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2017年5月11日

みやた (31歳)
17
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

B-DASHというバンドで伝えたいこと

記憶の中にしか残らないこと

結成20周年B-DASHが解散。
ネットニュースに現れたこの言葉を見た時の頭の中の混乱は相当なものだった。
「結成20周年B-DASH」まで見れば、これは記念のイベントがあるのだと踊り出そうとした瞬間に「解散」という文字を見せられる。
悲しい、切ない、寂しいといった気持ちが心を占めて行く中で、またか・・・と考えてしまう。
私は特定のバンドではなく、日本のロックが好きだ。
最初は好きなバンドを見つけたいという考えで色んなものを聞き始めた。
ロックでもブルースでもジャズでもいい。
なんならアイドルだって、演歌だっていいとも思っていた。
探している中でよく耳にしているものがパンクやメロコア寄りのバンドサウンドだった。

私は31歳独身、彼女いない暦も31年、友達も少ない。
社会人になってから月に5枚のCD購入と、月に1度のライブに行くことを自らに課してきた。
音楽が好きな人間だと胸を張って言えるが、ライブに行くと若者に圧倒されるような年になってきた。
そんな生活の中で好きなバンドが解散するのは年に一度はある定例行事みたいなものだ。
理由はいつもよく分からない。
ゆらゆら帝国のように「空洞です」という最高のアルバムを生み出して解散するバンドもいる。
音楽性の違いなんて話をするバンドもいる。
よく分からない理由で解散するバンドはほとんどが家庭を持ったり、金が稼げないからだと思っている。
フェスには呼ばれるがライブハウスで動員が入ってないなんてことはよくあることだから。
しかしこのように最後のライブということもせずに解散ということになったのは中々ない。
もしもボーカルのGONGONに会えるならSMAPだって心の準備期間があったぞ!と文句を言いたい。

解散の理由を調べてもロクな記事はない。
トンガリキッズではないほうのB-DASHが解散!という記事が多く見られるのはB-DASHっぽいよなぁと笑ってしまう。
たしかに当時は混同している友人がいたが、他にもいたとは。
しかしどの記事を見てもいまいちB-DASHの魅力が伝わってこない。
「適当アドリブめちゃくちゃ語のバンド」という文字ばかりだ。
たしかにその言葉通りなのだが、何故めちゃくちゃなのがいいのかさっぱり分からない。
めちゃくちゃが評価の基準であるならば、ライブ中にコウモリを食べて死にかけたバンドや、ライブハウスをローションまみれにして出禁になるバンドは大人気になっているはずだ。
前者は世界的な人気バンドだが。
そこで高校生の頃にB-DASHに出会い、バンドでコピーをし、初めて見たプロのライブがB-DASHという私が彼らの素晴らしさを言葉にしておかねばなるまいと考えた次第だ。

B-DASHに出会ったのは15年前、私が高校1年生の時に発売された、「ちょ」というシングルであった。
今の高校生たちがどのように音楽の話題を話すのか分からないが、当時はCD売り上げランキングの曲を知っているかということは重要なことだった。
当時はネットで曲を聴くなんてことはできない時代で、テレビかラジオから得た音楽の情報が全てであった。
私の住んでいた埼玉のとある町は大きなCDレンタルショップがあり、行けば必ず同級生と出くわすくらい人気のスポットだった。
そのレンタルショップで借りるのはアルバムではなく世の主流であったシングルである。
そしてその借りたシングルをせっせとMDにダビングするのだ。
MDはカセットテープに比べたら録音時間が延びたものの、MD一枚でアルバム2,3枚分しか録音ができなかった。
するとSMAPの曲の次にハイロウズ、さらにモーニング娘。が流れるというカオスなベストMDが出来上がるのだが、当時はそれが普通だった。
そんな流行の曲を一生懸命に聴いて向かうのはカラオケである。
今思うとくだらないのだが、当時は最新の曲をカラオケで歌えるのがステータスだった。
そんな中で現れたB-DASHの曲はギャグの一つだった。
カラオケの画面に現れる「適当アドリブめちゃくちゃ語」の文字。
当時の我々は曲はカッコイイのになんだこれ?と笑っていたのだ。
恐らくこのイメージのまま終わっている人が多いから、ネットで検索しても適当アドリブめちゃくちゃ語のバンドなんて書かれ方をするのだと思う。
その後、平和島、SECTORと良い曲がシングルで世に出ているのだが、私のMDはキンキキッズの次にSECTORが始まるという調子であった。
今よりジャンルの棲み分けが曖昧で、私の高校時代のB-DASHは数ある音楽の一つで終わっていた。

B-DASHとの接し方が変わったのは大学生の頃、かっこいいことをしたくてギターを始めた。
その際に友人に練習にちょうどいいよ、と薦められたのB-DASHであった。
B-DASHの曲はギターのパートはとてもシンプルにできている。
「ちょ」の前奏はパワーコードを4つ覚えたら弾けるし、「愛するPOW」は3つでサビ前までなんとなく弾ける。
しかもソロ弾きがなくてもかっこい曲を弾いてる感じがする、3年を経て気づいたのだった。
この時点ではまだB-DASHを簡単に弾けるバンドだと舐めきっていたと思う。
当時の私はPENPALSが最高のバンドだと信じて疑わない時期であった。
その認識をぶち壊したのが、友人宅で見た「エべれーター」というDVDに納められていたライブ映像だった。

長くなったが、ようやく魅力について語る。
かっこいい。B-DASHはめちゃくちゃかっこいい。
初めてライブ映像を見た私はそれしか言葉を発することができなかった。
14インチのブラウン管に映し出された、モノラルスピーカーというしょぼい環境にもかかわらず、お経の様に「かっこいいわぁ・・・」と連呼し続けた。

