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十年後僕に この歌を捧げよう

何よりも大好きなflumpoolに寄せて

今日の日付を思うと, 筆を取らずにはいられなかった。
2018年10月1日。flumpoolのメジャーデビューから10年だ。

彼らのメジャーデビュー曲となったのは, 百田留衣が作詞・作曲した「花になれ」。記念すべきメジャーデビューの曲がどうして本人たちが作った曲でないのか, という疑問は世間の多くの人が抱いたことだろう。

さらにこの曲には, それ以外にも「なぜこの曲がメジャーデビュー曲に選ばれたのだろう」と思いたくなる要素がある。メジャーデビューを果たし, さあこれから大きな夢を掴みに行こうという若者が「取り戻しに行こう」と歌っているのが「くたびれた夢」だからだ。さらに「歯痒くても きっと 受け止めるよ」と未来の自分が悔しい思いをするであろうことを思ったり「何処まで行けば 笑いあえるの? 自由や希望や夢は 僕が思うほど 素晴らしいかな?輝いているのかな?」と不安をこぼしたりする。

大学を卒業して, 定職について, 安定した収入を得て, という道を選ばなかった彼らは, 私をはじめ世の中の大多数からしたら怖いもの知らずの勇敢な人たちに見える。その彼らが「いつのまにか 傷つく事が怖くなって」だなんて, あまりにも似合わない。メジャーデビュー曲なのだからもっと若々しかったり, 勢いがあったり, 青臭かったりする曲でもいいのではないか。花になれよりも少し前に世に出ていた「labo」なんか, 惚れた相手に空回りしまくりの男が主人公で, それこそ若手バンドのデビュー曲にはぴったりじゃないかと何度も思った。

しかし, この曲に出会った日から私自身にも時が流れた。その間に色々なことを経験して思うのは, 人は誰でも先が見えずに不安だと思う気持ちを常に抱えているということだ。彼らのような思い切った冒険をせず, 比較的無難に生きてきた(と思う)私ですらそうなのだから, 音楽という先の見えない世界に飛び込んだ彼らには一層大きな不安や焦燥があったことだろう。彼らは世間の大多数と同じ道を選ばなかったという点では勇気のある若者であるが, 決してヒーローではない (もちろん私にとっては, 常に一番のスーパーヒーローである)。音楽という世界で, 自分たちの曲は世の中の人に気に入ってもらえるのだろうか?自分たちはこの世界で食べていけるのだろうか?といった不安があったはずだ。そして未来に不安を持っているという点において, 彼らは私たちとなんら変わらない。

そういったいわゆる「等身大の」不安が彼らにもあったのだと考えると, 不安や焦燥を抱え, それでも未来に希望を見出そうと歌っている「花になれ」が一番, メジャーデビュー期の彼らの気持ちとして「嘘でない」曲なのではないか。彼らが(もちろん彼ら4人だけではないだろうが)記念すべきメジャーデビュー曲に, 夢や希望, 青臭い恋の衝動を歌った曲ではなくこの曲を選んだことを考えると, flumpoolの曲には改めて「嘘のない気持ちが込められている」のだと感じざるを得ない。

「花になれ」に出会った時は高校生だった私も, この春から社会人となった。社会人になることを意識し始めた2年前くらいから, まだ就職先も決まっていないのに月曜日である2018年10月1日に有給休暇を取れるかどうかをずっと心配していた。この日に必ず彼らが10周年を記念するライブを行うと思っていたからだ。そして就職先が大阪に決まってからは, ライブ会場が大阪だったら定時で上がればきっと間に合う。東京だったら午後だけでも休みをもらえたら何とか…とより具体的にこの日の予定を気にし, 何も発表されていないうちからこの日を心待ちにしていた。

だからこの記念すべき日をまさか活動休止状態で迎えることになるとは思っていなかった。一番そう思っていなかったのは本人たちだろう。しかしこれはきっと, 来るべき復活の日に万全を期した状態で, 最高のライブを見せてくれるためにあえて彼らが下した決断だ。

社会人となった私の2018年10月1日には, 結果的に仕事で外せない予定が入った。復活ライブの会場が大阪であれば何とか間に合うが, 東京だったら確実にアウトなスケジュールだ。活動再開を10周年記念日に間に合わせてこの日に復活ライブしなかったのは, 私が必ず復活ライブを見られるための彼らの計らいかもしれないと考えるのは傲慢だろうか。

まだいつになるかは分からないが, 彼らは復活し, メジャーデビュー曲にこの歌を選んだような素直な気持ちでまた嘘をつかずに本当の気持ちを歌ってくれるだろう。今の私と変わらない年齢だった彼らが10年前, 「十年後僕に この歌を捧げよう」と歌った歌を, 復活した彼らはどのように歌い, 奏でるのか。ライブの日程が決まったら翌日には必ずその日に休みをもらうぞと上司の顔を思い浮かべながら, 今から気長に, 楽しみにしている。

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