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20周年を祝福

10月1日のTHE BACK HORNのライブで感じたこと。

 照明が落ちてSEが流れ始める。その瞬間に沸き上がる歓声や拍手をきくと、ライブが始まった喜びと興奮と緊張でいっぱいになる。だが、社会人になって1年を過ぎたあたりからその中にほんの少し「今もここにいていいのか」という不安がよぎるようになった。
 これでいいのか。これでよかったのか。そんな現在や過去の選択に対する疑念をいつも抱えている。「好きなように、自分の選択に納得して生きてきたと思い込もうとしているんじゃないか」。自分に対する不信感があった。おそらく高校受験のころから。そして大学受験、就職活動、内定した会社に就職して社会人になってから、手探りで自分の進路を決めてきた期間、ずっとかもしれない。
 社会人になってから、この不信感は大きな節目の選択でだけ起きるのではなくなった。生活の中でも選択しなければいけない場面は山ほどある。カフェで注文を決めるとき、何かを買うとき、音楽をきくとき、出かけるとき、映画を見るとき。良いと思う選択をするけれど、ふとした瞬間に「それでいいの?」と私に信用がないもう一人の自分が問いかけてくる。雑誌やネットの口コミ、友人、親のような身近な人たちの意見を参考にしながら選んでも、ほかの選択をしていたら違っていたかもしれないことが気になってきてしまう。自分の選択に自信がないから、自分をほめることができなくなった。
 2018年10月1日、THE BACK HORNの20th Anniversary「『ALL TIME BEST ワンマンツアー』~KYO-MEI祭り~」の初日、新宿ロフトの公演に行った。20周年おめでとうと祝福したい。続けてきてくれてありがとうと感謝したい。そんな気持ちでいっぱいなのに、開演を待つ間「仕事はいいの?」とささやかれた気がした。
 ライブが始まって数曲後のMCでヴォーカルの山田将司さんが話し始めた。「20周年を祝うつもりで来てくれていると思うけど、俺たちは20周年とか10周年とか関係なく、みんながきょうまで生きて、ここに来てくれたということを祝福したいと思ってやっているから」。今までも、違った言葉や表現で同じような内容を投げかけてくれてきたのかもしれない。でも、私はこの日のこの言葉に救われた。ここにいてくれることを肯定してくれる言葉が胸に刺さった。
 10年前、高校生の時にCDを買って以来、アルバムやシングルを探し歩いて、新曲が出るたびにきいて、ライブに行って、それを繰り返してきょうまできき続けてきた。途中で離れていくという道もあったはずだ。でもずっと支えられて、自分でききたいと望んで選択した。自信をもって自分選択を肯定できた瞬間だった。これからのことはわからないが、今この文章を書いている私はきき続けたいと思い、またライブに行くと決めている。そして、心から「20周年、おめでとうございます」ときょうまで生き抜いてきたTHE BACK HORNを祝福している。

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