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高高-takataka-の内側に潜む凶暴性

アコギ2本で殴り込み

対バンライブの面白さは目当てではないアーティストの音楽に触れ世界が広がることにある。しかし、それが時に凶器ともいうべきかいわばその日のライブ全体を支配し観客を飲み込んでしまう事がある。そんなライブに出くわすのは極稀でたいていのライブは予定調和で新しい音に触れてピースフルな気持ちで会場を後にする。
先日久し振りに凶暴なライブに出くわしたので記念に書き留めておきたくなり投稿することにした。

2018年9月8日、9日。下北沢GARDENでテレビ朝日系の番組企画ROAD TO EXのセミファイナルに、位置付けられたライブが行われた。
この勝ち抜きバトルは手売チケットの枚数がまずポイントとしてカウントされ、当日現地での演奏を実際に聞き更に投票をする。その獲得票数によって勝者が確定し勝ち抜いた者はEXシアターのステージに立つことができる。もうすぐ決勝が行われ、勝者が決まる。

自分が参戦した9月9日はいわゆるDr,Gt,Ba,Voなどで編成されたバンド3組とアコースティックユニット高高-takataka-の計4組だった。
アーティストの年齢層もジャンルもバラバラ。ファン層も幅広く早くも異種格闘技戦の匂いが漂っていた。
自分が対バンライブに行く時は興味のあるジャンルが「やや被り」の時に行くのであの日、各々のファン同士が放つ敬遠しあうような空気に少したじろぎ、緊張を覚えた。これは紛れもなくバトルであり、ただの対バンライブでないことはその日の空気がそう感じさせていた。
ライブ前のMCで武井壮が各々のバンドのファンを確認するような場面があり、その際高高のファンは正直少数派と言わざるを得ない状況だったように思う。

1組目、2組目と順調にライブが進行し、高高が準備をして登場した際、誰もが「アコースティックユニット」を想像したであろう。
足元には無数のエフェクターがある以外は手にしているのは紛れもなくアコギ2本なのだから。あの日、入場SEからすっとGt,Voの高田歩が着席しVo,Gtの高瀬亮佑がスタンドマイクを握った瞬間。その「異質感」が顕著になり会場が一旦静まりかえった。
彼等のライブは言葉が少ない。元来の不器用さと緊張からかまたは世界観を大切にしているのからなのかその真意は定かではないが最低限の挨拶のみをこなして演奏に入ったように記憶している。
アコギ2本のつもりで準備していた耳と脳味噌は今、目の前で起きていること事態に目を疑うレベルで次から次へと生み出される音に脳味噌が揺れ心臓を鷲掴みにされていく。
純粋なアコギのコードを奏でたかと思うと音は数多のエフェクターによって歪み、ひずみを帯びて余韻に変わっていく。2人から生み出される音楽が生き物のようにうねりオーディエンスがどんどん2人の音の渦に巻き込まれ、飲み込まれていった。

くすんだ金髪の青白い顔をした青年はその爪に魂を宿すように一心不乱にギターをかき鳴らし、黒髪の精悍な顔をした青年はマイクを通すことさえももどかしいかのように力強く想いをメロディに変えて吐き出していく。
たった2人で。たった2本のアコースティックギターで。その他のバンドに殴りかかっていくかのようなステージであった。
演奏後の拍手と会場の興奮した雰囲気を自分は一生忘れないと思う。忘れたくない。

肝心の勝ち抜き戦には敗れてしまった。要因はいろいろあるだろう。我々ファンの力不足も痛感した。あの日以来「負けは負け」となにも言い訳しない所もとても彼等らしい。あの日、回収されなかった(もちろん投票はした)投票コイン引換券がどうしても捨てられず、今も自分の手の中にある。若干の苦い思い出と共に。

高高はアコースティックユニットという枠には収まらない。かといってロックバンドという枠も違うように思う。新しいジャンルとして受け止めたほうがしっくりくる。
2人はどちらかが欠けても高高にはならないし、なれない。Gt,Voの高田歩は様々なミュージシャンのサポートもこなしているがそこではギタリスト高田歩という個体となりそこでは高高の片鱗もない。それもまた面白い。
高高の詞はロックだ。自分達の受けた傷をさらすようにまたは抉るように叫ぶ。その刃の矛先は全て2人自身に向かっているように感じ、一聴するとその闇にのまれてしまいそうになる。そしてアコースティックという字面だけの概念で聞くと火傷をする。誰も音楽に痛みを求めてはいないからだ。しかし何重もの絡み合った音の螺旋の中に一筋の希望がみえる事がある。衝動から生まれるそのライブは同じ曲でも毎回違う響きをもって目の前に現れ、毎回その正体を掴みきれないでいる。優しい響きの日も確かにあるが自分は高高の音楽の底にあるその正体が知りたくてライブに足を運んでしまうのかもしれない。
この先、彼等から生み出される未来をその景色を一緒に見てみたい。

2019年。彼等は新しい新譜を出す事を宣言した。そして2019年11月2日に渋谷クラブクアトロワンマンという目標を設定したらしい。どうやら生き方までロックなようだ。
現在、常駐箱としている吉祥寺SHUFFLEとのギャップをこの一年でどう埋めていくのか。
無謀ともいえるこの挑戦を過度の期待を込めて見守りたい。

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