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僕とともに平成を歩んだバンド

そろそろチャットモンチーを済ませようか

平成30年もいよいよ終わりに近づいてきた。そして来年の4月で平成は終わりを告げ、新たな元号になるようだ。そのせいもあってか「平成最後の〇〇」なんて言葉をよく耳にするようになり、それが言えるのもあと半年足らずである。
そう、時間が過ぎるのは非常に早く、それこそ1年なんて本当にあっという間に過ぎ去ってしまう。平成が終わると決まったからではないだろうが、このおおよそ1年でいろんなことがあった。
ELLEGARDENの復活、いきものがかりの集牧といった嬉しいニュースもあった。ただ、その一方で悲しく、惜しまれるニュースもあった。安室奈美恵の引退、Aqua Timezの解散、音楽シーンに留まらなければもっと世間が喜怒哀楽した出来事があっただろう。その中でもきっと生涯忘れることのないだろう出来事が去年の今頃起きた。
それはチャットモンチー、完結を発表だった。

平成30年7月22日、チャットモンチーは完結した。
その時、僕は彼女たちのライブを見ていたわけではなく、自室でラジオを聴きながら過ごしていた。間接照明が灯る薄暗い部屋でラジオから流れるのはチャットモンチーの”風吹けば恋”で、沈み気味だった気持ちを否が応でも高めた。武道館で行われたラストワンマンライブも彼女たちが開催してきたフェスも仕事の都合、その倍率からチケットを確保することはできず、その様子を自分は蚊帳の外から眺めていると勘違いをしていた。
だからラジオから流れてくるチャットモンチー特集は素直に嬉しくて、往年の名曲と共にそれを聴いていた当時の記憶が蘇った。Twitterで「#チャットモンチー」を付けて呟き、自分と同じように彼女たちの最後の姿を見届けることができなかった人たちと、その想いを昇華することができた気がする。
最後の瞬きはきっとどれよりも眩しくて、脳裏に焼き付いただろうと思いながら。

〈100億光年の時を超え いま それぞれの輝き放て〉(一等星になれなかった君へ)

100億光年なんて言わないけど、18年の時を超え、チャットモンチーは一等星になった。

“ハナノユメ”を聴いた時からチャットモンチーの世界にどっぷりとはまった。
その頃の僕は中学、高校と何かと多感な時期で、まるで1週間で四季が巡るかのように心身ともに状況は変化していた。友達と仲良く過ごしていたと思えば、仲間外れのようになることもあり、そういう時の帰り道は決まってMDウォークマンでチャットモンチーを聴きながら帰り、彼女たちがレギュラーで担当していたラジオを楽しみに頑張っていたっけ。あえてバカみたいに明るく振舞って、内に秘めた暗い部分を必死に隠していることに誰も気付いてくれなくて、どっちつかずの散漫とした時間を過ごしていたな。

〈1年前に戻りたいなんて 何で今さら思えるかな あの頃の私は昨日と同じ今日なんて 考えなかった〉(橙)

答えは出てこないけど、ひたすら自問自答し続けた中学、高校時代には”橙”が染みた。夕暮れの中で「ああでもない、こうでもない」って思いながら、自分なりに答えを見つけ出そうとしていた。でも結局答えは何も見つからなくて、チャットモンチーを聴くことでなんとか息継ぎをしながら、溺れることなく高校時代を泳ぎ切れたと思っている。ただ”とび魚のバタフライ”みたいに華麗に泳げてたいら、どうなっていたかなとも思う。

そんな暗中模索の時期が過ぎたのは大学に入学してからで、学業にバイトなど大体のことはそれまでよりは上手く循環できるようになった。通学時間は長くなったが、MDウォークマンからiPodへとより音楽を快適に聴くことができるようになり、移動時間もさほど苦ではなくなった。そのお供はもちろんチャットモンチー。充実しながらも、どこか怠いと感じる講義前には”風吹けば恋”や”湯気”、”真夜中遊園地”といった疾走感のある曲たちの力を借りながら乗り切った。
順調に思えていた最中、1つのニュースが舞い込んだ。チャットモンチー、ドラマーの脱退。
言葉にしようにも言葉にならなかった。これだけ好きになったアーティストは始めてだったこともあり、悲しいという気持ちが先行していた記憶がある。まだ真新しいiPodで選択したのは”サラバ青春”だった。
そこから2か月程して公開されたアーティスト写真はかっこいい2人の姿が映っていて、2人体制のライブで見た彼女たちは紛れもなく、チャットモンチーだった。まだ発売される前に聴いた”満月に吠えろ”は「2人でやるぞ!」という決意がひしひしと伝わってきて、試験やレポート、実習といった当時の難関に挑む気力を与えてくれた。

〈満月に吠えろ この歌をとめるな〉(満月に吠えろ)

