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私は私だ

SUPER BEAVER らしさ

ー自分らしさってなんだ?

初めてそう考えたのはいつのことだったろう。
 

私は母と分かり合えない。

中学生の頃、母は毎日私に上司の愚痴を言い続けていた。
「愚痴言っても何も変わんないしさ、家にいるときぐらい仕事のことなんか忘れて、楽しく笑顔でいようよ!」

何気なくそう言ったら、すごい剣幕で怒鳴られた。
「あんたは良いよね。何があっても気にしないもんね。笑顔でいれないからあんたに話してるのに、その考えがあんたらしくて腹立つ。私もあんたみたいにヘラヘラして嫌なことが何もない人間として生まれたかったわ。」

ー違う。

違う、違う、違う、そうじゃない。
嫌なことがないわけないわけなんてない。
あなたは幼かった私に向かって、かつて自分が何を言ったか忘れたのか?
 

幼稚園のとき、友達とケンカしたことを話したら、友達を大切にできない子は嫌いだと叩かれた。
小学生のとき、好きな男の子がいると言ったら、生意気よ、色気付いたような子は穢らわしいと舌打ちされた。
友達の愚痴を言ったら、あんたが全部悪いと根本から否定された。

私が今あなたに愚痴を言わないのは、学校の話を全くしないのは、あなたが私を受け止めてくれなかったからではないか。

ヘラヘラしてるのが私らしい?
愚痴を言わないのが私らしい?
バカ言え。
私が本当につらくて苦しいとき、気付いてもいなかったくせに。
たまに1人部屋で泣いていることも知らないくせに。
 
 

私は母が嫌いだった。

でもそんな自分も嫌いだった。
 

大学に入って上京するまでの18年間、そうやって母と暮らしてきたおかげで、皮肉にも人付き合いは上手になった。

どうすれば人に気に入られるか。
誰と仲良くすれば、嫌われることなく生きていけるか。

心のどこかでそんなことを考えながら、いつも笑顔で過ごしていた。
おかげで友達は多かった。
でも、いつもどこか寂しかった。
 

「あなたらしいいい笑顔だね。」

写真に写る私を見て、高校の担任がそう言ったとき、ちくりと胸が痛んだ。

ー私らしい?私らしい笑顔ってなんだ?

それは私の中の、ほんのわずかな一面に過ぎないのに……。
 
 

上京して3年。
母と離れて暮らすようになって、自分らしさについて考えることは少なくなっていった。
だんだん自分の気持ちに素直になれるようにもなった。
 

そんなときにライブハウスで出会ったのが、SUPER BEAVERの「らしさ」という曲だった。
 

ー自分らしさってなんだ?

イントロが強く胸に刺さった。
初めて聴く曲なのに、私に幼い頃からの全てを想い出させた。
 

ー僕らは変わってく 守りたいものが変わっていく
理解されない宝物から 理解されるための建前へ

ああ、あのとき私は、自分自身を守りたかったのか。
 

ーだから 僕は僕らしく そして 君は君らしくって
始めから 探すような ものではないんだと思うんだ

私らしい。
そんなの誰が決めた。
誰がなんと言おうと、私は私だ。
心の中にある自分の気持ちこそが、私自身なんだ。
 

気付けば涙が溢れていた。
 

未だに母とは分かり合えない。
未だに笑顔で取り繕うときもある。
人に媚びることだってある。

でもそんな私だって、“あり”なんじゃない?

心の奥の奥にこびりついていたもやもやが、スッと溶けて無くなったような気がした。
 
 

これから先、どんなことが待ち受けているかわからない。

卒業、就職、結婚、出産……。
10年後は、全く想像もつかない人生を歩んでいるかもしれない。

ものすごく積極的にいろいろなことにチャレンジしているかもしれない。
はたまた、安定志向で地道に生活しているかもしれない。

みんなの前でいつも笑顔かもしれないし、無愛想な性格になっているかもしれない。

でもそんなのどっちだっていいんだ。

ー変わりゆく 生活は正しい
 

だって、私は私だ。
私こそが私だ。
誰がなんと言おうとも。

ー変わらない 大切があるから
 
 

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