。
そしてこれまで流行りの邦楽を多少聴いてはいたが、その中にエレカシはいなかった。
今だに不思議でしょうがない。どうしてあの時突然この曲を口ずさんだのだろう。

数日後CDを借りて聴いた。そうそうこの声だぁ!うっとりした。
でもそれまでの私の人生はそれほど音楽と共にある人生ではなかったし、ましてロックなんてほとんど聴いたことがなかった。
その時は好きな曲を飽きるまでひとしきり聴いてそれで満足した。なぜかそれ以上の興味は湧かず、翌年の30周年全国ツアーも知らなかった。

転機は2017年11月。
紅白出場のニュースをきっかけに初めて見たエレカシのライブ映像だった。
『ハナウタ』やピアノバージョンの『風に吹かれて』。
はぁぁぁ~と思わずため息が出た。こ~んなに歌上手い人だったんだぁ。
瞬く間に虜になった。
そして次に見た『ガストロンジャー』。
衝撃的だった。
えぇっ!?違う・・・私の記憶してるエレカシじゃない・・・・・
な、何者なんだろう?この人たち一体・・・。
これはただ事じゃないと思った。とんでもないものを見せつけられている感覚だった。
私は急いで情報を探した。えっ!!30周年?!全国ツアー?!我が地元は・・・?
1か月前に終わっていた。
そして大晦日。
私こんなにエレカシ好きだったっけ?と思うほどあの曲を待ちわびている自分がいた。
そして画面いっぱいにキラッキラに輝く宮本さんのドアップから始まった『今宵の月のように』。
とにかく素晴らしいとしか言いようがなかった。
想いが歌と演奏から溢れ出していた。一言一句丁寧に誠実に歌い、一人でも多くの人に届けたいという気持ちが手に取るようにわかった。
まだ宮本さんの人柄も、他のメンバー3人のことも、4人の関係性も、バンドの歴史もよく知らなかった時だったのに、彼の歌う姿に理屈ではない一瞬で伝わるこのバンドの凄みを見た気がした。

途轍もなくかっこいいバンドだったんだ!!
そしてなんとか3月のツアーファイナルのチケットを手に入れた。
それまでは毎日曲を聴き、4人がそばにいないのにいるような感覚、深い深いところで大切な何かを共有できているような、全てをわかってくれているような感覚でメロディと歌の世界観と宮本さんの歌声に心を打たれていた。
しかし、さいたまでのライブ初参戦。
今4人は確かに私の目の前にいるのに、
「あぁ、この人たちは思っていた以上に遠い遠い世界にいる人たちなんだ・・・」
とさえ思ってしまう程の想像を遥かに超えたオーラと圧倒的な歌と演奏。地響きのような歓声が上がる中、縦横無尽に動き回り、あの空間を一瞬で支配してしまうパワフルな歌いっぷり。気持ちいいほどに見事に歌い上げる宮本さんに圧倒され続け、気づいたらアンコールになっていた。

それから今日まで次々に知ることになる彼らの音楽とバンドの歴史に度肝を抜かれ、感動し、大笑いし、時に胸が詰まるほど切なくなり涙が溢れた。
私の知らなかった20年、宮本さんがどんな思いで曲を作り四人で届けてきたのか。
そして、20年前私が初めてエレカシに出会う前にすでに彼らには10年もの歴史があったということも。もっと言えばメンバー3人の出会いは約40年も前に遡るということも。
なぜこれほどまでに魅了されるのか。なぜ今なのか。エレカシのすべてを知りたいと思った。

知れば知るほど、エレカシを知らなかったこの20年間が悔やまれてならなかったが、不思議なことに妙に納得する自分もいた。
うん、悲しいけどやっぱりどう考えても学生時代の自分や20代の自分にはエレカシの凄さはわからなかったと思う。
仕方ない!今出会えたんだから、間に合ってよかった!

