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私を肯定してくれた曲たちへ

フジファブリック 4thAL『CHRONICLE』に寄せて

数年前の中学・高校時代を思い返すと、どうもポジティブな考え方が圧倒的多数派で、ポジティブであることが正しいとされることがあまりにも多かった。
例えば中学時代の毎日の日誌のようなものでは、前向きな言葉を書くと下に波線が引かれ、弱音を吐くと何も触れられないか、触れられても「もっとポジティブに考えて」というようにアドバイスされるような具合であった。
高校時代何度かあった、起業家など外部のすごい方を招いた講演でも、「前向きに積極的に行動する大切さ」を説かれることが多く、私も感想シートに「前向きに考えて大学受験を乗り越えたいです!」と書いたこともある。

でも、だ。私は幾度となく前向きになろうと、ポジティブに考えるようになろうとしたけれどなりきれなかった。大会で上位に入る学校のような、周りにたくさん友達のいるあの子のような、世界で活躍するあのアスリートのような、成功している(ように見える)人たちは、皆前向きで強い気持ちをもっているように私には見えた。だから、何事にも前向きな気持ちで強い心で取り組もうとがんばったのだが、そういう心持ちでがんばっても結果が伴わなくて、ポジティブであることにエネルギーを費やして疲れてしまう始末であった。そして疲れた心を癒そうと音楽を聴こうとしても、その当時は、明るいパワーを持った音楽や、「がんばれ」と自分を応援しているように思える音楽、「前へ進め」と歌われる音楽が体感として多く、今はそういう音楽も楽しんで聴ける私も、その当時はそういう音楽が耳に入ってきてちょっとしんどくなることがあった。

自分語りがとても長くなってしまったのだが、そんななかで自分の心の拠り所となっていた音楽が、『CHRONICLE』の曲たちなのである。ここ数年の間で、ずいぶんと心の弱さや内向きな考えなどネガティブなものを、SNS等で発信し、理解しあえる世の中になってきたように思えるのだが、中高時代にはそのような内向きな自分の心の拠り所が、家族以外実生活でもSNS上でもあまりなかった。そんななかで、フジファブリックのアルバム『CHRONICLE』は、曲調の力強さとは反対に心のダークネスで弱い部分が吐露されている部分が多くあるように感じられた。

言葉では伝えられない 僕の心は臆病だな
怖いのは否定される事 僕の心は臆病だな
だな
(中略)
チェッチェッチェ うまく行かない
チェッチェッチェ そういう日もある
チェッチェッチェ つまずいてしまう
チェッチェッチェ そういう日もある
フジファブリック「バウムクーヘン」より

どうせこの僕なんかにと ひねくれがちなのです
そんな事無いよなんて 誰か教えてくれないかな
フジファブリック 「エイプリル」より

「臆病な心」をもっていたっていいんだ、「うまくいかない日」に「チェッ」と思ってもいいんだ、「どうせ私なんて」と「ひねくれ」たっていいんだ。これらの曲たちが私の心を支え、辛いときにそのままでも進んでいけるんだと背中を押してくれた気がした。そしてこれらの曲たちが「Suger!!」のように全力で走る勇気を与えてくれた。
私はもうすぐ20歳になるものの、自分の言葉で伝えることには臆病にもなるし、うまく自分の言葉でまとめて伝えることが苦手だし、中学・高校時代の私はさらに苦手だった。だから私の心を肯定し、支え、背中を押してくれた『CHRONICLE』に、このアルバムを作ってくれたフジファブリックに、早くたくさんの感謝を伝えたかったのに、うまく気持ちを言葉にできなくて、ここまで時間がかかってしまった。とても遅いのはわかっているけれど、本当に 本当に ありがとう。

そして、この文章を書く動機のひとつともなった、内向きであったりネガティブであったりすることも認められつつあるこの世の中に、『CHRONICLE』の曲たちがさらに届いてほしいなと思うばかりである。

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