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アップデートされる伝説

MAN WITH A MISSION @阪神甲子園球場&場外編

評論家でも文筆家でもない、ただの一ロックファンだけど、まず始めに訂正をしなければならない。
ちょうど一年前に私はさいたまスーパーアリーナでのMWAMのDog Days Tourに関して音楽文を寄稿させていただいた。その中で「MWAMがまた新たなステージを登り、その記念碑的な瞬間を私達は目撃した」と書いたのだが、今、冷静に振り返ると、最早あのライブですら通過点に過ぎなかったのではないかと。
そう素直に自分の見込みの甘さを認めてしまったくらい、すごかったのだ。(語彙力)
何がって?決まってますやん、MWAM@阪神甲子園球場〜Chasing the Horizon Tour finalのことだ。

記念碑、というなら絶対に今回のツアーがふさわしい。
期間、動員数、ステージ演出、全てにおいて今までにない規模と圧倒的なエモーションで我々に闘いを挑んだライブだった。
甲子園球場という野外、しかも高校球児と虎の聖地での単独ライブの発表直後、正直言うと「え、絶対、席も遠いしアリーナでも見える?見えないんじゃね?」と思い、チケット発売になっても小箱狙いしかしなかった、あの時の自分をおもいっきりボコボコに殴りたい。
今やMWAMのライブ、地方の小箱は超激戦であるのはファンのみなさんは痛いほど身に染みているでしょう。メンタルだいぶ鍛えられたよねー。ファンクラブ先行からCD封入先行、各チケット会社最速先行、HP最速やら何やらかんやら…もう一体幾つものチケット落選メールを目にしたことだろうか。→ざっと数えても40数通以上のメールが残っている。消せ。

今回のツアーは6月に発売した「Chasing the Horizon」というアルバムに伴うツアーで初日の福岡ドラムロゴスを皮切りに全国18ヶ所、しかも過去数年しばらく訪れていない地方の会場を対バンで回り、単独ファイナルを甲子園で迎えるという超豪華内容。今をときめく狼達が地方のキャパ、数100人クラスのライブハウスに来てくれるなんて、嗚呼、やっぱり「ミュージシャン」じゃなくて根っからの「ロックバンド」なんだなぁと感動する。
そして。初日の福岡公演チケットをお譲りいただくという神プレイで、結果的には今ツアー、初日とファイナルに参戦出来たのだった。

実を言うと MWAMは福岡にはかなりの頻度で訪れており、今年3月にもライブを行なった場所。しかしながら、究極の生命体にしては大変珍しいことだがドラムのスペア・リブ氏が体調不良でライブ欠場となってしまったのだ。ま、ある意味希少なライブで、なんかもうバンドの結束力というか不在のリブ氏を心配しながらも自分達の今、出来る全てを一つひとつの音に込めて目の前の観客に届けようという想いがみっしりと詰まった濃厚なライブだった。(タナパイ&JKJの「WHITE WORLD」鳥肌が立ち過ぎた)そんな経緯があり、リブ氏のリベンジということでの初日福岡。
当然ながら、誰もまだ生で聴いたことのないアルバムからの曲を中心に、そして力加減を測りつつ会場全体を一気に引っ張っていくVOタナパイをはじめ、リベンジとはこういう意味だったのねーと了解したリブ氏の重く禍々しいツインドラム。始めは会場の真ん中あたりの段差上で余裕しゃくしゃくで陣取っていたはずだが、気がつくと上手前方に流れていきタナパイからの水飛沫がかかった瞬間からいつものように記憶が朦朧としてしまった。うー、ライブハウスて、やっぱエエわー、と改めて感じた初日だった。
そして、それから2か月後の甲子園球場。
全会場全落ちするのがデフォてどうなん?と思いながらも、このツアーを全く観ることが出来ない最悪事態は何としても避けなければと慌てて申し込んだ甲子園。辛うじてスタンド席を確保出来たのだった→案の定アリーナはお席がご用意されなかったのだけど。
甲子園球場、やっぱファンとしては行ける時間とチケットがあるのだからちゃんと観ておかなくちゃね、アルプススタンドから「参戦」というよりは「応援」の気持ちで遠目&薄眼でまったりと見守ろう、と切り替えてその日を迎えることにした。

ライブ遠征が決まるとその日を指折り数え、ワクワクドキドキ。折角だから美味しいもの食べたいし、時間的に余裕あるなら今話題のあのエリアに行ってみたい、何ならプチ観光もしたい、なんて色々プランを立てることから既に遠征が始まっていたはずだ。
うん、若い頃ならねー。