B-DASHはボーカル・ギターのGONGON、ベースのTANAMAN、ドラムのARASEの3人からなるバンドである。
見た目だけでいうなら、痩せたり太ったりを繰り返す坊主頭の天才変人のGONGON、人の良さそうな見た目だったのにB系ファッション、ヒゲ、金髪、サングラスが増えていったTANAMAN、いつまでも変わらぬ見た目のARASEの3人である
残念ながら見た目にかっこいい要素はない。
私が心奪われてしまったのは「めちゃくちゃアドリブ」の部分であった。
よくCDにライブ音源が収録されていることがあるが、CDと変わってくるのは歌い方やギターソロ、曲の入り方終わり方が違うといった部分が多い。
B-DASHがライブで演奏するのは、同じコード進行、同じパート構成だが、アレンジが加わった別の曲であり、そしてこのアレンジ、めちゃくちゃアドリブがめちゃくちゃカッコイイのだった。
簡単に弾けると思っていた曲が彼ら自身の手によって作り変えられている。
彼らの曲に歌詞はそもそもアドリブ語であるから、歌も元々の歌詞やメロディーに縛られることがない。
見るたびに変わる自由に曲を作るバンド、それがB-DASHだ。

ライブDVDだけで心を奪われてしまった私は、友人に誘われて生まれて初めてのライブを見に行った。
新宿LOFTで行われたSTANCE PUNKS主催の火の玉宣言というイベント。
今でもチケットの半券を持っている。
この日はテルスター、ガガガSP、B-DASHとの対バンイベントで、当時パンクロックに傾きがちな私にとってこんなに魅力的なバンドが一緒に見れるなんて夢みたいなイベントであった。
この初めて見たライブだが、ほとんど記憶がない。
興奮しすぎて何が起きたのか、何を演奏しているのか覚えていることができなかったのだ。
覚えているのはB-DASHが始まって直ぐにフロントエリアへ突っ込み友人とはぐれたこと。
ボウズ頭の人がフライヤーをちぎって紙吹雪にして綺麗だったこと。
その紙吹雪の向こうに見えたのも坊主頭のGONGONの笑顔だったこと。
終わった後に立ちながら意識を失い、友人に肩を叩かれて気づいたこと。
友人と笑いながらライブハウスの前で汗まみれのTシャツを絞ったこと。
そして、友人と地元の駅で別れた直後にアドレナリンが切れ、首はダイブで蹴飛ばされムチ打ち、足は肉離れしており、激痛でその場から歩くことも座ることもできず動けなくなったのだった。
生まれて初めて一人でタクシーに乗ったのもその日であった。
次の日の朝には症状がさらにひどくなり、初めて大学をサボリ、初めてのバイト休みもついてきた。
ひどい目にあった日であったが、私が思ったのはもっとライブに行きたい、ちゃんと何を演奏したのかを覚えて帰りたいという次のライブのことであった。

10年以上経った今もあの日の興奮を超えたことはない。
少しずつライブに通うことが増えていき、年を重ねるごとにはしゃぎまわるよりもじっくり見ていたいと思うようになった。
それでもあの日以来、私はB-DASHのライブだけはその日一番のハイテンションになってしまいフロントエリアに突っ込むことは変わらなかった。
真夏の野外フェスでGONGONが熱中症で声が出なくなった時もはしゃぎまわっていたし、CDJではAM3時であっても眠気が飛んで自分も飛び回ってしまう。
彼らのライブごとに変わるアドリブは不安定でもあった。
今日見た人はB-DASHを好きにならないのではないかな?と思う日もあったし、誰もが最高としか口にできないような日もあった。
今日はどんな曲を演奏するのだろう?ではなく、今日はどの曲が最高の1曲になっているのだろう?が楽しみで彼らを見続けた。
彼らの曲には歌詞がないので、この音楽文.comに投稿されるような人の信条を変える様なものではないと思う。
素晴らしい音楽を作り出してきた彼らだが、いつも誰かの心に寄り添うようなものではないと思う。
ふとした日常で明るくなりたい時や、ライブという生で演奏されてこそ魅力を発揮できた音楽だと。
その魅力はもう見ることはできない。

社会人になり私はたくさんのライブハウスやフェスに通った。
音楽が大好きだけれど、自分では良い物が作れない。
私ができることはお金を使ってCDを買い、ライブに足を運びバンドはもちろん音楽に携わる人が生活できるように助けていくことだけだ。
一番好きなバンドはB-DASHです、とは言えない。
たくさんの音楽を知ってしまい、一番をつけることができなくなってしまったから。
これからB-DASHに出会う人たちもいると思う。
私より若い子たちがライブハウスで起こる楽しい時間をもう知ることができないのはとても残念だ。

せめて最後に言わせてほしかった。

私が音楽を好きになったのはあなたたちのおかげです。

ありがとう、と。

もし音楽をCDや動画サイトだけで満足している人がこの文を読んでいたなら、知ってほしい。
あなたの好きな音楽はあなただけのものではない。
好きなバンドの演奏をライブハウスでもフェスでもいい、見てほしい。
あなたの好きな曲が流れ始めた瞬間、あなたより大きな歓声を上げる人がいる。
あなたのどうでもいいと思っていた曲で踊りだす人がいる。
あなたが生でバンドを見て泣きそうな時に、地面にへたり込んで泣いている人がいる。
あなたがそのバンドの一番のファンではないと知ることになると思う。
あなたの好きな音楽があなたの為のものではないと知って寂しくなるかもしれない。
だけど、あなたが笑顔になっている時、周りにもたくさんの笑顔があります。
素晴らしいことじゃないですか?
私はその空間が大好きでライブに通っています。
B-DASHはたくさんの笑顔を作っていましたよ。
あなたの好きなバンドはどうですか?

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