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かなしみよ、さようなら。

ONE OK ROCKが世界を揺らす。オーディエンスが世界を変える。

あの、興奮の一夜から既に1週間以上の日々が積み重なり
最終日を迎えた”ONE OK ROCK with Orchestra Japan Tour 2018”
ツアー初日のさいたまスーパーアリーナ。センターブロック最前で、懸命に音を追ったあの時間はびっくりするくらいついさっきの出来事で、鮮明に焼き付いていて、どれだけ濃厚な時間をすごしたかを、しつこいくらいに脳が訴えてくる。

ふと、気が付いたことがある。

会場に入って、開演を待つ間、毎回のことながらどうしようもない哀しみと寂しさで、いつも胸がいっぱいになる。
当日まで指折り数えて待つライブなのに、「はじまり」と「おわり」が嫌なくらいはっきりと結びついて、やりきれない切なさがこみあげてくる。
それもライブが始まると、いつもどこかに吹き飛んで、アンコールのラスト1曲では「おわり」が「はじまり」になって、もうポジティブな感情で溢れているわけだけど、開演前のあの数十分は発作のようにかなしくなる。

でもその「かなしみの発作」があの日はなかった。

あの日の私はどうしようもなく楽しくて、ひたすらポジティブに、幕が開くのを待っていた。
オーケストラの構成は?どんなアレンジをしてくる?
そもそもステージってどうなってる?
何ではじまる?どうはじまる?

目前には未知の体験があふれていて、「かなしみ」が入り込む隙間はまったくなかった。

「未知」
そうだ。「未知」だったのだ。
それは、凝り固まった感覚を壊して次へ進み続けるための、変わり続けて自分をアップデートし続けるための、“劇薬”。

だから、「未知」の体験だと知っている私は
無自覚に、直感的に「次」を確信していたし、「変化」を期待していた。
次を確信している私に、“終わり”を意識するからこその「かなしみの発作」は起こりようがなかった。

場内BGMが消える。
会場内に興奮の波がおしよせようとする中、コンマスの一音ではじまるチューニングが、オーケストラの輪郭を映し出す。
オーケストラが持つ圧倒的な圧力。重厚感。
演出が始まる。
会場全体で、今だとばかりに最大の期待と希望をステージへ送り込む。
そして、ライブの幕があがった。

「Change」

視界がひらける。
たった1音で未知の世界は鮮明な輪郭を創造し、とめどない変化の渦に、オーディエンスを巻き込んだ。

ここ数年のONE OK ROCKのライブは規模がとてつもなく大きくなっていって、
ライブハウスの饐えた空気を飲み込んで聞いていたあの頃とは、もちろん、全然違う世界観でステージから音を届け続けてくれていた。

初の試みの詰まったライブは、なぜかあの饐えた空気を吸い込んで
「世界を変える力は私たちオーディエンスにもある」と強く叫んだライブハウスの距離感を思い出した。
最高に”ONE OK ROCK”だった。
でも、ステージにはオーケストラへのリスペクトが溢れていて、
あの会場にいた人間の、音楽への愛情を、ONE OK ROCKへの情熱を、音のプロフェッショナルがその力量で全てを受け止めてくれた。

ロックバンドとオーケストラという、違うジャンルでこそあれ、根幹にある「音楽」への追求に一心を注ぐプロフェッショナルが
目の前のステージで、惜しみなくその実力を共鳴させていく。

「僕は勉強ができない」
それは彼らのライブで、フロントマンがよく使う言葉で
今回はオーケストラという場で演奏する勉強ができる人たちと、勉強ができない人が音楽を通じて人間性を超えるのだ、
と、にっこり笑った。
本能でスタッカートするのか。知識と経験でクレッシェンドするのか。
そのどちらかは、そこまで重要ではなくて、目前の目指す景色が同じなら、びっくりするくらい軽やかに、言葉も人間性も超えていく。

そんなステージを目の当たりにして、自分の中のプロ意識とか、プライドがふつふつと湧き上がる。
他の誰でもなく、自分に言いたい。

何のためにライブに行く?
ただすごいな、かっこいいな、ってそんな事しに行くわけじゃない。
ONE OK ROCKにだってできないことはある。
でも、それをできるのは隣で一緒に叫んでる人かもしれない。
あるいは自分かもしれない。
そうやって、少しずつでも世界を変えるために、ライブへ行く。
私は私で、他の誰でもないからこそ、私にしか感じられないメッセージを受け取って
それを超える何かを世界へ発信する力を持っている。
それは、世界中の人間が、この世界で生きて行く限り、平等にもっている「力」だ。

圧倒的なサウンドと共演は、忘れかけそうになっていた
欲望とプライドを完全に呼び起こしてくれた。

音楽には、世界を変える力がある。
その力は、音楽を愛する全ての人が持っている。
ロックバンドも、オーケストラも、世界中の音楽が、持っている。
そして、それら音楽を愛してやまない全てのオーディエンスも、世界を変える力を持っている。

もう、「かなしみの発作」に襲われることはない。
だって、世界を変えにいくんだ。
新しい日がその先にある。

「Fight the night」
溢れ出す感情が、共鳴しすぎて、確信した。
私は、間違いなく、人生で出会うべき音楽に出会えたと。
 

“Let’s move along, it’s late
The sun will rise once again
 This field is lined with the brave Souls in relief 

 We’ll fight fight till there’s nothing left to say

Whatever it takes

Fight fight till your fears they go away
The light is gone and we know once more
We’ll fight fight till we see another day”

かなしみよ、さようなら。

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