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同調圧力への「NO」の意思

シングル『アンビバレント』から見る、欅坂46

アンビバレントという言葉がある。意味は同じ物事に対して、相反する感情を同時に抱くことだ。
 

こと日本では、そういった思想は蹂躙される傾向にあると思う。友人間、SNS、職場……。集団で形成される全てのコミュニティの中では、『周囲と同じであること』を強要される。
 

少しでも異なる言動を取った者に、平穏はない。半ば言論統制じみた手段でもって、徹底的に思考は塗り潰される。それでも改善しない者には、無視や噂話などを用いて直接的に、時に間接的に、心ごと殺しにかかる。
 

……欅坂46の7枚目となるシングル『アンビバレント』は、そんな当たり前を真っ向から否定する1曲となった。普通になれない社会的弱者へ贈る、壮大な応援歌だ。
 

曲調こそハイテンポなポップソングという印象だが、歌われる内容はあまりにも攻撃的で、アイドルの楽曲らしからぬ破壊力を持っている。ナイフのような鋭い言葉でもって、隠し続けてきた本心を抉り取ってくる。
 

〈誰かと一緒にいたって ストレスだけ溜まってく〉

〈だけど一人じゃずっといられない Ambivalent〉
 

今作で歌われているのは『人間関係の煩わしさ』である。
 

この世はとかく生きにくい。十人十色という言葉はあれど、コミュニティ内では本音を殺し、取り繕った感情で周囲に迎合する必要がある。
 

しかし、中にはそんなコミュニティに属せない人間もいる。そういった社会的弱者は、辛い思いをする一方である。この世はコミュニケーション社会だ。1にコミュニケーション、2にコミュニケーション。周囲に溶け込めず、疎外感を抱えて生きているそんな人たちにとっては、地獄の環境と言っていいだろう。
 

一人の方がずっと楽に生きられる。少なくとも人間関係のストレスを感じることはないし、やりたいことだけをやっていればいいのだから。
 

しかし、それは叶わない。生きる上では、何をするにも人間関係は付きまとう。誰とも関わらず生きていくことは不可能と言っていい。
 

だからこそ己を殺し、さらけ出したい本心を隠しながら、日々を生きている。
 

社会的弱者が無意識に目を背け続けているそんなリアルを、心の底から剥き出しにするのが『アンビバレント』だ。
 

〈ずっと自分だけの世界に 引きこもっていたいのに…〉

〈青空の下で まだ無理をしなきゃいけないか〉
 

思えば欅坂46は、一貫して社会に異を唱え続けてきた。人生経験を積んだ大人の意見、学校生活での上下関係、社会の仕組み……。そんな『当たり前』への反発と言わんばかりに、タブーに切り込み、世間に牙を剥くようなメッセージ性の強い楽曲の数々を世に送り出してきた。
 

総じて欅坂46は、異端者の集まりだと思うのだ。
 

……そんな彼女たちが提言する『アンビバレント』だからこそ、心に刺さる。笑顔の裏に闇を抱えた彼女たちだからこそ、説得力を孕んで直接的に届く。
 

今の日本に必要なのは、こんな曲なのかもしれない。同調圧力に明確に「NO」と言えるような、こんな曲が。

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