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2017年5月11日

SF (19歳)

WOMCADOLEは叫ぶ、俺らは生きているんだ!

活動休止後、初のツアー。帰って来た彼らの叫び。

 ゴールデンウィークの最終日、5月7日に下北沢SHELTERにて4人組バンドWOMCADOLEが『俺らは生きているんだツアー』の追加公演ファイナルを迎えた。『15cmの行方』を引き下げて行われた今回のツアーは2017年1月28日、彼らの地元滋賀B-FLATのワンマン公演を皮切りに、約3ヶ月に及ぶ13会場での対バン公演をやり終えて迎えた関東圏では久しぶりのワンマン公演となった。
 会場は今か今かとライブの開始を待ちわびるファンで超満員。定刻を少し過ぎた頃に会場が暗転すると、心臓の鼓動音と共に「15cm」という声が響くジングルが鳴り始める。そんな音が響くなか、メンバーがステージ上に次々と姿を表し、「全員前に来い!」とボーカルの樋口侑希が叫ぶと、会場は一瞬にしてファンの熱気で包まれる。
 1曲目に会場に鳴り響いたのは疾走感たっぷりな『ドア』。最初からアクセル全開のパフォーマンスを見せる彼らに負けじと、握りしめた拳が会場中で高く掲げられる。勢いそのままに2曲目に『ハシル』。<君の鼓動が、鳴る方角へ/僕は止まらず、走り続けます>「やっと会えた」「久しぶりに会いに来た」「また来れた」そこにいた全ての観客のそれぞれの様々な思いが交錯し、異常なまでの盛り上がりを序盤からみせる。3曲目に『人間なんです』を演奏し終わるとボーカルの樋口は、「改めましてWOMCADOLEです。−いや、本当に、今日のライブ一番俺が楽しみにしてたと思うわ。もう本当に楽しみで。−まぁ、もう旗は立てたんだから、あとは、もう、戦うだけだ。やれんのか、下北沢!」そう叫ぶと観客のボルテージもぐんぐんと高まり、4曲目に披露されたのは『オレンジと君とさよならと』。続いて5曲目に「−あなたの体温がなくなったとしても僕はあなたを愛し続けます。」という言葉に続いて『to.wani』。口からではなく、心の底から出てきているような1つ1つの言葉が、グサッと心に深く刺さっていく。会場中に雨音が響き渡るなか、6曲目に披露されたのは『雨上がり』。4人の出す音が絡み合い、メロディアスな音楽を響かせる。
 曲が終わるとギターの古澤徳之が「なんか樋口がツアー中にだんだん丸くなってきて。なんかもっと最初は『全員ぶっ殺す!』みたいな感じだったのに。」と話し始め、樋口が「そんなんさぁ…。ずっといじめっ子がいじめっ子なわけではないのと一緒よ?」と返答。すると、話を聞いていたベースの黒野滉大が「映画版ジャイアンみたいになってきたよな。」と話し、「それぴったりだわ!」と古澤が返すと、会場全体が笑いに包まれ、和やかな雰囲気に。「4年前ここの近くのライブハウスでワンマンライブをやって。もう4年か、、、俺らもおっさんになっちゃったなぁ。−俺はいろんな記憶が記憶だけで思い出せなくて。だからあのときやってた曲やって思い出したいんですけど、いいですか。」そして7曲目にはまたアクセルを思いっきり踏み直し、『青鼻のピエロ』を高らかに歌い上げる。「もう俺らは一人じゃないぜ!」曲中にそう叫ばれるとぐんぐんと高まる熱気の中、『少年X』で会場はさらにブチ上がる。「去年いろいろあって、そんなときに側で、俺らのアクセルみたいになってくれた曲やってもいいっすか。」と樋口が話し、演奏された『ワンダー』では<僕の声で君に歌うよ>と、目の前にいる1人1人に向かって感情をぶつけ、続く「夜明け前に」でも<気づかないまま/わからないまま/笑われるのは好きじゃないんだよ>と叫ぶように歌い、感情むき出しの脆く、しかし骨太なサウンドを鳴らし続ける。そしてそれぞれのソロパフォーマンスで会場を湧かせ、ドラムの安田吉希の一打ちで『monkey』が始まる。バンドサウンドを前面に押し出したこの曲は、曲中にもそれぞれのソロ演奏を挟んでいるため、今の彼ららしさを理解するには最適な1曲と言えるだろう。続いて『69』が鳴り響くと、そのあと、立て続けにアルバムから『バク』『煙』『愛してるなんて』を披露。樋口の感情的なボーカルに負けじと共鳴する4人の音楽は、聴いている側の感情を自然と引き出すようなエモーショナルなサウンドで、観客はその音に身も心も預け、存分に音楽を浴びていた。