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BUMP OF CHICKEN 「Spica」に寄せて

ツアーPATHFINDER から生まれたバンプとリスナーの絆

 
「Spica」を初めて聞いたのは、今年2月のPATHFINDERツアー最終日のさいたまアリーナだった。
ボーカル藤原さんが突如思いついた感じで、
「メンバーにもまだ聞かせてなくて
果たしてうまく歌えるか」と言って
弾き語りでワンコーラスだけ聞かせてくれたのだ。
満場の観客がひとつの音も聴き逃すまいと耳を傾ける静寂の中紡がれたその歌は、
それはそれは美しいダイヤの原石のような歌だった。
まさにひとつの星が生まれた瞬間に立ち会えた奇跡のようで、しばらく動けなかったのを覚えている。

「雨が降っても それが止んでも 君を最初に思い出すよ」
「手をとった時 その繋ぎ目が 僕の世界の真ん中になった」
「どこからだって 帰ってこられる いってきます」

君への溢れる想いが全開で響いてくるような歌詞は
今までのバンプにはあまりなかったようなストレートさで
これは数少ない公式ラブソングか、リア充宣言かなどと邪推したものだった。

そして9ヶ月を経て、バンドサウンドとなって届けられた「Spica 」は、
第一印象のラブソングにとどまらず、全く新しい側面を見せてくれるものだった。
「君」とは、恋人でも家族でも友達でも、聴く人が思うもの何でもいいのだろうけど
私には、藤原さんにとってのメンバー、そしてバンプにとってのリスナーが「君」であり、
この曲は、「リボン」同様、バンプメンバー同士、そしてリスナーとの絆を歌っているように思えた。

「約束が生まれた時の 笑った顔が嬉しかったよ」

「日本のロックを変えようぜ」と、
当時中学生だった藤原さんをバンドに誘ったときの
ドラムス升さんの笑顔。

「先のことは絶対とは言えないけれど
これからも死ぬまで音楽を作っていくと思うので
歌が届いたら聞いてください」と
ツアー初日幕張で言い切った藤原さんの約束に
歓声で応えた観客の笑顔。

藤原さんの瞼には
メンバーやリスナーの数えきれない笑顔が焼き付いているんだろうな。
それが彼の生み出す唯一無二の音楽の動機になっているのだとしたら。

「終わりのない闇に飲まれたって
信じてくれるから立っていられる」

バンプのサウンドの変化、進化に戸惑いながらも
その変わらない本質に気づき、彼らの歌を聴き続けるリスナー。
そんなリスナーへの信頼を端々に口にしてくれる藤原さんだが
それが先ツアーを通してさらに強まった感じがする。

「僕らは曲を届けることしかできなくて
君たちが聞いてくれて、初めて曲が幸せになれる」(ツアー半ばでの藤原さんのMC)

また、楽曲を自分の子供のように大切にするが故に
「ブラウン管の前で評価されたくない」と
かつてはテレビ出演を拒んできた彼らが
先日はMステに出演、
「テレビの前の皆さんを想像したら
ライブになりました」とベースCHAMA さんが言ってくれたのも、リスナー冥利につきる。

リスナーの存在がバンプの音楽を支えているとしたら、
何者でもない私だってその一部なのだとしたら、
こんなにうれしいことはない。
それだけで困難に立ち向かえる気がする。

バンプとリスナーがお互いを信じる強さは、
まさに温かな春の夜に輝く連星spica の光のようだ。
ツアー中にこの曲が生まれたというのも必然だろうし
できたてのこの曲をツアーに届けたかったという藤原さんの切実な想いも痛いほどわかる。

あの温かいライブ空間にまた戻れる日を思えば
私も安心してどこにでも行けそうです。
「行ってきます!」

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