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53歳の[ALEXANDROS]VIP PARTY 2018参戦記

ロックオヤジがロックに真正面から挑む[ALEXANDROS]にやられた日

会場に向かう電車の中、駅からマリンスタジムに向かう道に川上洋平と同じような黒
い裾の広がったパンツルック、黒のTシャツを着て、タオルをクビにかけた若いファ
ンを横目に、自分のオレンジ色の花柄のシャツ、短パンにサンダルを少し後悔した。

親子で来るからと夏休みを利用して上京した僕の友人は、「お前、30年前なら間違い
なく、あの格好してるな」と揶揄した。今日は友人の親子の熱烈なファンが2組参戦
しているが「俺は、スタンディングは無理だから・・・腰痛いし」と別々に観戦だ。

ずっと[ALEXANDROS]のライブには行きたかったのだが、スタンディングであることが
躊躇させた。が、今日はスタンド席があるし、キャパも大きい、何よりやっと5度目
のチャレンジでチケットをGETできたのだ。

席に着いた僕は冷静だった。
3回り近くは年下の若いファンの熱気の中、[ALEXANDROS]という現在の日本の音楽シ
ーンのTOPバンドを見極めようという冷静さを装い、したり顔で開演を待っていた。

本当のところは、8月16日というのは地方ではお盆の送り火の日であるので、オヤジ
を墓に送り出してから、帰京して、電車に飛び乗って来たので、疲れきっていただ
け。50を超えると色々と事情があるのだ。佐野元春 が唄った“生活のうすのろ”が
あるのだ。そういえば、[ALEXANDROS]もデビュー前にはサラリーマンを経験している
という。佐野元春と同じじゃないかとか、お盆期間中は、コンサートは東京ではやら
ないでほしいとかどうでもいいことを考えながら、息を整えていた。

ロック愛好家暦40年。
ボウイ、U2、スプリングスティーン、プリンス、ポール、ストーンス、そしてディラ
ンというロックレジェンドのライブは経験済みだ。
今でも渋谷さんのラジオで最新動向をチェックし、昨年は、リアム・ギャラガー 、
ミューズ、今年は、フォール・アウト・ボーイ 、PILも観た。
それなりに、現在のロックもキャッチアップしているロックオヤジなんだぜ・・・
と青臭い気負いを胸に秘めていた。

それに、2人の友人に今日のセットリストの予測を教えてもらい、すべてのアルバム
を聴きTVで放送されたライブも観て、予習もバッチリだ。

ストリング隊が入場し、壮大な弦が鳴り響く。
続いて入場した、庄村聡泰(Dr.)がゆったりとビートをたたき出す。
僕が、[ALEXANDROS]を観たいと思ったきっかけは、このドラムだ。縦にぶら下げるシ
ンバルは僕の中で日本のドラマーNo.1の故ジョニー吉長を思い出させるが、今日
はセッティングされていない。が、ツーバスだ。今日はどんなドラミングを魅せて
くれるのか気持ちが高ぶる。
庄村聡泰の手数の多く、キックの強いビートは、強烈だ。
ゆったりとしたビートだが、強烈にロックである。
会場の大歓声とともに立ち上がりそうになる気持ちを抑えた。

磯部寛之(B)、白井眞輝(G)が加わり、大歓声の中アリーナ後方のサブステージから
川上洋平(Vo・G)から登場。
会場のボルテージはオープニングからマックスに上り詰める。

オープニングナンバーは[ALEXANDROS]の自伝的テーマソングである『ワタリドリ』を
ぶち込んできた。
Big Countryのバグパイプのようなギターの音を思い出してしまうのはこの会場で俺
だけじゃないかなどどいうロックオヤジっぽいことが脳裏を過ぎったが、ロックオヤ
ジの全身に鳥肌がたっていた。

『ワタリドリ』
作詞 川上洋平(以下作詞 川上洋平)

【追いかけて 届くよう
 僕等 一心に 羽ばたいて
 問いかけて 嘆いた夜
 故郷(まち)は 一層 輝いて
 ワタリドリの様に今 旅に発つよ
 ありもしないストーリーを
 描いてみせるよ】

すでに腰が浮き、ロックオヤジもシンガロングだ・・・・

続けて、『For Freedom』
POPなメロディにメタリックなギターに変拍子を多用した複雑なリズムを軽々と奏で
る【私は私ですといえることが何よりも心地よいんだ】と誰もが飲み込んでしまう心の叫びを唄う。

庄村聡泰(Dr.)はクールな佇まいをくずすことなく、手数が多いビートを叩きだし
白井眞輝(G)のギターが鳴り響く。『city』だ。【ここはどこですか 私は誰です
か】自我の目覚めとともに、自分の現在、将来に焦燥感をおぼえると 誰もがふと思
い浮かべてしまう言葉。が、決して口に出すことはない言葉。

