2650 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

Suchmos 横浜アリーナワンマンライブに寄せて

サチモスを聴いてしまうのはなぜでしょう

先月末、11月25日にSuchmosの横浜アリーナワンマンライブへ行った。サウンドもファッションもおしゃれと言われているSuchmosなので、お客さんも都会的なおしゃれな人達が多かった。都内とはいえ、車かバイクがないと生活が困難な地域に住んでいる私のような田舎者は、彼らの洗練された様子をただぼんやりと眺めるのが精いっぱいであった。グッズ購入の為に並んでいる間など、誰もこっちを見ないでくれ…と願いつつほぼへっぴり腰でいた。誰もお前の事なんか見てねえよ、と言われそうだし恐らく実際その通りなのだがやはり、普段接する機会のない人達を目の当たりにすると、どうしても及び腰になってしまうのである。私はアウェーなのか???と思ったり、そんなの考えずに堂々としていればいいと心の中で自分で自分を励ましたりとにかく落ち着かなかった。  
しかしこれはある意味予想通りと言えば予想通りであり、Suchmosを追っていれば、おのずとわかる事である。そんな思いをするのは束の間、そんな事よりも彼らの音楽を生で聞きたい、ライブを観たい気持ちの方が遥か上回る。
ではなぜこんなにSuchmosを観たいのか。それは普段からSuchmosを聴いているからである。普段聴いているバンドを生で観たい、聴きたいと思うのは人の常であり、ごく自然な事だ。
それではなぜSuchmosを聴いてしまうのか。Suchmosを聴き始めて数年経つが、実はその答えを言語化できずにいた。だいたい自分がそれまで好きで聴いてきたバンドやミュージシャンは、ロック色の濃い方が多かった。その多くが人生の苦しみや矛盾を歌い、この世に下剋上と挑戦状を言い渡してやる!という姿勢が見え隠れする、非常に血の気の多い方ばかりだったのである。90年代中頃から後半にかけて、自分の思春期の終わり頃にそういったパーソナルなものを歌うミュージシャン達と自分の思いがリンクしたからというのも理由かもしれない。そんなバックグラウンドを持つ自分がSuchmosを聴いているのである。年齢を重ねたとはいえ解せぬ。Suchmosは自分にとって新鮮なサウンドだった?バンドが自然体だから羨ましい???若いのに演奏が上手くて上品??
考えられる理由は数多あり、そのどれもが当てはまるのだが腑に落ちる答えというのが見つからないのだった。聴いていて気持ちがいいとい答えもあるにはあるが、過去に何を聴いても「気持ちいい」としか言わない自称音楽通に出会った事があり、ミュージシャンに失礼な気がしたので、自分はそれを言わないようにしようと誓った事がある。だからそれは言わない。
そんなこんなでSuchmosの横浜アリーナワンマンライブが始まった。大きな空間でバンドの音はより伸びやかに聴こえた。普段聴いているあんな曲こんな曲がたくさんアレンジされておりその曲がどんな風に鳴らして欲しかったのか、また別の側面を見る事ができた。なんだか凄いなーなんて事を思っていたら自然に自分の顔がほころんでいるのがわかった。自慢じゃないが、私は自分の親にも笑っている時に「笑ってる、楽しいんだね」とわざわざ言われてしまうくらい普段は表情が乏しいらしい。そんな自分がたぶん微笑んでいたのだ。そして「幸せ」という今まで能動的に発した事のない言葉が頭に浮かんだのである。その言葉に確信が持てたのは「FUNNY GOLD」が演奏された時だった。「FUNNY GOLD」は恋人といる時の高揚感と安心感、そして幸福感をそれまで聴いた事のないような撫でるような繊細なサウンドで歌った曲である。アルバムを聴いた時から好きな曲だった。「FUNNY GOLD」の幸福感はこの夜、横浜アリーナで演奏された事によって、ライブに参加できた人たちの幸福と喜びを体現しているようだった。     
おそらく、このSuchmosの横浜アリーナでのワンマンライブは「幸福」というキーワードで語られる事が多いのではないか。彼らはライブ中に「幸福」とか「幸せ」という言葉を積極的に使ってはいなかったと思う。しかし観た人がそういう感想を持つなら、それはやはり幸福の体現の場だったのだと思う。Suchmosを聴いてしまう理由は、そんな所にあるんじゃないだろうか。幸福に鈍感だった昔の自分に今、Suchmosをうんと聴かせてやりたい。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい