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Mama,ooh

QUEENの答えを知るために

「ママ、僕は人を殺した」

 ボヘミアン・ラプソディを初めて聞いたのはいつのことだったか、なんて全く覚えていない。しかし、ほかのQUEENの曲と同じように、曲名を知らないまま、どこかで聞いたことはあったはずで、きっと彼らの曲だと意識せずに幼いころから耳にしていたのだろうと思う。

 ママー、うーううう~、という伸びやかなフレディ・マーキュリーの歌声は、優しいというか、切ないというべきか。フレディが目を瞑って一生懸命に歌うその表情を思い浮かべるだけでも、心臓をぎゅっとわしづかみにされるほどに苦しくなってしまう。

 「人生は始まったばかりだというのに、僕はもう手放してしまった」

 「母親への愛情+自分の不甲斐なさ」なんていうテーマは、男にとってはよくあるテーマであり、ありきたりだし情けないし、青臭すぎると分かっているのに感情的になってしまうのは、なぜなんだろう。いわゆるマザコン気質なだけなのかもしれないが、それでも母親にいつかは立派な姿を見せたいと思うのは、当然のことだと思ったりもする。

 タイマーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」が亡くなった母親のことを歌った曲だと知ったときは、なんとも切ない気持ちになったし(原曲はモンキーズだけれども)、少し趣は違うけれど、ジョン・レノンが名曲「Mother」を通して吐露する母への思いには、やっぱり感情が揺り動かされるのである。いずれにせよ息子にとっては母という存在は特別なのである。

 さて、ボヘミアン・ラプソディについて。

 この曲は一つの演劇を見ているかのように展開があって、まるで一つのクラシック音楽を聴いているかのようで、また演劇を見ているかのようである。そのクラシカルな内容と名演ぶりは、こういう言い方をしてはいけないが、4人組のロックバンドが作った一曲とは思えないほどに完成度が高い。ただの一曲ではないのだ。まあ、ここで僕がこの曲に解説せずとも、この曲の解説文はそこらに溢れているので割愛しよう。
 
 僕の母は高校時代、放送部に所属していた。昼休みの放送では、クラシック音楽しか許されていなかったにも関わらず、勝手にQUEENの「地獄へ道づれ」を流したらしい。こんなにかっこいいロックバンドがいることをたくさんの友達に知ってほしかったからだそうだ。
 教頭先生は吃驚仰天して、放送室に飛び込んできたそうだ。しかし、怒り心頭の教頭先生に対し、校長先生はこう言ったらしい。「僕はイーグルスが好きだけど、QUEENもいいね」と。なんと理解ある校長先生だろう!

 そういえば僕も、かつてQUEENの「愛という名の欲望」を一生懸命テープに録音して、小学校の放送室から流したことがある。家にあったQUEENのCDを聞いて、なんとなく気に入っていたんだろう。フレディがどんな人間か、ブライアン・メイがギターを弾いていることすら知らなかった。
 小学校高学年だった僕は放送委員だった。好きな音楽を昼休みに流せるから、という理由だけで放送委員を選んだような記憶がある。僕の場合は、教頭先生からは怒られなかったし、校長先生に褒められることもなかったけれど。

 ボヘミアン・ラプソディを聞いていると、自分の中の記憶が呼び起こされるような気がする。いい記憶も悪い記憶も。なんだか僕はこの曲の主人公だったような気がしてしまう。
 
 僕はいつか母の信頼を裏切るようなことをしてしまって、そして天使にすら救われなかった。まあそこまでの悪事に手を染めた記憶なんてもちろんあるわけがないのだが(まして人を殺すような!)、でもどこかしらで、純粋な母の愛情を裏切った経験はないわけではない気がして、その罪を償うために一生懸命生きているような気がしている。
 
 これはきっと僕だけじゃなくて、誰しもが感じるようなことじゃないのかなと思う。
 ボヘミアン・ラプソディはきっとそういう人間の原罪意識を呼び起こすような曲のような気がする。そんな重い意味じゃなくて、「ママ、僕頑張るよ」という前向きな生きる力につながるような。
 
 なんだか文章が宗教チックになってしまった。きっとフレディはそこまで深い意味を考えず、今までにない曲を作ろうと思っていただけかもしれない。フレディはこの曲について多くを語っていないのである。

 さて、その答えはどこにあるのか。
 僕はQUEENの曲を聞きながら考える。答えはもしかしたら今日わかるかもしれない。そう、僕は今日は映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見に行くのである。

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