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同じ時間を生きること

BUMP OF CHICKENに感謝を込めて

先日、BUMP OF CHICKENが出演した生放送音楽番組を観た。
過去の私からは考えられないほど、楽しく幸せな時間だった。
実家のテレビを前に、ツイッターでリスナーの皆とそわそわしながら彼らの出番を待った。同じ時間を共有する人の温度を感じて、嬉しかった。

彼らが演奏する時間には、たくさんのリスナーが画面の前に集まっていた。
BUMP OF CHICKENが心を込めて演奏したのは《話がしたいよ》だった。

“今までのなんだかんだとか これからがどうとか
心からどうでもいいんだ そんな事は

いや どうでもってそりゃ言い過ぎかも いや 言い過ぎだけど
そう言ってやりたいんだ 大丈夫 分かっている”《話がしたいよ》

大丈夫 分かっている
と、前をしっかり見据え頷いて唄ってくれた時、ぐっと心に迫るものがあった。

私は今もまだ療養中で、社会復帰の目処は立っていない。現実だけを考えると決して楽観できないが、それでも幸せや感謝を感じることが増えた。
これはBUMP OF CHICKENに出会えたおかげだ。
もし出会えていなかったら、多分、心の大部分を暗い気持ちに占領されたままだったと思う。

(以降は病気の話になりますので、苦手な方はお控えください)
 

私は、うつ病と付き合って7年目になる。
こんなに長くなるなんて思わなかった。
発病前は、看護師・看護専門分野の教員をしていた。

仕事は本当に大好きだった。患者さんや生徒の笑顔が励みだった。
しかし、自分を削る働き方を続けた事、仕事量と人材の不均衡状態、
上司からの心無い言葉などが積み重なり
そんな環境で我慢し続けた結果、心が壊れた。
自分が悪いんだ、申し訳ないという気持ちで日々生きていて、
周りが全く見えない、暗いトンネルの中にいるようだった。
医師の助言もあり、私は自分を守るために退職し療養生活を始めた。

そうして療養を続けていた頃に、私はBUMP OF CHICKENと出会った。
きっかけは、2013年にQVCマリンフィールドで行われた、ライヴの生配信だった。
意識して、視聴したのではない。何気なく、目に入って視聴した。
そこで初めてBUMP OF CHICKENの歌を聴いて、涙が止めどなく溢れた。
これまで生きてきて、音楽を聴いてこれほど泣いたことはなかった。

何より、前職場での体験から、この頃の私は音に非常に過敏で
テレビや人の話し声でさえ恐怖を覚えていた。
だから”音を楽しむ”余裕なんてなかった。そんな私が音楽を聴いて
涙しているのが自分でも一番驚いた。
『ここにいるお客さん1人1人、画面の前にいる1人1人に全力で届けるんで』
という彼らの言葉通り、私の元にも届いたのだ。

“一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って
諦めた事 黄金の覚悟
まだ胸は苦しくて 体だけで精一杯
それほど綺麗な 光に会えた”《firefly》

仕事・やりたかった事を、療養のために手放した自分を責めていたけど、
それを覚悟と呼んでいいんだ。生きるだけで精一杯の姿は綺麗な光なんだ
と教えられ、私は存在していいんだと安堵した。

“勇気はあるだろうか 一度手を繋いだら
離さないまま外まで 連れていくよ 信じていいよ”《メーデー》

本当に見つけてくれた。
療養中の暗く静かな部屋の底に沈めた、自分の心に気付かせてくれた。
ただただ涙が溢れた。信じていいよという言葉が嬉しかった。
号泣するというのはこういう事なんだ、と嗚咽を漏らした。
 

それから、少しずつBUMP OF CHICKENの曲を聴き始めた。
どの曲も、自分の心に寄り添ってくれて本当に驚いた。

“心臓が始まった時 嫌でも人は場所を取る

存在が続く限り 仕方無いから場所を取る”《カルマ》

言い当てられ、驚いた。と同時にそんな考えを認めていいんだ、
と目からウロコが落ちた。
あわせて主治医から、暗い気持ちが起きても『そう思うんだ』と
認めるだけでいいと言われた。それをいけない事だと自責する必要はないと。
このように音楽と、主治医の言葉がリンクして腑に落ちる事が増えていった。
さらに、いつかはライヴに行きたいという願いもできた。
 

そして、うつと診断されてから、年単位で時間は過ぎて行った。
2017年末、生活の援助を受ける必要が生じた。
福祉窓口で手続きの際、働けない自分が情けなくて悔しくて、
申し訳ない気持ちで一杯だった。
担当者からは『今はきちんと療養して、治してから働けばいいんです。』と言われ、我慢していた涙が溢れた。

同時期、BUMP OF CHICKENはツアーPATHFINDERの最中だった。
多幸感溢れるツイートに、私は救われた。
どうしようもない現実に、がんじがらめにならずに済んだのだ。
BUMPが何処かで音楽を届けてくれる事が嬉しかった。
さらに、年明け1月の神戸公演のチケットも手に入れていた。
心から願ったライヴ参加。
しかし、贅沢をしていい立場なのかと悩み、チケットを譲ることも考えた。
そんな時、姉がブローチを作ってくれた。それを目印にしてリスナーと出会って、BUMPに会って楽しんでおいでと言われた。
生きる為には、楽しむ事が必要だと付け加えて。
今度は嬉しくて、涙で視界が歪んだ。

ライヴ当日、姉が作ったブローチと一緒に自宅を出た。
会場ではリスナーの方にあたたかく迎えてもらい、キラキラした楽しい時間はあっという間に過ぎた。初めましてなのに懐かしいような、本当に大切な出会いだった。
ライヴでは音を体で感じて聴いて、満足感と多幸感で満たされた。
BUMP OF CHICKENが丁寧に届けてくれる音楽を体感できて、
この上ない幸せだった。
そして、同じ時間を生きているという事を強く感じた。
叶うなら、またBUMP OF CHICKENに会って彼らの音楽を体感したいと思った。

さらに、あの日(QVCライヴ)の銀テープが手に入った。心優しいリスナーさんから貰ったのだ。『お揃いの記憶を集めよう』というメッセージとともに届き、ありがとうじゃ足りないほどの感謝でいっぱいになった。
あの日泣いていた自分に『時を超えて真心のこもった大切なものをもらうよ、生きていて良かったと思えるよ』と教えたい。

“これは誰のストーリー どうやって始まった世界
ここまで生き延びた 命で答えて
その心で選んで その声で叫んで
一番好きなものを その手で離さないで”《シリウス》

音楽を聞いて、辛い現実が無くなるわけでも
心の傷が無くなるわけでも無い。
あいかわらず暗い考えに囚われる事もある。焦る気持ちもある。
しかし、それらを抱えたままでも幸せと感謝の気持ちを持てるようになった事は、
自分の中で大きな変化だ。
これからもBUMP OF CHICKENに、彼らの音楽に出会いたい。
また、リスナーのみんなに会いたい。好きなものを離さないでいたい。
こんな大きな幸せを貰ったことを忘れないでいたい。
これからもたくさん悩んだり、症状の波に飲まれて進めない事もあるだろうけど、
BUMP OF CHICKENと大切な人達と、同じ時間を生きていこうと思う。

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