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変わらない多幸感

大人になったShiggy Jr.

日本には春夏秋冬という四季があり、最近はめっきり秋らしくなった。もちろんすっきりとした秋晴れを望んでいるが、肌寒く、薄暗いどんよりとした秋らしい空も何か嫌いではない。それぞれの四季にはそれに似合うイベントがあり、その一つとして近年特に盛り上がっているのがハロウィンだ。ただ、こういうイベント事は音楽がそれをより一層引き立てるのだが、ハロウィンに似合うような曲は少ないのが実情である。そんな数少ない曲の一つがShiggy Jr.の” GHOST PARTY”である。

Shiggy Jr.は1stシングル”サマータイムラブ”でメジャーデビューを果たした。そして2ndシングルに” GHOST PARTY”をリリースした。季節感を反映させたその曲は彼等を印象付けるには十分で、ラジオからよく流れていたのをいまでも覚えている。僕がShiggy Jr.に出会ったのは確か近所のレンタルショップにCDを借りに行った時、小さなモニターで彼等がリリースしたアルバムのトレーラーが流れているのを見て、そのCDを手に取った。ポップミュージックが好きな僕は見事に彼等にはまり、ライブにも足を運ぶようになった。
1人でライブを見に行くことも多いが、初めてライブハウスに行くという友人のために選んだライブもShiggy Jr.だった。その理由はポップで聴きやすい曲、彼等の温かいライブの空気は初めてのライブでもぴったりと思ったからだ。その友人もアルバムを聴いて予習してきたこともあり、そのライブをとても楽しんでくれたようだった。ただ、ライブ後の感想は「新曲は今までの曲とは雰囲気が違う」だったのだ。
その新曲とは” SHUFFLE!! E.P.”に収録された曲のことである。僕がShiggy Jr.にはまってから彼等のポップで親しみやすい曲に元気をもらうこともあり、気分をより高める時に聴くことが多かった。いまあのライブを振り返ると、あの時披露された新曲はそれまでのShiggy Jr.とは異なる。好きだからといってそれを鵜呑みにするのではなく、彼等の奏でる音楽、その変化に気付けなかったことは反省しなければならない。それは音楽だけでなく衣服や食事にも言えることであり、口コミやレビューは出会いのきっかけにはなるが、それが自分に合うか判断するのは自分なのだ。ただその好みや価値観は時に変化するし、Shiggy Jr.は変わったと感じた。”僕は雨のなか”や”お手上げサイキクス”はかっこいい印象を受けたし、”二人のストーリー”や”Sun is coming up”は大人っぽい印象が強い。彼等の特徴としてまず挙げられる紅一点の女性ボーカル。あの時見たライブでは真っ赤な衣装を身に纏い、ステージのお立ち台に膝を付いて歌うさまはかわいいよりもきれい、色気すらも感じるくらいだった。ここでやっと気付く。Shiggy Jr.は変わったのではなく、成長したのではないだろうか。

その明確な時期は分からないが、彼等のホームページのバイオグラフィーが更新されていた。元々「ポップでポップなバンド」と表記され、それを一つのウリにしてきたものが次のように変わった。

「ポップスになりうるすべてのジャンル、取り分けモータウンサウンド・ブルーアイドソウル・ロックミュージックをルーツに、独自のセンスで紡がれるフレーズと歌声がどこまでもキャッチーかつジャンルレスに多幸感を織り成す、4人組ハイブリッドポップスバンド。
」(Shiggy Jr.ホームページより一部抜粋)

そもそもハイブリットとは「異なった要素のものを混ぜ合わせたもの」という意味になり、Shiggy Jr.によってポップとは異なるものでも、その独自のセンスでポップにするとも捉えることができる。彼等はポップの基礎から応用へ取り組んでいることが分かるし、それは基礎がしっかりとできているからこそできることなのだ。これはまさしく成長と言える。そして人間でも身長など身体が発達する成長期には成長痛という痛みを伴う。「Shiggy Jr.って変わったよね」と言われるのもその一つの痛みのようなもので、しばらく見ない内に「やっぱりShiggy Jr.は良い」という具合に落ち着くのかもしれない。表現できるもの、その表現方法が増えたのも成長以外の何ものでもない。キラキラした楽しげなサウンドだけでなく、ムーディーで横揺れしながら踊れるサウンドもまた良い。Shiggy Jr.は幼虫から脱皮し、一皮剥けてひらりひらりと宙を舞う蝶のように大人になったのだ。

《最高の1日にしようぜ 明日は明日の風が吹く どんどん変わるビートに 身をまかせて踊ろう》(Beat goes on)

いまのShiggy Jr.が表現したいことはこういうことだと思っている。毎日いろんなことがあるし、それによって気持ちも変わる。それでもその日々を少しでも良いものにしよう。成長のために変わることを、その痛みを恐れるな。彼等のポップが成長しても毎日に楽しさ、多幸感を加えてくれるものに変わりはない。
そんな彼等は今秋のドラマオープニングソングを担当し、冬にはアルバムリリース、それに伴ったツアーを開催するらしい。どこか寂しさを感じがちな秋冬に大人になったShiggy Jr.がどんなポップでそれを和らげ、温めてくれるのか。楽しみでならない。

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