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ホールに響け、ゲスの極み乙女。

ツアー「ゲスなのか、タコなのか」ファイナル公演を見た

10/26、東京国際フォーラムホールAの扉をくぐると目に入るネオンで彩られたステージ。
高い天井のホール、この広い空間に大好きなゲスの極み乙女。の音楽、そして発売日以来聴き込んだ最新アルバムの曲たちが響き渡ると想像するだけでドキドキが止まらない。もとより6月のNHKホール公演「乙女は変わる」の最後に今回のツアーが発表されてから約4ヶ月、ずっと心待ちにしていた時間が来たのだから落ち着いていられるはずはないのだが。

その約4ヶ月の間に、川谷絵音が立ち上げた新レーベル「タコレコーズ」からアルバム「好きなら問わない」がリリースされた。今回はそれを引っさげての全国ツアー「ゲスなのか、タコなのか」ファイナル公演である。

座席は一階席のちょうど真ん中あたり、ボーカルマイクの正面。ステージから距離はあるが全体がよく見える。開演時間が近づくにつれ、「早く始まってほしい」と「終わってほしくない」というふたつの感情が混ざり、複雑な気持ちになるのはいつものことだ。
 

SEが音量を増し会場が暗くなるとメンバーがステージに登場。「戦ってしまうよ」でライブは幕を開け、Aメロからオーディエンスに手拍子が広がり、サビでは皆が手を挙げる。
続いて「颯爽と走るトネガワ君」
管楽器奏者が加わりスピード感のある、ゲス乙女ならではのメロディと演奏で会場を盛り上げていく。

このまま最新アルバムのナンバーが続くのかと思いきや、さすがゲス乙女、ここで「ぶらっくパレード」という変化球。2013年に発売したミニアルバムに収録されている曲だが、今ホールで聴いても全くもって劣らないどころか、現在の彼らが演奏することでさらにパワーを帯びたようであり、伸びのあるメロディからラップ調のパート、そして語りまで入る幅広い展開に聴き入ってしまう。

セットリスト4曲目はサビの歌メロから始まる「はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした」
「東京」や「都会」といったワードを含む歌詞があるこの曲は、まさに東京国際フォーラムでのファイナルの夜にふさわしいようにも感じられる。サビでは賑やかな照明とともに絵音さんも手を横に振りながら楽しそうに歌い、オーディエンスもそれに合わせて手を挙げ、会場全体に一体感が生まれていた。

「ゲスの極み乙女。です、今日は最後までよろしくお願いします」との挨拶の後に「猟奇的なキスを私にして」
キャッチーで盛り上がるナンバーであることは間違いないのだが、本人もいつか話していたように後半「「返してよ」って 叫ぶ2人」からのアレンジの素晴らしさがライブでは特に際立つ。頂点がラストに向けてどんどん更新されて行くかのごとく展開で聴く者を引きつけていた。

サビの歌詞に合わせたような青色の照明の下での「イメージセンリャク」に続き演奏されたのは「sad but sweet」
ダンサーが登場する演出は6月のNHKホール公演でもあったのだが、途中で絵音さんもダンスに加わったことはこの日1番のサプライズかもしれない。
ボーカル、ギターとシンセ、作詞作曲にプロデューサー、そしてこの公演の最後に発表されたソロプロジェクトにダンス、この人はどこまで芸を広げるのだろうかと考えてしまったのは自分だけではないはずだ(笑)

アルバム「両成敗」に収録されて以来ライブで演奏されることも多くなった「サイデンティティ」が終わると「ゲスの極み乙女。にとって大切な曲をやります」と絵音さん。
理由は「乙女は変わる」でのMCで聞いて覚えていていたのだが、改めて大切な曲であることを伝えられ、その内容を思い返しながら聴く「もう切ないとは言わせない」は感慨深いものがあった。
後半に向けて音数が増し、最後のサビで華やかさを放って終わるこのナンバー、私はとても好きだ。

しっとりしたイントロが会場を包み始まる「ゲンゲ」
落ち着いた照明にハンドマイクでのボーカルという様子は歌と歌詞の美しさを、余すことなく、一人一人へ届けているようだった。

会場が暗くなり赤い照明でステージが照らされ、聴こえてきたのは歪んだギターの音。アルバムで耳にして以来ライブで聴くことを1番楽しみにしていた曲「招かれないからよ」だ。
重厚感のある演奏と独特のテンポ、そして一気に音が広がり、一度聴いたら必ず気になってしまうであろう中毒性のある歌メロのサビ。ギターソロも含めて演奏の魅力を最大限に見せつけられた。ボーカルの音量が少し小さく感じられたのもそのせいかもしれない。

「僕は芸能人じゃない」が終わると同時にいこかさんがマイク片手に立ち上がり、絵音さんとの芸能人なのかそうでないのか対決トーク(?)が始まる。そのトークから繋がり、なんとお笑いコンビの「さらば青春の光」がゲストとしてコントのセットとともに登場したのだ。
絵音さんと交流があり、以前ラジオのジングルを作ってもらったお礼にノーギャラで来てくれたのだという。