[ALEXANDROS]の歌は、人間が生きている限り、悩み続けるであろう普遍的な苦悩を真
正面から、リスナーに観客に“容赦なく”叩きつける。その言葉は川上洋平が、[ALEXANDROS]が自分達がロックを続けるのかその意味を問い続けた心の葛藤であるか
らこそリアリティのある強いメッセージとして心に染みわたるのだ。

続いて、『Cat 2』、『Waitress, Waitress!』とサウンドクリエーターとしてのメタ
ル[ALEXANDROS]の真骨頂のナンバーが続く。70年代であるならば長尺ナンバーになる
であろう複雑なリズムパターン、アイデアてんこ盛りのナンバーを5分に凝縮する
見事なアレンジとテクニック。
ハードロック好きのロックオヤジは、白井眞輝(G)のメタリック、高速ギターに酔い
しれ、磯部寛之(B)、庄村聡泰(Dr.)の変幻自在のグルーヴに身体を揺らす。

私見ではあるが、日本のROCK、POPミュージックはボーカルがあくまで中心で発展し
てきた。しかし、[ALEXANDROS]は川上洋平というカリスマフロントマン、スーパーボ
ーカリストを中心に据えながら、多用なサウンドと見事なグルーヴを聴かせるバンド
である。未だかつてこれほどサウンドとボーカルの両輪が揃ったバンドはなかったの
ではないのではないだろうかと[ALEXANDROS]を聴く度に思ってしまう。
サウンドクリエイトはこの白井眞輝(G)、磯部寛之(B)、庄村聡泰(Dr.)の鉄壁のア
ンサンブルがあってこそだ。ライブで聴くとより一層確信できる。

オープニングからThis is[ALEXANDROS]の疾走感を感じるナンバーをハイテンション
で演奏しながらMCもない。凄いエネルギー、パワーだ。

そろそろMCなどど思ったが、必殺のロックバラード『spy』、『Forever Young』
『Starrrrrrr』と続く。
サラリーマンをしながらデビューを目指した時代に書いたという川上洋平の私小説的ナンバー『spy』
【果たして本当に此所は 
 私が望んだ舞台か? 
 この問こそ愚問かな?】 

自分の未来像を描ききれずに、サラリーマンになり、最初は居心地が悪いと感じてい
たサラリーマン生活が、いつの間にか日常になってしまった自分の若い頃の姿が垣間
見える

『Forever Young』
【この先きっと悔し涙流す時が待ち構えていても
 Stay together Stay together
 七難八苦を我に与えよ】

『Starrrrrrr』
【泣けば良い 誰より笑えば良い
 押し殺した その感情曝け出して
 どこまでも 私は私だから
 貫いて 誰に何を言われようとも】

[Alexandros]はワンフレーズを[ALEXANDROS]としてのサウンドを紡ぎだすためにの
た打ち回る覚悟をきめたのだ。
[ALEXANDROS]の歌は、美しいメロディとボーカルで夢を感じさせながら、そのメタリックで疾走感のあるサウンドと、夢と現実のギャップにもがき苦しむ赤裸々な歌詞
で、現実の世界に引き戻す。僕たちを宙ぶらりんにしてしまう。がその宙ぶらりんの
不安こそ僕たちの現実だ。リアルな世界、社会だ。
苦悩を赤裸々な言葉で口にすることは実生活のなかでは難しい。[ALEXANDROS]はその
は誰もがもっていることだとシャウトする。
僕達は永遠に悩み続けるしかないのだ。理想の自分とかけ離れた現実の自分、思い通
りにならない現実を噛みしめ、受け止めて、悩み続けて、いさぎ悪くても、格好悪く
ても、少しづつ理想の自分への道を歩むしかない。生きていくしかないのだ。

改名を発表した、VIP PARTY 2014のエピソードの映像が流れ、[ALEXANDROS]として
発表したアルバム《ALXD》から『Droshky!』『Run Away』、アルバム《EXIST!》から
『Girl A』『ムーンソング』。『Droshky!』『Girl A』は、底知れぬパワーを感じさ
せ、『Run Away』『ムーンソング』は闇夜の一筋の光のような美しさだ。

自らの名前をアルバム名にした《ALXD》と“存在する”と肯定的な宣言をしたアルバ
ム《EXIST!》は、[ALEXANDROS]が[ALEXANDROS]であることをを引き受けたアルバム
だと思う。それまで、自らの夢を追いかけ続けた[Champagne]の名に別れをつげ
[ALEXANDROS]として第二章のスタートを宣言したアルバムから明らかにその音は変化をみせる。
それ以前のアルバムは川上洋平のボーカルを前面に強調するための音作りをしてい
た。が、現在のサウンドは疾走間のあるグルーヴとギターサウンド、POPなメロディ
のバンドサウンドの土台をさらに強力にし、メタリックになったギター、複雑で重い
グルーブ、そして、川上洋平のボーカルにもファズをかけるなど、その音、音の塊
が“存在する”

