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日本のロックが退屈なわけがない!

ミスチルに揺さぶられ続けて

心の内に闇を落とすことで光を見るような乱暴で優しい歌がある。
思いをストレートに言葉にすると過剰に反応する世の中で
こうも矛盾を赤裸々に歌い
こんなにも愛されるバンドは他にあるだろうか。

私がミスチルに出会ったのは高校生の頃。
早いもので、もう25年以上が経ち
世間では中年と呼ばれる年齢となった。
社会に出て、様々な経験をし、結婚し、子どもも授かり
自分では十分すぎるぐらい幸せな生活を送っていると感じている。
それでも、ミスチルの歌を聴くと心がざわつく。
本心を勝手に覗き込まれ、ばつが悪くなったり
よくぞ言ってくれましたと爽快な気分にさせてくれたり
自己否定と肯定を繰り返しながら
このままでいいのか否かと揺すぶられては
それでいいのだと優しく諭されるような思いを
何度もしてきたように思う。
そして、それは未だに続いている。

25年前は同じスーツに身を包み
キラキラした音を響かせながら
切ない恋を歌っていた4人を
スタイリッシュで爽やかなバンドだと
当時の私は思っていた。
しかし、今となっては
なんて不器用で人間臭いバンドだと
そう思うようになっている。
苦痛を伴い、様々な「重力」に引きずられ
歪んだ音と共に「深海」へと…
それでも、あがきながら海底を離れ光の射す方へと。
弱さや恐れ、孤独や虚しさをも引き連れ
再び地上へと姿を現したミスチルは
素敵な「君」と不快な「僕」を歌にしては
さらに強く愛を叫び、生きるために「呼吸」する。
子どもが光を浴びながら影踏みを楽しむように
大人が光を避け日陰で腰を下ろすように
光と影を行き来し、折り合いをつけない
「大人」で「子ども」なバンドが
本当の自由を求め空へ飛び立とうとしている。
今回の「重力と呼吸」の冒頭のカウントは
まさに、その瞬間だと思えるような力強さがある。
そして、そこにはこれまでのミスチルが鳴らしてきた
全ての音が積み込まれている。
そして、知ってはいても行けない場所に
それでも行きたいのだろうと
憧れても無理だろうと諦めた眺めを
本当は見たいのだろうと
相も変わらず私の心は揺さぶられている。

時を同じくして
これでどうだと言わんばかりに
一人の職人が「カンタン」と言いながら
惜しげもなく自らの手の内を明かし
二人の兄弟が左でも右でもない音に乗せ「真心」を歌い
三人の旅人がくるりくるりと巡りながら
曲線から「songline」へと…
そして、四人の子どもたちは無重力の世界へ
それぞれが向かう先に
日本のロックが退屈になる理由は見当たらない。
これからも音楽を聴き続けよう。
これからも揺さぶられ続けよう。

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