お笑いネタの披露後、ゲスト2人とのMCを挟んで後半はじめは「私以外私じゃないの」Remixバージョン。いこかさんもマイクを握りステージの前方へ立ち、時に2人肩を組みながら歌う。Remixバージョンのライブ披露というのは個人的には嬉しい予想外だった。

ここでアルバムのリード曲「オンナは変わる」というセットリスト。NHKホール公演の初披露では、上から降ってくるようなキャッチーなサビや異世界へワープするような後半の間奏に、アルバムへの期待が膨らんだことを思い出す。

コントラバスがステージに登場し、演奏されたのは「好きなら問わない」の初回特典DVDにも収録されている、アンプラグドで演奏されたアレンジバージョンの「ロマンスがありあまる」
今ではバンドの代名詞ともいえるこのナンバーのオリジナルとは一味違った響かせ方は、同じ曲の新しい表情を会場に見せ、彼らの進化の余白を示していたようだった。

続いて休日課長のベースソロが鳴り「ホワイトワルツ(adult ver.)」のイントロが始まる。
とびっきりおしゃれで大人な雰囲気のアレンジにのせて、ドラムのいこかさんとキーボードのちゃんMARIもマイクを持ち、3人で歌うというアンプラグドと同じ演出だ。

ベース、キーボード、コーラス、ドラムの順でソロの見せ場。そして最後のドラムから繋がった先は「パラレルスペック」
バンドを一躍広めたとも言えるこのナンバー、いつどの会場で見ても、その歌と演奏には光るものがある。

「パラレルスペック」のボルテージを引き継いだ「餅ガール」が、客席へ餅が飛ぶ光景とともに終わると、キーボードの音をバックに絵音さんが想いを語る。

実りのあるいいツアーだったこと、音楽ばかりやっていて失ったものもあるけれど(ステージからの)景色を見ているとそれでも音楽をやっていてよかったと思うこと、ヘッドフォンで好きな音楽を聴くのは逃げではないこと。そして「悲しいときには悲しい曲を聴くタイプで次にやる曲も悲しい曲」だと。

そんな想いを受け取ったオーディエンスへ本編の最後に届けられたのは「アオミ」
美しいフレーズがたくさん散りばめられているこの曲の歌詞を、とても丁寧に歌っているのがこちらまでひしひしと伝わってきた。
曲が終わるとメンバーとコーラスがステージを後にし、1人残ったちゃんMARIがスポットライトの下、会場にピアノの音色だけを響かせる。
 
 

アンコールに応えて再びメンバーが登場し、絵音さんと休日課長が芸人さんと飲みに行ったエピソードを紹介したMCの後は新曲「ドグマン」の初披露。一度聴いたら頭から離れないメロディやフレーズが彼らの曲には多いが、これもまたその一つであり、毎度期待を上回る新しい音を生み出すゲスの極み乙女。からこれからも目を離すな、とでも言うような演奏だった。

新曲の次には軽やかなキーボードのイントロで始まる「星降る夜に花束を」
「左手にはあなたが捨てたもの 右手にはあなたからの愛を」の歌詞に合わせて会場もハンドマイクで歌う絵音さんも手をあげる。

「最後にキラーボールで踊りませんか」の問いかけに会場が沸き、アンコールの締めはライブの定番「キラーボール」
ショパンを弾くキーボードソロでは会場のフォーラムをテーマに、ちゃんMARIによる即興キーボード演奏が入る。オーディエンスが叫ぶ「キラーボールと一緒に回るよ」の後に続く最後のサビはこの日最高潮の盛り上がりだっただろう。

写真撮影が終わり、「キラーボール」で熱された空気の余韻の中、ステージ上部のスクリーンが降りてくる。発表された内容は、川谷絵音ソロプロジェクト「独特な人」。詳細は正月頃に年賀状を通してわかるそう。ファンとしては楽しみな反面、この先の活動を追い切れるのかどうかという心配もよぎるのだが…。

兎にも角にも、セットリストはもちろんのこと、サプライズや演出まで、いつ思い返しても笑顔になれるような盛りだくさんのライブであった。それと同時に、改めてメンバーそれぞれの演奏を彼らだけの音とともに、目と耳で存分に感じられた特別な時間だった。
同じツアーへ参加した人にも、まだゲスのライブに行ったことがない人にも、その魅力がこの文章を通して少しでも伝われば嬉しい。
 
 

ライブを見る度に毎回思うこと。
やはりゲスの極み乙女。の音楽には聴く者を掴んで離さない、彼らにしか創り出せない、何かがあるということ。

一度それに魅了されてしまった1人のファンとして、これから先どこまでもついていくつもりだ。
 
 

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