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錬り上げられた音楽の力強さ

Age Factoryとの出会い、そして「GOLD」を手に入れた今。

「最近の音楽はどれも同じに聞こえる」
こんなことを言う大人になんか絶対になるもんかと思っていたのに、流行りのバンドの曲が聴き分けられない30代になって数年が経つ。

普段聴いているバンドのほとんどが結成20年以上のバンドばかりで、聴きはするもののライブに行く回数は劇的に減った。フェスのタイムテーブルを見ても、最近名前を見かけるようになったなぁと思っていたバンドがメインステージに名を連ねていて、完全に世代交代が始まっている。今のバンドが同じような曲ばかりなのか、自分が時代に取り残されているだけなのか。でも、聴いてみても、どうしても揺さぶられるものがないのだ。

「思いっきり金属バットで殴られるような、体の中から生命力が湧き出るような音楽に出会いたい。」

Age Factoryの存在を知ったのはフリーの音楽ライター、石井恵梨子さんのツイッターだった。「ライブハウスだから確認できるあの目。信頼できる目だ。」という言葉に惹かれ、早速YouTubeでRIVERを視聴した。

RIVERは「Age Factoryを知りたきゃこれ聴け!これさえ聴けばわかる」と言い切れるほどの代表曲だ。その曲は紛れもなく金属バットだった。
音楽を聴くことに冷めかけていた自分に対して、疾走感溢れるメロディーが全身に殴りかかってくる。甲高い声で歌う似たり寄ったりなバンドマンを片っ端から殴り倒して行くような清水エイスケの骨太な歌声は、同時に聴く者を鼓舞していく。
闘志が湧き、全身の細胞が燃え出すような感覚。こんな音楽を待ってたんだよ!

その後、自主企画ライブに二回行き、信頼できる「イキきった目」をこの目で見た。

そして、Age Factoryに出会ってから初めて発売される今回のアルバムをCDショップに買いに行った。最近はCDも本もネットで注文することがほとんどだったのだが、「CDショップに買いに行って、早く聴きたくてうずうずしながら帰る」という感覚を味わいたかった。一度しか味わえないあの感覚も込みで聴かないとダメだと思ったのだ。少し離れた駅のCDショップに買いに行って、帰りの電車に乗っていた時の自分は完全に10代の頃の自分だった。
 

僕は音楽の技術的なことはわからないけれど、今回のアルバムには錬り上げられた力強さを感じる。「錬る」という言葉は最近あまり使われなくなったが、金属を焼いて鍛えるとか、木の枝をたたいて柔らかくして曲げるといった意味から転じて、学問や技芸などの経験を積む、修行するといった意味で使われる言葉となった。

今回のアルバム「GOLD」は、加熱し、叩き、また何度も熱して作り上げられた刀のように鋭く、美しい。水飴を練った時のように、固くもなく、かといって柔らかいだけでもない、粘り気がある強さを感じる、錬磨された音楽だ。
攻撃的な激しい曲だけでなく、「million」や「kicks night」のようなドラマチックな曲がアルバムに深みを与えている。女性の声かと思うほど高音で心地良いリズム隊のコーラスは以前から特徴的だったし(※女性がコーラスでゲスト参加している曲もある)、清水エイスケは弾き語りでじっくり聴かせることもできる。これでまだメンバー全員が20代半ばだというから、今後の成長が恐ろしい。
 

ライブで清水エイスケは「楽しさなんかいらない、仲良しこよしもいらない」と言っていた。その通りだ。音楽は騒ぎたい人のためのBGMではないし、すぐ馬鹿になれる曲がフェス受けしたとしても、そんなチョコエッグみたいな薄っぺらい曲は金属バットを使うまでもなく壊れてしまう。

布団の中でうずくまっている時の支えとなり、また外へ飛び出す時に背中を押してくれる、そんな音楽だけを求めていた。音楽を聴き始めた10代の頃の衝撃を、30代になってもう一度味わえた喜びを毎日GOLDを聴きながら噛みしめている。

「輝いた私のまま私のまま駆け出せ」(GOLD)

「GOLD」を聴いて奮起した人たちは、それぞれのやり方で鍛錬を始めるだろう。
孤独に、真面目に、地道に鍛錬した人だけが、それぞれのGOLDを手にすることができる。誰にも奪われることのない、自分だけのGOLDを磨き続けながら、Age Factoryと共にこれからを生きていく。
 

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