「みんなにとっての春はどんなイメージですか。−いろいろあると思うけど俺のイメージは別れなんです。」そう言って『アオキハルへ』を清々しい澄んだ表情で演奏をし終えると、樋口がまた、会場に向けて話し出す。「22年間生きてきて、今日初めてわかったことがある。俺は無敵です。だからマジでジャパニーズ1のロックバンド狙えそうです。笑われたって、馬鹿にされたっていい。だって馬鹿なヤツがやってる音楽のほうがかっこいいじゃないですか。かっこつけた曲なんかよりも、躍らせる曲よりも、4つ打ちの曲よりも。−俺はずっと8ビートのロックンロールが一番かっこいいと思ってるから。だから本当にジャパニーズ1狙います。−俺にとっての快楽は音楽で、きっとお前らにとってもそうで。だから笑われたってなんだって好きなものを好きだって言えばいいんだよ。俺も周りの奴らと肩並べて生きようって思ってたことがあるけど、もうそんな俺はいないんだよ。音楽と最強なメンバ−4人とここにいてくれるお前らと爆音があれば、無敵です。だから俺らと一緒に歩いてください。−やっぱり俺らと一緒になんかじゃなくていいや、お前らはお前らで歩け。俺も俺で歩くから!」そう言って演奏されたのは『アルク』。「お前の人生にも地図なんかないだろう?」歌詞の一部を変えてそう叫ぶとみんなの握りしめた拳が会場中を埋め尽くすほどに掲げられ、会場のボルテージはMAXのまま最後にかき鳴らされたのは『唄う』。サビで樋口が「歌えるか、下北沢!」と叫ぶと、大合唱が会場を包み込み、本編は幕を閉じた。
 アンコールを求め、手拍子をする観客の元へメンバーがすぐに駆けつけ、1曲目に『綺麗な空はある日突然に』を披露。樋口がサビをアカペラで歌い出すとすぐに会場全体で大合唱が巻き起こる。その状況に驚き、一歩後ずさった樋口だったが、そのあとすぐに嬉しそうにニヤニヤと笑う樋口の笑顔が印象的だった。それほどに会場のテンションはMAXだったし、観客は彼らの演奏を求めていた。「もう1曲やってもいいですか」と樋口が言うと『馬鹿なくせして』が響き渡る。最後の最後に静かな、聴かせる曲を持ってくるセットリストに度肝を抜かれたが、これがまた最高にカッコよかった。<くたびれたくらいがちょうどいいや人生>そんな歌詞をのせた歌を、終始歯を食いしばって聴いた。私たちはもう無敵だ、そう思えたライブの最後にこんな曲、ずるいと思った。なんだか、<私はここで生きているんだ!>と叫びたくなるようなそんなラストだった。曲が終わると「滋賀のスーパーロックバンドWOMCADOLEでした。ありがとうございました。」そう言って、拍手が巻き起こる中彼らは颯爽とステージをあとにした。
 俺らは生きているんだ!そう叫び続けた2時間を超える彼らのツアーファイナル。アルバム『15cmの行方』の収録曲を中心に、新旧様々なタイプの曲を織り交ぜたセットリストに観客は終始心躍らせていた。MC中には毎回ライブハウスのドアを開けて換気しないといけないほど暑く(メンバー全員上裸になるほど)、空気は薄く、ただそんな環境の中でも間違いなくめちゃくちゃ気持ちいい場所をつくってみせたライブだった。
 青臭いし泥臭いし男臭い。でもどうしようもないくらいクソみたいにかっこいいバンド。みんなと同じ時間を生きているはずなのに、私はなんでこんなに苦しいんだろう、生きづらいんだろう。そんな時期をいわゆる『10代特有の』とくくってしまうのはなんだか違う気がしてならない。むしろ大人になればなるほど、腐る程ある『常識』にとらわれて自由に生きることが難しくなっていくように思える。自分にとって本当に胸が高鳴って生きがいを感じられていたものがぼやけて滲んで、なんとなく今の生活に満足しているような人生。彼らのライブを見ていると、そんな日々を過ごす中で薄れてしまった自分の中の大切な感情が蘇り、ハッとさせられてしまうような、そんな瞬間がたくさん訪れる。歌え、叫べ、好きなように生きていてくれ、現代人よ。WOMCADOLEは、そう叫んでいるように思える。<唄う、唄うよ、あなたとの日々を/願う、願うよ、あなたとの日々を>最高に熱い、滋賀のスーパーロックバンドWOMCADOLE。脂乗りまくってます。

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