私は大学卒業後、社会人になり毎日がむしゃらに働いていた。
自分の体に鞭打ってハードな仕事に必死についていった。
20代後半、うまくいかないことや失敗は不思議とスパイラルのように続き、何をやっても暗闇に落ちていくようだった。自分にできることだけを精いっぱいやってればそれでいいという甘い考えなんて許されない!
大きなプレッシャーで押しつぶされそうだった。

ある春の休日、
庭で母親が育てた花畑の中で夢中になってカメラのシャッターを切る姉の姿に、一体何が楽しいんだろうと死んだような顔で家の中から見ていた。色とりどりの花も私の目にはモノクロにしか映っていなかった。
大好きなお寿司だって食べても味がしない。
休日もうれしいのはずなのに、外出してちょっと歩き回れば頭痛でもう帰りたくなる。
もうどうしたらいいのかわからなくなっていた。
たとえあの時、「がんばろうぜ!」「ドーンと行こうぜ!」という言葉を耳にしていたとしても、当時の私は「こんなに頑張っているのにまだ頑張らなきゃならないの?まだ苦しまなきゃならないの?もう限界」と叫んでいたと思う。
どんな言葉も励ましも一切受け付けられないほど心も体も疲れ切っていた。
たしかこの時期は音楽自体しばらく聴いてなかった気がする。
結局仕事は辞め、新たな生活がスタートした。

社会に出て十数年。浮き沈みがあり、うれしいことも悔しいことも恥ずかしいこともたくさん経験した。
だからこそ今エレカシの曲が心に刺さるのだと思う。
20年前に聴いた『今宵の月のように』の歌詞に込められた意味が今ようやくわかった気がした。
自分の人生とダブるのだ。
今私は、『ガストロンジャー』や『so many people』を作った当時の宮本さんと同じ年頃になった。驚くほど歌詞が胸に刺さり、曲の世界観に引き込まれ、歌声に惚れ惚れする。
今の私と同じ年齢だった当時の宮本さんは何を思いながら生きていたのだろう。聴き漁り、見漁り、読み漁った。

エレカシの曲には、古くても新しくても、繊細でも激しくても、聴く人の心を揺さぶる不思議な力がある。かっこいい自分もかっこ悪い自分も、その時の気持ちを嘘偽りなくすべて歌にさらけ出しているからだろう。彼の誠実さ、純粋さが全て聴き手に伝わるのだ。
今年6月の日比谷野音。
『珍奇男』での狂気に圧倒され、
『月の夜』ではまるで演出されたかのように雲の切れ間から現れたおぼろ月と歌の一体感に震え、
『シグナル』では拭っても拭っても流れる突然の涙に自分でもびっくりした。
自分の意識とは違うもっともっと奥深いところでエレカシの音楽を浴びているんだろうか・・・。

昨年末から今日まで、正直自分の日常生活がエレカシの曲でこんなにも彩られるなんて想像すらしていなかった。
今こうしてエレカシのファンになっていることなんて20年前の私には全く想像もつかなかっただろう。当時暗い印象を持ったあの4人に私は今夢中なのだ!!

そしてファンになってから知った事実。
『今宵の月のように』は、当時の宮本さんが本当に作りたいと思っていた曲ではなかったということ。
ドラマのために作った曲で全くスタイリッシュだとは思っていなかったということ。
でもその曲が当時中学生だった私の心に確かに届き、私の気づかないところで特別な曲として心に刻まれていたこともまた紛れもない事実なのだ。
そう、1997年にこの曲を聴いた時からすでに始まっていたのだ。
20年間この1曲が、細い細い糸のように切れることなくエレカシと私を繋いでくれていたのだろう。
そしてこの先もその糸は決して切れることはない。
それどころか、毎日エレカシの曲を聴き好きな曲がどんどん増え続けている今はもう、その糸は何重にもなってエレカシと私をがっちりと繋いでくれている!!!
 

エレファントカシマシはこの先もさらなる高みへとまた一歩ずつ歩みを進めていくのだろう。
この先、一日でも長く一曲でも多く4人で歌を届け続けてほしい。
本当に切実だ。
宮本さんは「四人で売り物になる曲を作りたい」と言っていた。
ぜひ突き詰めてほしい。

エレファントカシマシの虜になった昨年末、
昔読んだ本の中で出会った言葉が頭に浮かんだ。
 
 

短い一生で
心魅かれることに
多くは出会わない
もし見つけたら
大切に・・・大切に・・・
 

写真家・星野道夫さんが生前残した言葉。

私はこれから先もずっとずっとエレファントカシマシを追い続けようと思う。
そして彼らの曲をずっとずっと大切に大切にしていきたい。
 

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