バッテリーの持ちが悪い私のようなええ歳こいた大人にとっては遠征に行く、すなわち時間に遅れず→ちゃんとライブ会場まで辿り着き→ライブ観る。たったこれだけのことを遂行すると考えただけで、本当に(矛盾しているが)必要以上に緊張し、憂鬱になり、最終的にはただ義務感と使命感、ただそれだけでその日その場所に向かうのだった。
それなのに、直前になって会場の都合で物販は難波、復興支援ブースは神戸、というまるでスタンプラリーのような告知があり、その瞬間、今回はALLノープランで行くことを決めた。(だってわからんですやん、距離感と所要時間、さらに自身の体調とその日の気圧など諸々)
だから基本的には一人参戦が気楽だ。

ライブ前日夕。到着したホテルから物販の難波には徒歩圏内だということに気づき、まぁ夜だからもう殆どグッズも売り切れているだろうなと思いつつもタオルくらいは、と余り気負わずに出かけていくと意外なことに列もそれほど並んでいる様子もなく、ゆるーく物色していたところに何とメンバーの一匹、DJサンタモニカ氏がハッピ姿で売り子になっているではないか!
しかもペコペコしている仕草がめちゃくちゃ可愛くて、不思議にも辺りは何ともいえない静けさの中、スマホ連写音と密やかな興奮とに包まれていた。
(ちなみにメンバーの中ではサンちゃん推しなので、この偶然に後からテンションが上がりタオルだけでなく何か色々買ってしまったようだ、うろ覚えです)

翌日、スタンド席の開場が15時からとなっていたため三ノ宮まで行くかどうかかなり悩んだが、体力温存を優先し直接甲子園に行くことに決めた。午前中は時間があるため、再度難波へ。物販最終日とあって早朝からかなり並んでいるらしいことはTLで知っていたので、本当に冷やかしのつもりとファンの見物がてら物販列に加わった。現場に行くと知らない人ばかりだし交流も出来ないボッチ参戦のヘナチョコでも、何となく似たような高揚と幸福感、そして色んな子達の戦闘服(ライブファッション)を観るのがとても楽しい。あー、あのTシャツは前回ツアーのヤツを敢えて着てるんや、とか、ものスゴイ数のラババンやら過去グッズを持っている方々を観ると、皆んなそれぞれ今日の日を色んな形で心待ちにしていたんだなあと幸せな気持ちになる。
とりあえず並んだからには何を買おうかなーなどとぼんやり考えていたところ、メンバーのMVなどで出演している通称・飼育さんを見つけ、話しかけてしまった。平常時ならそんなこと絶対しないけど前日のサンちゃん効果のせいで舞い上がってたなと、今、冷静になると思う。しかも嫌な顔せず快く接して頂いたせいで、また姐さんは万札を切ってしまったよ…。

購入したグッズを置くため一旦ホテルに戻ってから出掛ける。初めての阪神電車。初めての甲子園。既に同じ電車には狼のロゴ入りの人がちらほらいるので、もうこの群衆に付いていけば間違いないとようやく安堵する。
現地に到着し、やっとライブの実感が湧いてくる。
自分のお席は…。え、めっちゃ高いわ。階段、きっつー。息切れしながらステージを見下ろし、空を見上げる。はー、来たね、ようやくここまで辿り着いたよ。
過去何十回と数々のアーティストのライブに行ってきたのに、毎回がいつも新鮮で晴れがましい気分になる。夕陽に変わる前の太陽はまだまだ眩しく暖かいし、会場全体45000人の人間のヤロウどもの圧のせいか、甲子園が狭く感じる。

そして。
試合開始のサイレン。「2045」が鳴り響く。アルプス席だからどうしようもないが、正面からのステージセットが見えない…
まぁ今日は記念日だからね。しばらくは音に集中する。アリーナの群れがうねり波打っている。こんな景色は初めて観る。
実を言うと、それ以降は何だかんだ断片的にしか覚えてないし思い出せない。あー、本当に自分の記憶領域の乏しさが腹立たしい。ボイさん走ってったね。ドローン飛んでたねー。クリアな大画面にDJサンタモニカの繊細な盤さばきが良く見えるねー。私達世代にはたまらなく切な過ぎるNIRVANAの名曲「Smells Like Teen Spirit」やったねー!
ほとんどが生身ではなくスクリーンに映し出される姿と遠距離からの演奏している姿を交互に観ながら、しかし繰り出されるセットリストにいちいち翻弄させられるこの気持ち良さ。
そして、ジャン・ケン・ジョニー氏のMC。
今回はいつも以上に来てくれた観客への感謝を何度も何遍も素直に口にし、「またいつかアナタ方を見つけます」からの鉄板バラード「Find You」のイントロが流れ始めた途端、あろうことか、涙が自然に出てきてしまった。今、ここで彼らと同じ時間と空間を共有出来ていることは、この広い世界の中で、そしてそれぞれ違う人生の時間を過ごしている中で、本当にすごい確率での出来事なんだなあーと想像するだけで、陳腐な表現しか出来ないが「奇跡だ」と思う。目の前で起きていることが、瞬きをした途端に消えてなくなるのではないかと不安な気持ちにもなる。
そしてどうしても聴きたかったあの曲。「Please Forgive Me」のイントロが流れ、私はこの日この曲を聴くためだけにここに居るんだと思えた。この美しい旋律と疾走感、荘厳さと躍動感。(初めてこの曲を聴いた際には「弁当喰いながらでも全速力で走れるレベル」と謎の感想を書いていた)
しかし次の「FLY AGAIN」で狼達の暴力的なまでの熱量は甲子園の夜空を覆い45000人を飲み込んでいく。
他にも、スタンド席には演出の仕掛けで風船が座面裏に貼り付けてあったり、アリーナでの紙吹雪はマンウィズのロゴマーク仕様だったりと(お土産にドウゾ?的な)、ファンの喜ぶだろうワクワクもたくさん。そして最大のファンサービス。撮影の許可が下りたのにはJKJが神さまか仏さまかと思ったよ。あー、先に言ってくれたらカメラ持って来てたのに!と思いつつもショボいiPhoneで動画と写真を撮る。
しばらくはまるで披露宴会場での新郎新婦撮影タイムのように和やかな雰囲気で皆んなそれぞれの記念日を写真に収めていた。きっとバンドにとってもこの公演はチャレンジでありマイルストーンになるような特別な日だったんだと思う。
そして終演。空にはこれから満ちていく美しい半月。

翌朝。まだ気持ちも身体も浮ついて食欲も湧かず、おまけに持病の鼻炎のせいか頭痛さえし始めた。何もかも論理的、計画的に考えることが出来ないままぼんやりと午前中を無駄に過ごしてしまい、危うくチェックアウトぎりぎりでとりあえず帰り支度をする。乗る予定の列車までは時間もあり、駅でとりあえず荷物を預けようとしても空きがないし身体は怠いしで、昨夜のあの至福の時間とは真逆の最悪な状況だ…あー、ついてないね…
と、ふと神戸なら荷物預けられるんじゃね?とまるで天啓のような閃き。
そうだ、神戸、行こう!
速攻で新幹線に乗り13分で神戸へ。「狼復興支援ブース」会場のKIITOまで。来ちゃったよー。サポウィズというMAN WITH A MISSION発起のプロジェクトへの募金を済ませ、以前からどうしても欲しいと思っていたSAVE THE HIROSHIMAさんとこのお洒落なラババンと東北ライブハウス大作戦さんのバンダナを購入。
しかしメインの石井麻木さん写真展には長蛇の列が。帰りの列車時刻が迫ってきて本当に残念なことにゆっくりと観ることが出来なかったのが痛恨のミスだった。
ボーっと生きてると肝心なところで外してしまうのね…次回の宿題としてまたいつかどこかで写真展に必ず会いに行こうと思いながら、会場を後にしたのだった。

まあまあぼちぼち、こんなノープラン&行き当たりばったりの遠征が終わり、あの白日夢のようなライブから既に2週間が過ぎようとしている。あの時あの場所でたまさか遭遇した時間や空間はもう私達それぞれの記憶の箱に詰められて過去の海を漂っていく。
今、私が知っているMWAMの最高峰はこの甲子園ライブだが、彼等はすぐにアジアツアー、さらには来年にはこのツアー追加公演が各地決まっており、MWAMの音楽は休む間も無く、立ち止まることもなく、常に更新されブラッシュアップされていくのだろう。しかもこの合間にレコーディングも行なっているらしく、また新たなロックを私達に聞かせてくれるのだろう。

バンドとして本格的な成長期真っ只中のMWAM。目標があるかと問われてもうまく答えられないとジャン・ケン氏が言うように、おそらくは今、この一瞬、一曲が目標であって演奏が終わったとしても、次の曲に向かうだけなのだ。
既にあの場所には居ないし、追いかけて行ってもまたすぐに先に前に進んでいく。ここには居られない。どこに向かっているのかは誰にもわからないし彼等自身もわからないのかもしれない。
時々追いついて私達に幻影のようにエモい景色を見せてくれる、そんな狼達の音をこれからも聴き続ける。

あの夜の月明かりの下、狼達は夜明けまでここではない何処かへ駆け抜けていくのだ。

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