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BUMP OF CHICKENが教えてくれた、「君」への思い

「話がしたいよ」のはなし

「話がしたい」相手はいますか?

初めてBUMP OF CHICKENの「話がしたいよ」を聴いてから、この一曲を飽きもせずに、隙あればずっとリピートしている。
歌詞が、泣きそうにも聴こえる声が、2番から入るバンドサウンドが、メンバー全員でのコーラスが、心地よくて。もっと知りたくて。満たされたくて。
 

最初に断っておくと、藤原さんは2015年のインタビューで
「僕自身は曲の中で感情を提示していなくて、聴いてくれた人の感じたものがすべてだと思っています。」と話している。
歌詞やインタビューで触れることのできる藤原さんの言葉だけが真実で、そこから感じることは自分だけの正解だと思う。
絶対解なんてなくて、でも不正解もない。
だから、ここに書くことは誰かにとっての間違いかもしれないけれど、こんな解き方もあるんだと思ってもらえれば。
 

わたしが思い浮かべたのは、「彼」。
とても大切だった、でもきっともう戻ることはできない、「彼」。

ずっと一緒にいられたら、それが一番よかった、その思いはきっとこれからも消えることはない。
でもわたしたちにはそれぞれの尊重すべき未来があった。お互いに固執しなければいけないほど何も持っていないわけではなかった。別れたからこそ気付けた、大切なこともたくさんあった。
手放すのは惜しかったけれど、そんなに物分かりが悪いほど子どもじゃない。
でも割り切ってすぐに前を向けるほど大人でもなくて。
「でも」を繰り返して、楽しかった過去や描いていた未来を、どうしようもなくずっと思い浮かべてしまう。

赤と青を行き来しながら、ガムをひたすら無意識に噛んでいる。
人混みに紛れれば気は紛れるけど、みんな他人なのだと気付くと君のぬくもりが恋しくなる。

『この瞬間にどんな顔をしていただろう
一体どんな言葉をいくつ見つけただろう』

ああ、君はどうしているんだろう。
会いたい、でもなく、戻りたい、でもない。
ただ、今の君に思いを巡らせる。

『どうやったって戻れないのは一緒だよ
じゃあこういう事を思っているのも一緒がいい』

誰かと思いや記憶を共有したくて、人は生きているんだろうか。人を求めて、人と関わり合うのだろうか。

『抗いようもなく忘れながら生きているよ
ねぇ一体どんな言葉に僕ら出会っていたんだろう』

たとえもう会えない相手だとしても、忘れていく記憶だとしても。
誰かと一緒なら救われる気がする。

『鼻で愛想笑い 綺麗事 夏の終わる匂い
まだ覚えているよ』

忘れることのない「あの日」がある。
それだけで生きていける気がする。
 

これまでとか、これからとかじゃなくて、欲しいのは「今」なんだ。
思い出は時に心を守ってくれるし、人生はまだ先の方が長いはずだし側から見れば決して暗くもないはず。今しか見る余裕のなかった10代の頃とは違う、20数年生きていればわかる。
でも、くたびれた「今」のわたしにとって、そんなことは腹の足しにもならなければ凍える夜に温めてくれるわけでもない。
こうしているうちに今が過ぎていく。今のうちに今を取り戻しておかないといけない。
 

いつまでも味のしないガムを噛んでいるのはどこか心地よかった。
君との思い出を美化してしがみついているのは、自分を肯定できて楽だった。
でもそうしてばかりもいられない。

この曲が教えてくれた、わたしもわからなかった、「わたしの君への思い」。
君にずっと固執したいわけでもなかった。

なくさなければ、わたしはわたしでいられるはずだから。

次の目的地へ。
向かうべき未来へ。

バスのドアは開いている。

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