バラードはよりスケールの大きいメロディ、ドラマチックなアレンジに、EDM、ラッ
プメタル、16ビート、シガー・ロス のようなポストロック的な曲も織り交ぜるなどサウンドも多様化してきている。

ステージは息つく間もない怒涛の12曲。凄まじいエネルギーだ

やっと、初MC。事前に募集したリクエスト曲 曲を披露する。
降り始めた雨さえが演出ではと思える中、センターステージに移動し、POPな楽曲を
中心に披露し、「みんな失恋ソングが大好きなんだね」という川上洋平のMCにつづい
て『Leaving Grapefruits』が演奏される。
僕の周りの観客は涙を流している。

メインステージに戻り、新曲を演奏する
EDM的なThis is Electric [ALEXANDROS]: 『明日、また』、ハイウェイをぶっ飛
ばしたくなるThis is Speedy [ALEXANDROS]:『I Don’t Believe In You』、
バンド史上最高に重いビートのThis is Metallic [ALEXANDROS]:『Mosquito
Bite』そして、共作の詩とセンチメンタルな美しいメロディで心境地を開いたThis
is Melodious [ALEXANDROS]:『ハナウタ』で本編は終了した。

この時間が永遠に続くことを願ったロックオヤジも大観衆も満足などするはずがな
い。

大歓声のアンコールの中、[ALEXANDROS]のメンバーが再登場し、会場がスマホのライトで照らされる。美しい光景に、この時間が永遠であることを願った。

『Adventure』《ウォーオーオーオー》と会場全員のシンガロング

そして、サイケでハードなナンバー 『Kick&Spin』これが聴きたかった・・・
ロックのすべて詰まったようなサウンド、メロディ、歌詞、ロックに夢中になった頃
の初期衝動、カタルシスが蘇る。
リードドラム、リードベースといっていい庄村のドラム磯部のベースの強烈なグルー
ヴ、白井のハード、メタリックなギターに川上洋平のシャウト。こんなに中毒性のあ
るナンバーにはない

【悔しさ味わい
 苦味も味わい
 粋も甘いも全部飲んで
 生きていく】

そう僕達は生きていくのだ・・・

素晴らしいライブが終わった。映像が流れ、アリーナーツアーの告知に彼らが立ち去
っても観客の熱は冷めなかった・・・そんな大歓声のなか長い1日の強行軍で急に疲
れがでたロックオヤジは早めに会場を後にした。

そして、次のアルバムに思いを馳せた
(この文章を書いてる時点で、11月に発売されることが告知されている)
アルバム《ALXD》、アルバム《EXIST!》でバンドとしての第二章を迎えた[ALEXANDROS]。
ニューアルバムも其の音は前記2枚のアルバムの路線をより強力にし、多様性のある音になるであろう

歌詞は『明日、また』のように変化する違いない
彼らの歌詞の主語は基本的に《わたし》であった
『明日、また』の主語は《We(私達)》、《あなた》だ。

【We’re the light
 We’re the light
 明日、また
 泣きじゃくる時が来たとして
 怯まず笑えば
 あなたは今まで以上に
 強く在れる
 鎧を持たずとして】

[ALEXANDROS]が多くのファンを獲得し、ファンの光、希望になった今、彼らは直接
的な言葉で希望をテーマに変化していくのではないだろうか。彼らが一貫して伝えて
きたように、私が私であることは難しいし、理想の自分になれないことに七転八倒す
ることにかわりはない。
しかし、その先には新しい何かが、成長した私達、あなたがいるんだ。
過去、昨日より成長した私達がいるのだ。
それは多くの若いファンもそして、人生の後半を迎えた僕も同じなのだ

熱烈なファン2組の親子と電車に乗った僕は、彼らの興奮した話に耳を傾けつつ違う
ことを考えていた。スマホのライトで光り輝く光景は、過去に観たステージでもあっ
たな。誰だったかな?サム・スミスのアンコールだったと思い出した。

50を超えても素晴らしい音楽と出会える。出会うことは幸せなことだ。

そして、スマホのライトの中で演奏された『Adventure』が、頭の中で何度もリフレ
インした。

【大胆な作戦で
 言葉にならないマスタープランで
 いつだって僕達は
 君を連れて行くんだ
 連れて行くんだ
 連れて行くんだ】

[ALEXANDROS]は多くのファンと成長することを怠るなく一緒に進んで行く
[ALEXANDROS]が[ALEXANDROS]であることを引き受けた先に、希望を唄い僕たちを
約束の地へ連れていく彼らがいる。

それは、世界1のバンドの世界1のステージなのか。
僕はそれを見続けたい

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