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Mr.Childrenが夢見る彼ら自身の未来

「重力と呼吸」で照らした道

去年デビュー25周年を記念して行われた「DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25」。
ツアーとしてはそれから約1年振りの「Tour 2018-19 重力と呼吸」のさいたまスーパーアリーナ公演2日目に行ってきた。

去年のThanksgivingは、いちファンとして大きく感じたことがあった。
25年もの間メジャーシーンで活躍し、楽曲制作もライブ活動も精力的と言っていいほどに続けてきたMr.Children。
この先の彼らは一体どんな道をどんな風に進んで行くのか。

初期の頃こそホールでのライブもしていたけれど、爆発的に売れてからはドームやスタジアムでのライブばかりが当たり前だったMr.Children。
その頃からは考えられないけれど、ここ数年はホールやライブハウスでのライブも行ってきた。
会場の規模が小さくなるのだから当然ではあるのだけれど、ファンクラブに入っていてさえチケットが取りづらいという状況。
けれど、彼らが今やりたいようにただただ楽しんで音を鳴らしているのだろうから、ファンとしては見守りますよ、という気持ちだった。(幸運なことに、ホールツアーに参加できた、というところも大きい、、)
そんな中行われた去年のThanksgivingでは、彼らからの「今までありがとう」の気持ちをたくさん受け取ることができた。
それと同時に、桜井さんがMCで語った「こんなふうに、いつまでできるのかな、と考えることもある」という言葉にハッとした。

日々の生活に溶け込み、時に刺激を、時に安らぎを与えてくれる彼らの音楽は、わたしの人生にとって最早なくてはならない存在で、間違いなく日常そのものなのだけれど、彼らが作品を生み出し、ライブという場で圧倒的なパフォーマンスを見せ続けてくれているこの25年という時間は、決して当たり前のものなどではないのだ、と。

わたしは、Mr.Childrenのドキュメンタリーを見るのがとても好きだ。
それは、テレビ番組の中に映し出される制作現場であったり、ライブDVDの中のひとコマの楽屋風景であったり。
制作現場でのそれは、ライブで見せてくれる姿とはまた少し違って、ひとつの音や言葉を生み出すことに苦悩し葛藤し、答えを見つけ出していく、とても人間味に溢れたものだ。
一度に何万人もの観客を歓喜させ涙させる、そんな彼らの姿からはあまり想像できない。
けれど、苦悩し葛藤した時間があったからこそ、今わたしのカラダに共鳴するこの音が存在し、心が揺さぶられる。
それは紛れも無い事実なのだ、と、ライブへ行く度に強く思う。

わたしが初めてMr.Childrenのライブへ行ったのは、1995年の「STADIUM TOUR Hounen Mansaku 夏祭り1995 空(ku:)」だった。
当時高校生だったわたしは、その前の年にクラスメイトから借りた3枚のアルバムでミスチルと出会った。
そして、わたしは瞬く間に恋に落ちた。
音楽との出会いをそう呼ぶのが相応しいかどうかわからないけれど、でもそうとしか例えられないのだ。
ポータブルCDプレイヤー(!)を持ち歩き通学時間は毎日聴いていたし、家に帰れば部屋でずっと聴いていた。眠りに落ちるその瞬間まで。
雑誌に出ていればページを切り抜いて下敷きがわりのクリアケースに挟み、授業中もそれを見てはにやにやしている始末。
とにかくかっこよくて大好きで憧れの存在だった。
けれど、どこか現実味のない、別世界の人たちでもあった。
そんな1年間を過ごした後、ついに初めてのライブへ行けることになったのだ。
行くことが決まった時からずっとふわふわドキドキしていた。
ステージからはとても遠い席だったけれど、JENのドラムが鳴った瞬間カラダに響いたあの感覚はこの先もずっときっと忘れないだろう。
好きになった高校生の頃から、数え切れないほどライブへ行った。
東京ドームの3階席でも、日産スタジアムのアリーナJブロックでも、横浜アリーナの10列目でも、日本ガイシの3列目でも。
どこにいてもいつも楽しくて、物理的な距離なんて関係ないくらい(近くで見られたらそれはもう嬉しいけれど、、)彼らの音楽からはいつだって元気をもらってきた。
ある出来事があって、心がザワザワしたまま聴きに行ったある日のライブ。
まるで、心の内をすべて打ち明けた親友のように、怖くて不安だった気持ちに寄り添い温めてくれた。
どうしてこんなにもわたしの気持ちを理解してくれるのだろう、と不思議だったけれど、思えばいつだってそうなのだ。

