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2017年5月1日

ちー (20歳)
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私にとってのcity、彼らにとってのcity

[Alexandros]がツアーをcityで締めくくった意味とは

 嗚呼、これでツアーが終わってしまうのかと思った矢先、会場全体の照明が川上洋平(Vo&Gt)に照らされ、不意打ちにお決まりのアルペジオが演奏された。そのフレーズを聴いたとき、私は今にも涙がこぼれそうになった。私と同じように涙腺が緩んだファンが多くいたことだろう。庄村聡泰(Dr)の芯のあるドラムの音が鳴り響き、川上が「幕張~~!」と叫び、会場全体が再び物凄い熱量で包まれた。
 

 私がcityに出会ったのは2015年、大学1年生の時である。大学入学後、大学祭の運営委員会に所属し、朝から夜までその準備に勤しむ日々を送っていた。大学祭が無事に終了し、慌ただしかった日々が急に落ち着いたため燃え尽き症候群となり、心が空っぽになってしまった。そのふとした時に、自分らしさって何だろう、大学生になって自由になって、自分は本当に自分らしく学生生活を送れているのだろうか、自分の本当にやりたいことって何だろうと途方に暮れていた。そのような時にcityがその悩みをぶち壊してくれた。自分の中で何か大きなものが爆発し、モヤモヤが消え去った感覚を抱いた。

主観的な解釈になるが、cityはアイデンティティをテーマにした楽曲であると捉えている。主人公が自分自身のアイデンティティを見つけるべく日々彷徨い、もがき苦しみ、あらゆることを経験していく。周りに流されながらもそれでもやはり自分の感覚が一番だと信じて、走り続けていく。最後で己のアイデンティティを見つけ出し、新たなステージへと進んでいく姿を描いた歌であると考えている。

私はこの歌で描かれている主人公に思わず自己投影したくなる。私の高校時代はひたすら勉強、勉強と言われ続ける毎日であった。自由が次第になくなっていき、部活も思うようにできないまま教師たちの言葉をただ受け入れ、それを消化するので精一杯な日々を送っていた。徐々に自分の感情や意見は二の次となり、大人たちの言葉にただただひたすら頷いていた。自分の感情に自信が持てず、感情を肯定することができず悶々とし、歯がゆい日々が続いていた。今思うと無意識のうちに自分の感情を押し殺して、自分で自分の首を絞めていたと感じる。大学生になってからもそのモヤモヤを消し去ることはできないままでいた。しかしcityに出会って、お前らしく生きろ、自分らしさを大切にしろ。自分の感じるままに生きろ、そっちの方が楽しい。行ってこい!と彼らに言われた気がした。それ以来自分の感情に自信が持てるようになり、自分らしくいられるようになった。
 

 さらに、cityは[Alexandros]の真骨頂である雑草魂を如実に描いた楽曲であると捉えることもできる。[Alexandros]は大変形容し難いバンドである。彼らの曲のジャンルは多岐にわたり、同一人物が作ったとは思えないほどの引き出しの多さが魅力である。しかしこの姿勢を貫くのはリスクが高い。新たなジャンルを開拓していくことでイメージと違う、[Alexandros]らしくないというマイナスのイメージを抱かれることもある。そのリスクを背負いながらも彼らはそれを簡単に跳ねのけてしまうくらいのパワーを持っている。このバンドは今日の激しい競争を勝ち残っていくべく新たなジャンルに果敢に挑戦し、新たな武器を手に入れるのである。今回のアルバム「EXIST!」の楽曲もそれを感じさせるものばかりであった。
 

 さて、約半年間続いてツアーをcityで締めくくった意味を自分なりに考えてみる。その意味とは、世界一のバンドになろうと必死になって培った雑草魂を再び思い起こし、抱き続け、また新たなステージへと這い上がっていくぞという決意表明だと私は感じた。彼ら自身もまたcityの主人公であり、自分たちの感情の赴くままに、世界一になるためにもがき続けていると思った。

作詞作曲担当の川上は自身のブログでcityについてこう記している。

『”city”という曲の最後は「おう、聴いてくれてありがとな。でもこの歌を聴き終わってイヤホン外したらもうあとはお前の番だ。この曲は何にも助けてくれないぞ。」って事が言いたかった。』(川上洋平オフィシャルブログ「あれきさんどろす日記」から引用)

[Alexandros]はファンに寄り添うという言葉よりも、ファンを牽引するという言葉の方が相応しいと思う。寄り添うことはその時においてはその人自身を支える大きな力になる。しかし寄り添ってばかりでは結果的にその人のためにはならないであろう。その人自身で這い上がっていく力がつかない。一方で、常に牽引することでその人はそれを追いかけようと必死になり這い上がり、結果的に成長していくことができるのである。[Alexandros]は一見現実的で冷たいバンドに見えるが、本当の優しさを持った温かいバンドであるとこのツアーファイナルで改めて感じることができた。この光景を目の当たりにしたファンは私たちも彼らのように、自分の思うままに目標に向かって成長していきたい、大きくなりたいと感じただろう。彼らとファンの架け橋となり、お互いの新たな出発点となるcityであった。
 

 最後、川上洋平、磯部寛之(Ba&Cho)、白井眞輝(Gt)、庄村聡泰が肩を組みながら帰っていく姿を見て、これからも世界一に向けてさらに大きく羽ばたいていってほしい、それを見届けたい追い続けたいと私は期待に胸を膨らませていた。

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