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闇のなかで輝く

星野源 地獄でなぜ悪い

星野源さんのラジオを聴いている。
深夜1時。
隣では旦那が寝ているので、暗闇の中でイヤフォンをして声に聴き入る。
生放送だから、たった今、この瞬間、日本中のどこかにいる、同じようにこのラジオを聴いている誰かと、源さんと、私は、同じ時間を共に過ごしている。
くだらない話も、泣ける話も、時折流してくれる耳心地の良い音楽も、源さんの温かで柔らかな声と共に、イヤフォンを通して私の身体に染み込んでゆく。 

この時間だけは自分が闇の中にいることを忘れられる。

私は暗闇の中にいる。
”電気じゃ 闇はうつせないよ”
「フィルム」の歌詞の一節だ。
電気が明るくついていても、陽の光が射し込んでも、心の闇は、他人からは見ることができない。
優しく覗きこんでくれる人を待つか、自分から何らかのSOSを出さなければ、一生気付かれないかもしれない。
私は自分の心の闇に目を背け続けて、遂に壊れた。
正確には、壊れたことにすら、しばらく気付かなかった。
それはやがて自分の行動にも現れ、病気のことを知らない人からは、只々、”変な人”だと思われるようになり、冷たい目線を送られるようになった。

世間からはみ出した。

はみ出した者は、とても生きにくい。
死にたくなった。
毎日死ぬことについて考えるようになった。
どうやったら苦しくなく死ねるだろうか。
痛いのは嫌だな、苦しむのは嫌だな…
どの死に方も、どうも一人で苦しまず死ぬのは難しそうだった。
どうやったら迷惑かけずに死ねるだろうか。
ここで死んだのなら、最初に見つけるのは旦那だろうか。
旦那はずっと一生、妻が自殺したことを抱えて生きていくのか…
どう考えても迷惑で、考えただけで旦那が可哀想だった。

ずーっと、色々な考えが巡りめぐって気が付いた。
”死にたい”を考えるほど、強く”生きたい”を考えていた。

本当は生きていたくて仕方なかったんだ…
それならば、もう少し、闇を抱えて生きてみようか。
そう思えてきた。
そうしてどうにか、少しづつ、自分の闇と向き合うことができるようになってきた。

今もなお、闇の中にいる。
深夜1時。
その暗闇でもがく私に、そっと手が差し伸べられる。
温かくて、柔らかい。
ひとつひとつ、自分の言葉で、飾らずに話す源さんの言葉に救われる。
過去、同じように傷をおったからこそ言える、嘘偽りの無い言葉。
頑張れ、とは決して言わない。
ただ横に寄り添って側に居てくれるような優しさがあり、なのに誰より力強い。
暗闇の中で、不思議と不安が薄れていく。



”生まれ落ちた時から 居場所などないさ”

”動けない場所からいつか 明日を掴んで立つ”

人に揉まれながら改札を抜ける。
ぐっと、音量を上げる。
軽快な音に包まれた感覚になり、自然と足取りも軽くなる。

”嘘で出来た世界が 目の前を染めて広がる
ただ地獄を進む者が 悲しい記憶に勝つ
作り物だ世界は 目の前を染めて広がる
動けない場所から君を 同じ地獄で待つ
同じ地獄で待つ”

イヤフォンを外し、日常の音にまみれる。
信号が青に変わり、私は歩き出す。

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