いつの頃からだったか、「みんなそれぞれ、嫌なことも大変なこともあるでしょう。でも、またきっと笑顔で会いましょう。それまで頑張って!元気でね!」桜井さんはそう言ってステージを去って行く。
その言葉に勇気づけられ、みんなそれぞれの毎日に戻って行く。
仕事でトラブルを抱えたり、人間関係に疲弊したり、ちょっとしたハッピーに心躍らせたりしながら、毎日を過ごしていく。
そして、その毎日にはきっと、Mr.Childrenの音楽が流れているのだ。
その時々の気持ちに寄り添い、元気をくれたり慰めてくれたり。

先日のさいたま公演も、いつものように楽しみで仕事も手に付かないくらいだったけれど、去年感じた「彼らの音楽をいつまで聴いていられるのだろう、、」という不安もまだ心のどこかに置いたままだった。

けれど、彼らの音を聴いているうちにそんな不安はどこかへ行ってしまった。

バンドの骨格を支えるJENのドラム。
ゴリゴリに時に優しく響くナカケーのベース。
聴き慣れたフレーズを奏でる健ちゃんのギター。
思いの丈がすべて乗った桜井さんの叫び。
鍵盤のサポートメンバー2人による演奏もバンドと一体化しつつ大きな畝りを与えていてとても心地良かった。(新しいメンバーの奏でるフレーズがジャジーでかっこよかった!)
そして何より、彼らが音楽を楽しんでいるその姿に圧倒され、嬉しくなり、胸を打たれる。

「僕達にはまだ夢があって、憧れがあって、辿り着きたいところもあって。」
MCで桜井さんはそんなことを言っていた。
Mr.Childrenの未来を夢見て、憧れ、信じているのは、誰でもない彼ら自身なのだ。
26年もの間日本の音楽シーンの最前線で躍動し、実力と人気とを持ち合わせたバンドが、叶えたい夢や辿り着きたい場所がまだあるのだと言い、歩み続けて行く。

不思議なことに、年々彼らとの距離が縮まり身近な存在になった、という気がしている。(もちろん、物理的な意味ではなくて)
高校生の頃に感じていた、どこか現実味のない別世界の人たち、という感覚はほぼ、もうない。
自分も歳を重ねたせいか、彼らにも日常があり、様々な感情を抱えて日々過ごしているのだろう、と理解できたからかもしれない。
ステージにいる彼らからは、どんなに遠くても スクリーンでさえ満足にその姿が見えなくても、1人ひとりに声を 音を届けようとしてくれる、そんな愛を感じるのだ。
その貪欲で誠実で正直なところが、Mr.Childrenが進化し続ける理由なのだろう。

先日のさいたま公演もまた、彼らとわたしたちファンとでお互いにありがとうと愛を伝え合い、更にMr.Childrenの未来を見つめることができた、そんな夜だった。

1997年の活動休止。
その翌年、終わりなき旅で本格的に活動を再開した彼ら。
あの時探していた、もっと大きなはずの自分。
あの頃よりも肩肘張らず、自由に楽しんで次の扉をノックする、そんな彼らの姿を見た気がした。
そして、これからも驚きや感動をくれる彼らをずっと見ていたい 聴いていたい。
そう強く思った。

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