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青春の終わり

The Strypesの解散に寄せて

 2018年11月14日、私が死ぬまで追いかけ続けようと心に決めていたバンド、The Strypesが解散した。彼らの解散声明を記したインスタグラムの投稿が目に入ったとき、一瞬思考が止まってしまった。自分の傾倒したバンドの解散と対峙する、という人生で初めての経験を受け入れるにはあまりにも唐突すぎたのだった。まるで自分を構成する肉体の一部を失ったかのような気分になった。その日の晩はひたすら涙を流した。
 私が彼らに出会ったのは5年前。たまたまつけていたMステに出演していた4人の演奏を見て、一瞬で彼らの虜になった。エネルギッシュな楽曲、渋すぎるブルースハープ、茶目っ気のある仕草…その全てに私は引きつけられた。番組終了後すぐにYouTubeでThe Strypesを検索し、彼らのMVを何本も見た。中でも、それから数日間“Hometown Girls”のサビが頭を離れなかったのを覚えている。次の日にはタワレコへ行って彼らのファーストアルバムを手にしていた。ロックンロールという音楽に何の興味もなく、流行りの音楽を適当に聞くだけだった中学3年生の私の前に彗星のごとく現れた彼らは、私の音楽に対する考え方を180度変えたのだ。彼らの音楽は脈々と続くロックミュージックの縮図であり、彼らのルーツをたどっていくことで私は様々なバンドに出会うことができた。4人がカバーしている曲と原曲とを聞き比べることは、私にとって大きな楽しみとなった。ロックが売れないといわれるこの時代、4人に出会っていなかったら、私はThe JamやDr.Feelgood、The WhoにThe Clashといった往年のバンドを聴こうと思い至ることなどなかっただろう。
 高2の秋、彼らはツアーで来日しており、初めて生で見ることができた。人生初のライブを大好きなバンドで経験できて本当によかったと思う。これまでにインターネットで見ていた彼らのライブ映像は十分にかっこよかったが、やはり生で見る彼らの迫力は桁違いだった。ロス、ジョシュ、ピート、エヴァン、それぞれが心の底から楽しそうに演奏していて、見ているこちらまで楽しくて仕方がなかった。ひたむきにロックンロールを鳴らす彼らは、同世代の私の希望であり憧れであり目標であった。
 去年の秋、再び彼らは来日してくれた。大学生になった私は、自分の住んでいる大阪だけでなく名古屋の公演にも足を運んだ。いつか飛行機にのって本国アイルランドで彼らの演奏をみてやるぞ、という気持ちとともに新幹線に乗ったのだった。ますますパワーアップした4人は最高としか言いようがなかった。レコーディングされた彼らの楽曲がかっこいいのはもちろんなのだが、ライブに勝るものはない。会場で何らかの化学反応が起こったかのように、ステージの上での4人は爆発的にかっこいいのだ。歳を重ねるにつれてライブ映えしていく彼ら。特にボーカルのロスは以前見たときよりも堂々としており、成長をひしひしと感じた。ライブに行けば行くほど彼らのことをもっともっと好きになった。
 こんな風に、常に現在進行形の彼らの姿をこの先もずっと見届けていけると思っていた。もう彼らの新譜の発売日をわくわくしながら手帳に書き込むことも、ツイッターで彼らに送ったリプライがいいねされてその日一日中幸せな気分で過ごすこともないのかとおもうと寂しくてたまらない。でも、彼らは死んだわけではない。悲しむ必要などないのかもしれない。まだまだ若い4人は今なお成長過程にあって、他にしたいことがあっても当然で。だから私は一ファンとして彼らの夢の続きを応援したい。そしていつかまた4人がおじいさんになった頃にでも、アイルランドのパブでふらっと演奏を初めてくれたりすることを祈っている。4人は私の青年期を形作る上で本当に重要な存在だった。若い頃に聞いた音楽が自分の音楽観に大きな影響を与えるのだとすれば、私は彼らのおかげで誰にも負けない素敵なものを築き上げることができたと言える。この先もずっと、4人の音楽は、乾いた体に吸収される水のように、耳にするだけですっと私の心に染みこんでいくのだろう。素晴らしい音楽をありがとう。The Strypesよ、永遠なれ!!!

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