中には鼻を鳴らして小ばかにする人もいるかもしれないが、一心不乱にやりたいことに全力で邁進する姿はかっこいい。ガールズバンドのかわいいというイメージをぶち壊す程に、チャットモンチーはかっこよかった。

それから親離れならぬ、チャットモンチー離れの時期が訪れた。ただし、その離れる理由のきっかけもまた彼女たちで、チャットモンチーは私にロックという引き出しを与えてくれたバンドだった。他のバンドもそれぞれの個性があり、その違いやそれが自分の好みに合致するとどこか嬉しくなって、ライブハウスは行く場所から通う場所とも言えるようになった。今では好きなアーティストを聞かれれば迷うくらいの選択肢を得て、その時の気分によって聴く音楽を選べるようになったけど、1番最初に挙がるのはチャットモンチーで、間違いなく僕の原点と言えるバンドなのだ。

〈写真の中の2人の目がとても強いから 私がここにいる意味 わかった気がしたのだよ この幸せがあなたの幸せであること この悲しみがあなたの悲しみであること〉(親知らず)

親離れという言葉を使って思い浮かんだのは”親知らず”だった。これは僕がチャットモンチーの中でも上位に入るくらいに好きな曲で、この曲の歌詞は声に出して読みたくなる。最も感謝しなきゃいけないような存在こそ、強がって強く当たってしまうが、それは互いに痛みを伴う。いなくなってから有難みを感じてからでは遅いから、今までもらった愛、元気は返していこうって教えてくれた。いつかくると信じている晴れ舞台では”親知らず”と”バスロマンス”を流すと、恥ずかしながら学生時代から決めていたりもする。

そんな僕もついに働き始め、いわゆる大人になった。学生気分が抜けていないわけではなかったけど、仕事は大変を通り越してきつい、辛い領域まで達することもあった。怠かった通学が憂鬱な通勤に変わって、その通勤の時に聴く音楽も変わり、音楽自体が聞き流すものになりつつあった。

〈まだ見ぬ私へ あなたを作るの私だけ majority minority あなたを守る人は私〉(majority blues)

2人、サポートメンバー、機械を取り入れた体制に変身してきたチャットモンチーの中でも”majority blues”は特異な曲の1つだと思っている。かっこいいでもかわいいでもなく、歌うというよりも話しかけられている印象だ。そして人によって解釈の仕方はそれぞれだろうが、この曲に込められた意味を僕は今もまだ理解しきれずにいる。ただ1つだけ理解できているのは、過去、現在、未来、いつでも自分と向き合うということ。自分の拙い、弱い部分には目を背けがちだけど、そういうとこにこそ向き合わないと成長できないと教えてくれた。底なし沼でもがくくらいの感覚でいた当時の僕は、このおかげで沼からヌルっと抜け出すことができた。どこまでいっても僕は僕、自分を保つための大切な曲だ。

そして現在に至る。チャットモンチーは完結した。元・チャットモンチーではなく、チャットモンチー(済)なんて表現をするのがいかにも彼女たちらしい。振り返ってみれば僕は事ある毎にチャットモンチーの音楽に力をもらい、助けられている。何度も変身してきた彼女たちがチャットモンチーを済ませた。きっとそれも次に向かうための1つのステップと至極前向きな決断だから、僕も一皮剥けるためにチャットモンチーを済ませないと。毎年秋の終わりから冬の始まりは”染まるよ”を聴いてきたけど、そんな平成ももうすぐ終わる。”サラバ青春”の歌詞を少し借りるなら「僕らの青春もサラバなのだね」なんて言わないといけないかな。

〈私がいなくなったとしても 誰かに残った思い出は 生き続けるだろうか そんなこと考えながら〉(CAT WALK)

いや、違う、それは違う。この”CAT WALK”とはファッションショーで客席に突き出した細長い舞台を意味するらしい。その舞台で1番脚光を浴びる場所だ。そしてこの曲は最後にこう歌う。

〈あぁ 今日もこの目で 街を見られるよ あぁ 今日もこの耳で あなたの声を聞けるよ〉(CAT WALK)

チャットモンチーは完結したけど、僕はチャットモンチーを済ませる必要はないかな。今でも彼女たちの曲と共に過ごした時間、思い出は生き続けているし、無性に聴きたくなる時があるから。チャットモンチーの残した軌跡を見れる、チャットモンチーの音楽を聴ける。そんな思いがあるから、ベスト盤のコメント公募にも応募して、参加することもできた。いつでも、いつまでも輝き続けているチャットモンチーは僕にとって唯一無二の存在なのだ。
この愛と感謝を語り始めたらきりがないけど、音楽以外にも思い出に残したくて、購入したグッズたち。結局はそのTシャツに刻まれた言葉に尽きる。

Forever my Chatmonchy

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